- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106101120
作品紹介・あらすじ
いったいこの時代に子を持つというのはどういうことなのか。「子どもたちの暴走」にどう対処すればいいのか…。思春期の子どもたちと日々向き合う精神科医と、「成熟」や「学び」について考えつづける仏文学者が徹底的に語り合う。役割としての母性、「子どもよりも病気な」親たち、「ためらう」ことの大切さ、脳と身体の関係など、意外な角度から親子の問題を洗いなおす。少しだけ元気の出る子育て論。
感想・レビュー・書評
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猫丸(nyancomaru)さんこう言う話を聞くと、カニグズバーグを読みたくなりません?こう言う話を聞くと、カニグズバーグを読みたくなりません?2021/04/23
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内田樹と名越康文による教育・コミュニケーションがテーマの対談集。
平易な言葉で語られているので読みやすい。
「要するに」「結局」という思考回路をまず止めるところから始めようと二人。
要約からはみ出た部分、ノイズをすくい上げる必要性を説く。
「コミュ力」こと「コミュニケーション能力」の意味が現代では履き違えられている。
「コミュニケーション能力」とは『発信』ではなく、
何を言っているのかはっきりわからないことを『受信』する能力のこと。
語彙は聞いたことのない語を受信することによって、
「あっ、こういう言葉が存在するのか」と驚くことを通じて獲得されるから。
まだ未発達な子供が、自分の想いや意見をはっきりとした言葉で言えるはずがない。
言葉に詰まってしまったり、複雑な感情だったら語彙力が追いつかないから
黙ってしまうというのが小学生中学生にとっての「当たり前」なわけで。
本当に感受性が優れていて言葉を大切に扱う子供は口ごもって「シャイ」になるはず。
コミュニケーションにおいて、自分の意見をはっきり言うなんて後でもできること。
発せられた言葉からどれだけの意味を感得できるか、
どれだけのことを自分のなかに取り込むことができるか。
それこそが大事なのに。
親は期間限定の役割で、一時的な関係。終わりは必ず来る。
子供に対して親が影響を与えたりとか、
ある程度言葉が届く時間は限られている。
だから、その時間に届く範囲のことを考えて、
その中でできるだけ具体的な提言をするということに尽きる。
「しつけ」って「ルーティン(同じことの繰り返し)」のこと。
何を言うかじゃなくて、何を周囲にいる人間の行動から感じてもらうか。
同じ時間に起きる。
同じ時間にお風呂に入る。
同じ時間にご飯を食べる。
寝る時には必ず「おやすみなさい」という。
そういう当たり前のことの繰り返しの大切さを説く。
まだ子供もいない、妻もいない自分が読み込んでしまった。
いつか役に立つ日は来るのかしら。 -
子育てについてのhow to本ではありません。
多くの子供たちに関わってきた著者たちの言葉に教えられることが、今まで正しいと思い込んでいた事が、実はそうとも言えなかったようだということにも気づかされた。
「14歳の」とありますが、子どもの年齢に関わらず、とても参考になる一冊。 -
文化資本のことが知りたくて読んだ本。
だけど、文化資本だけでなく全編を通してすごく面白かった!
日本社会が今現在抱えている問題を、経済がヤバイ!とか政治がヤバイ!とかいう各論でなく総論的に教えてもらえた気がする。
で、その日本社会の病巣って言うのは、やはり親と子の関係性(関係性の欠如)から始まっているらしい。
子供をそのままそっくり承認することの重要性、シャイな子を評価できない社会の危うさなどなど、 それだけでものすごく興味深いトピックが散りばめられてて、納得すると同時に知的好奇心が刺激された!
あー本読んでる!って感覚になれた。
名越さんの専門的具体的な視点と内田さんの感覚的な視野がぴったりあってるような感じがした。
何年か後に再読したら自分の引っ掛かるポイントが違う気がする。
また読み返したい本だ。
あとタイトルについて。
14歳の子を持つ親たちへということで、まだ学生の自分が読むべきかどうか悩んだ。
けど読み終わってみると、このタイトルは本当にそこらへんの親を対象にしたわけではない、つまり一元的な意味合いではないんだということがよくわかった。
14歳の子っていうのは人間の人生の中で身体と頭のバランスがとれなくなり始める時期。そこに我々も立ち返って人間だとか社会だとかを考えてみようじゃないか、っていう感覚をうけた。-
「各論でなく総論的に教えてもらえた気がする。」
内田センセの本は、「あっ」とか、「えっ」の連続で頭が活性化されますね。
内田×名越がお気に召...「各論でなく総論的に教えてもらえた気がする。」
内田センセの本は、「あっ」とか、「えっ」の連続で頭が活性化されますね。
内田×名越がお気に召しましたら「辺境ラジオ」もどうぞ!2012/12/11
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タイトルを見る限り育児書の類を想像しますが、内容はむしろ親に対する他者とのコミュニケーション、立ち居振る舞い、暮らし方の提言。子供を育てる前に、まず自分の姿勢を考えさせる1冊。
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出産は得なのだそうだ。
子供を産むと、
母親自身の身体的・知的ポテンシャルは向上するし、
子育ての過程で人間的に成長できるし、
社会的パフォーマンスも上がる。
けれども実際の行政の出産育児を「支援する」という発想は、
「出産は苦痛で育児は苦役」というネガティブな前提でもって語られているため、
まったくインセンティブにはならない。
ふむ、納得できる。
たぶん結婚もそうなのだろう。
結婚は社会的にも人間的にも大きな効用がある。
うーん。
結婚とか恋愛について、
なんか色々考えがめぐるけれど言葉にならないなぁ。
また後で考えるか。
「知性は情緒の豊かさ」という言葉はなかなかクるフレーズですなぁ。 -
決して「14歳の難しい子供たちをどう扱いましょう」というハウツー本ではない。が、うっ…と胸を押さえたくなる言葉がたくさん見つかる。手元に置いて、幾度も読み返したい。
相変わらず付箋でいっぱいにしたいウチダ本なのであるが、特に印象的だったのは「子育てに正解はない。一番大事なのはルーティン」。だいたい同じ時間に起きて、家族でごはんを食べて、寝るときは「おやすみなさい」を言う。そこからだと。
娘が通ったシュタイナー教育の幼稚園での勉強会を思い出した。