迷いと決断 (新潮新書 194)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106101946

作品紹介・あらすじ

決断するまでは、誰しも迷う。ましてや従業員16万人、売り上げ総額7・5兆円の企業の運命がかかっているのならば…。一社員から、ソニー初の「プロフェッショナル経営者」として社長に就任した著者は、瀕死の状態だったソニーの立て直しに成功する。そして、コーポレート・ガバナンス改革を実践し、精緻な企業戦略を練り上げ、さらなる改革へと突き進むが…。前CEOが、初めて語ったソニー経営の内幕。

感想・レビュー・書評

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  • 15年前にここまで、見渡せていた出井さん、凄い。
    プロ経営者について書いてある

  • サラリーマンは、上からやれと言われてやる「表の仕事」だけやっていたのでは面白くない
    「裏の仕事」をやっておかないと発展がない

    結果が出なければ失敗と見なされるから、
    失敗とならないために、自分を信じて、成功するまで続ける

    稲森和夫の「働き方」にも同じフレーズがあり、
    実績を残された方は、簡単には諦めない

  • ソニー初の創業時代のメンバーではない経営者、出井氏の自著。

    創業者のような特別な求心力は持たない出井氏は、唯一求心力を保つ方法として四半期の成績が社内外から求められたが、当時のソニーにはキャッシュフロー経営が必要だった。

    ソニーのような大企業で創業時代メンバーの影に悩みながら経営者として10年働くなんて、自分には想像ができないほどのプレッシャーがあるんだろうな。

    ハワードストリンガー氏と仲が良い描写も。

    タイトル通りの話。若干言い訳感アリ。

  • 創業社員以外から初めての社長となった著者が10年間を振り返る。ホールディングス制、M&A、インターネットなど、今では当たり前のことに対して、ソニーは先進的に取り組んでいたことがわかる。
    また、アップルを買収しようとしていたくだりには興味がわいた。買収していたら、今頃どうなっていたのだろう。
    それにしても、ソニーの革新性に陰りが見えてきたことが寂しい。大企業になってしまったことの代償なのだろうか。

  • ソニーの前CEOである出井伸之氏が、ソニーの経営者としての10年を振り返って自著した本。
    (悪い言い方をすれば、出井氏自身による自慢&言い訳本。)

    本書を読んで、やはり出井氏は先進的なプロの経営者としての資質を持っていたのだと思った。と同時に出井氏に欠けていたものも見えて来た感じがした。

    ソニーが迷走してしまった理由は、出井氏に欠けている部分を補う人・チームが存在しなかったことなのかも…
    (出井氏はチーム経営を標榜していたのに…)

    ほぼ同時期のソニーについて別の視点から書かれた「ソニーとSONY」と合わせて読むと面白い。

  • ブロードバンドといえば高速インターネット。いまや常識だが、ソニーがこの言葉を使い始めたのは­とても早くて、学生のころ、99年くらいに、ソニーの資料で初めて目にした。­

    コンテンツやPCやカメラが「Broad­ Band」と書かれた円盤の上に乗った図で、意味が分からず。­「太いおび?」でプロダクトを結びつけて価値を高める概念?みたいなものかと。­

    まあ、それはソニーのインターンプログラムに参加した時の話で、その時の経験が、インターネット­による革新が間近であることを実感して、大学院ではなく就職を選択するきっかけになった。­


    あれからちょうど10年経ち、ブロードバンドもワイヤレス化しちゃったりして、­とにかく、あの時のソニーのビジョンは非常に正しかったと、今でも思う。­

    出井さんは、広報宣伝の役員だった93年、有志の社員と一緒に「今後の10年に向けて」という­レポートに、このビジョンをまとめたというから、たいした眼だ。­


    ブロードバンド、プレイステーション、バイオ、サイバーショット。コーポレートガバナンス。­
    あの頃のソニーの出してくる言葉は、どれもなんだか新しく、輝いて見えた。­
    その後のソニーショックの戦犯と言われたりしていても、自分の世代にとってのソニーブランドは、­あの時代の、出井色の経験であり、やっぱりかっこいいと思うのである。­

