原発・正力・CIA: 機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書 249)
- 新潮社 (2008年2月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106102493
感想・レビュー・書評
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原発って、そもそもの始まりからして、確固たる信念のもと推進されたわけじゃなく、正力っていう人物が自らの野望を果たすための道具=アメリカとの交渉の道具として使われたっていうのはなんとも不愉快極まりないわけで。もし、それが事実だとしたら、たとえば、アメリカのロビー活動の影響で原発推進に動いた中曽根氏のほうがよほどマシにみえたりするという。
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原爆投下後10年で原子力平和利用博覧会が開催された。今現在、福島の事故から8ヶ月で原発推進を政府が表明する。日本という国はつくづく不思議だ。誰のためにそうするのか?戦後日本という国の枠組みが出来ていないうちに、正力松太郎やらがルールを作った。それが今の日本だ。あれから、60年以上立つのに時代遅れのルールでこの国はもがいている。もう、ゲームオーバーなんだよ。一度リセットして新しいゲームをはじめようよ。俺たちはまだまだこんなもんじゃねえよ。
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おもしろい。
総理大臣になりたいとう野望を持つ正力は、原子力とアメリカを利用し、アメリカもメディア王であり自他ともに認める反共主義者である正力を利用した。 -
またまた原発もの。
なぜ広島長崎から10年もたたずして、日本は夢のエネルギー原子力の平和利用を追い求めたのか、そしてなぜ国策民営という体制となってしまったのか、その背景・一因を、正力という政治家・メディア王を軸にして、CIAの一次史料を元に、当時の国際・国内の政治社会情勢から紐解いている。
歴史的出来事を生み出す連鎖の複雑さ、面白さを伝えたい。特定の組織や人を非難するのではない、原発・正力・CIAの存在を賛美もできないが否定もできない、という、あとがきに記された筆者の姿勢がよいと思った。 -
“ついに太陽をつかんだ"
日本に原発がやってくるまでの話。 -
日本に原子力が導入された経緯とそこに暗躍する人々。いまや秘密でもなんでもない正力松太郎とCIAの関係が米国の外交資料をもとに明らかにされている。まさにタイムリーなネタ満載でおもしろい。
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CIAが公開した秘密文書「正力ファイル」から、戦後昭和史が浮かびあがる。正力松太郎氏といえば、読売新聞社主であったが、テレビ網の構築に強い意欲を示し、CIAを向こうに回し太刀回り。そしてわが国の原発の導入のきっかけとなる。そんな一面があったのかと大いに感心した。
一方、CIAの情勢分析力は鋭利な刃物のように冷徹で切れ味鋭い。こうした専門家による下地があってこそ強い交渉力、見えない圧力を形成しているのだろう。ある意味、007やゴルゴ13は現実とそうかけ離れたことではないと思わせられた。