お坊さんが困る仏教の話 (新潮新書 208)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106102080

感想・レビュー・書評

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  • 一口に仏教と言っても諸宗あるわけで、本書は正に仏教の解体新書入門編といったところ。

    本書では、あの世はあるのか、戒名って何であるの、葬式っていつから始まったのか、お経の意味はなどなど、いつの間にやら習慣だからとしか知らない人々にも非常に分かりやすく解説されている。

    元来、仏教は釈迦が始めたものである。
    釈迦仏教から大乗小乗仏教なるものがある。
    カトリックからプロテスタント、ピューリタンみたいなものね。

    で、釈迦仏教にはあの世って考えはなく、現世での解脱が目的だったが、釈迦の死後、弟子達がいい具合に解釈して、教義なりを作っていったわけだ。
    で、今現在読まれているお経も、本来お釈迦さんが言葉にしたものを弟子達が都合よく解釈し、さらにそれを中国の僧が、割と冗談めいた内容も含め加筆されたものが、日本へ渡来する、と。

    現在の仏教葬式なんてのも、そこまで歴史は古くなく、江戸期の徳川幕府の切支丹弾圧の為、寺請制度を作り、強制的に、婚姻その他諸々で必要になる、今でいう戸籍謄本みたいなものを、全国民、寺で管理させたわけだ。
    マイナンバーみたいなもんだな。

    と、まぁ、非常に興味深く読ませて頂きました。
    これを読むと、友人知人や何方かのご自宅に伺った際に仏壇でもあると、この人、この宗派のんだ、なんてのが、分かりますね。

    しっかし、戒、そして戒名ってのは本来の意義は最早ないな。

    仏教から葬式を引いたら何も残りゃしない。という一文が、正に現代の日本仏教界を如実に表しているね。

  • なかなか難しい。仏教を理解するのはまだまだ先だなぁ。「成仏」=「死ぬこと」ではないということがわかった。あと、キリスト教とかイスラム教の本も読んでみたくなった。

  • 日本の仏教って釈迦仏教はおろか中国発祥の大乗仏教としても同じくくりに入れちゃいけないぐらい独特で変ですよ、とひたすら皮肉る本。

    お布施の額で戒名の良さが変わるとか、もう滑稽すぎて目も当てられないし、今のようにツッコミどころが多いままだと日本のお坊さんに未来は無いと警告する。

    仏教伝来以降、なぜこれほどまでに日本の仏教が独自の進化をしてきたのかざっくりと理解できた。全体的にざっくりとし過ぎていてちょっと危なかっしい気もした。

  • 戒名って難しい…。

  • 最近は仏教ブームということで、まじめに仏教に取り組む大衆向けの本がたくさん出版されているが、もとを辿れば、この本がベストセラーになったことから大きな流れが始まっていると思う。この本は、一言でいえば葬式仏教を批判する本なんだけど、その批判の論拠は、断片的な事象をただ並べているだけで、仏教思想史に対する深い洞察に基づいて書かれた形跡が感じられないので、内容はちょっと危なっかしい。というか、わざと下世話な感じの本に仕上げているフシがあり、哲学的に深入りしないのも作戦のうちかな。まあ、大衆の共感を得るにはもってこいのセンセーショナルな内容であることには間違いない。

    日本独自の葬式仏教を支える「死ねば煩悩も消えてなくなるから、たちまち仏になれる」という理屈を考えたのは誰なんだろ?(こういう直接的な思考回路は個人的には大好き)

  • [ 内容 ]
    釈迦仏教は葬儀と無関係。
    大乗仏教は釈迦仏教にあらず。
    各種の儀礼は道教と儒教からの拝借。
    お経は葬儀用に書かれたものではない。
    中国で創作されたお経も少なくない。
    往生と成仏は異なる。
    死後戒名は江戸幕府の押し付け。
    永代供養は「永代」ではない。
    仏教界にも「勝ち組」と「負け組」がある。
    …お寺やお坊さんにとって都合の悪い話にも遠慮なく触れ、仏教の基本と歴史をわかりやすく解説する。

    [ 目次 ]
    第1章 人は死んでどうなるの(そもそも「戒」とは 従来の死生観が通用しなくなってきた ほか)
    第2章 仏教がやって来た(祖霊まします我が山河 宗教心の源にあるもの ほか)
    第3章 大乗仏教は釈迦仏教にあらず(「悟り」から「慈悲」へ 仏教と葬儀は無関係だった ほか)
    第4章 あの世という世界(浄土教と西方浄土 往生と成仏はどう違うのか ほか)
    第5章 葬式仏教に徹すべし(江戸幕府の寺請制度 戒名はこうして作る ほか)

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  • 2007.9.5~8読了

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