    その裏で、ヒーローである創業家との決別や、求心力の獲得、傾いた財務体質の改善、­ネット時代への戦略、複数業態を抱えるグローバルカンパニーの最適なガバナンスの確立。。­
    初の非創業家経営者としてソニーを率いた出井さんには、睡眠薬片手に、­色々な迷いと決断があったようだ。­

  • 経営者の仕事を整理できた。魅力あるビジョンを掲げる。ビジョン達成のためのオペレーション、企業統治、適切な後継者選択、これらの仕組みを整備し機能させる。言うは易し、行うは難し。

  • 出井さんがソニーの社長として行ったことの説明。
    それまでの創業社長と違って、安定期に入った巨大企業を立て直さなければならない。
    たいへんな決断力とともに鈍感力が求められるのが巨大企業の社長だということがわかった。
    細かいことは気にしていられない。
    自分とは別世界の話だが、読んで勉強になった。

  • イヤー。生々しくて おもしろい。
    2006年の時点での語りで・・・なんともいえないなぁ。
    今の時点で書くと もっと 浮き彫りになるのではないか
    出井伸之の失敗と成果が・・・。

    7兆円と16万人の職員という巨大なソニーを
    どう舵を取るのか?
    そのことにおける 迷いと決断 がその中にあるが
    社長になる前史と社長が終わった後史 が 味わいがあった。

    トラブルを処理する立場に いつも立ち会ったこと。
    時間軸における錯誤が さまざまな影響を及ぼしたこと。
    非連続な融合と飛躍・・・に期待すること。

    エレクトロニクスとエンターテイメントとファイナンシャル
    という3つの柱を持った ソニーが どのような方向へ向かうのか?
    創業経営者と継続経営者の違いが 明確になって
    そのうえでの 継続経営者の 経営を技術にしようとするところに
    面白みがあるんですね。

    創業者の好きなことをしたいという考えと
    好きなことをしていては キャッシュフローが追いついていない・・・
    それを切り替えるべき視点。
    コーポレートガバナンス・・・・英語の言葉が多くて 難解でした。
    でも 何をしようとしているのかが よく見えて面白かったが
    なぜ ハワード だったのか?
    やはり よくわからなかったね。
    しがらみを抜けるために極端に走りすぎたのだろう。

    広告収入をえながら放送するというテレビ局は
    古い型のモデルと言い切っているが、
    なぜペイテレビが根付かなかったのか?

    日本のメーカーの携帯電話が 世界の5%しか握れなかったのは
    なぜなのか?
    ノキア モトローラ サムスン。
    そして 今で言えば なぜ アップルがここまでの快進撃を。

    ソニーが アップルとディズニーを買いたかったというのは
    いいなぁ。もしそうなったら 世界は変わっていた。
    でも ジョブスが 復帰したので それははかない夢となった。
    ジョブス亡き後 ソニーが アップルを買うことができるのかな? 

  • 巨大企業のCEOが時代を振り返った本。CEOには大きな責任があり、その立場にならないと重責からのプレッシャーというのは分からないものだなと思える本。私の全く想像できない世界について書かれた本だったのでとても刺激的だった。

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著者プロフィール

1937年、東京都生まれ。60年早稲田大学卒業後、ソニー入社。主に欧州での海外事業に従事。オーディオ事業部長、コンピュータ事業部長、ホームビデオ事業部長など歴任した後、95年に社長就任。以後10年に渡り、ソニーの変革を主導した。退任後、2006年9月にクオンタムリープを設立。大企業の変革支援やベンチャー企業の育成支援などの活動を行う。NPO法人アジア・イノベーターズ・イニシアティブ理事長。

「2021年 『個のイノベーション ―対談集―』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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