日本語教のすすめ (新潮新書 333)

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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103339

感想・レビュー・書評

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  • 鈴木孝夫さんのこれまでの研究内容、持論がわかりやすく凝縮された一冊。日本、日本語の素晴らしさの世界への発信という著者の希望は、不十分ながら近年急ピッチで進んでいる気がする。少子化で外国人労働者を多く迎え入れたり、観光業に力を入れたりする中で、不可欠だと日本社会が思い始めたのか。その対象が日本のアニメやエンタメ部分ばかりなのは、鈴木さんの意図するところではないかもしれないし、相変わらず日本の英語へのコンプレックスは凄いけれど(私もそのひとりか)、。
    また鈴木さんが研究対象そのものでなく、広く好奇心を持って積極的な行動力を持っていたことが、これだけのインパクトの大きな業績に繋がっていると思った。目の付け所と対象の絞り方が凄い。当たり前と思われていることに改めて疑問を持ち、分析、発展していくことはどの分野でも大事なのかもしれない。

  • 「言葉を使って他人をこちらが望むように動かすこと、これを言語学では言語のもつ他動機能(conative function)と呼びますが、日本人の言語行動にはこの言葉の使い方がどうも弱いように私は思います。」p215

  • 言語社会学者、鈴木孝雄の書。

    世界には6千もの言語があるとのこと。
    日本語を他国の言語と比較し、その独自性を追求していくなかで、日本語の素晴らしさを説かれている。

    当たり前のように接し、当たり前のように使用している母国語の日本語。だからこそ、気付かないその魅力を十二分に解説されている。

    二重音声、色、人称の話は感心しながら楽しく読めた。
    また、文明と言語の絡み合いについて力説されている当たりは、後段の日本語教のすすめに説得力を与えている。

    日本語が、世界から、そして日本人自身から過小に評価されている点について、それを大きく撥ね除けるように日本語の魅力が綴られている。

    著者は新興宗教を起こしたとのこと。
    それが、本書のタイトルにある「日本語教」。冗談だと思うが、内容はいたってまじめで、曰く『この世に折角生を享(う)けながら、日本語と言う素晴らしい言語を知らずに空しく死んでいく人を、一人でも少なくする努力をしよう』とのこと。

    本当に面白い本で著者の他の本にも当たってみたくなった。

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    【目次】
    第1章 日本語は誤解されている(日本語ってどんな言語 漢字の読みはなぜややこしいのか ラジオ型言語とテレビ型言語)
    第2章 言語が違えば文化も変わる(虹にはいくつの色があるのか 太陽は世界のどこでも赤いのか 蛾と鯨が同じ理由 文化によって異なる羞恥心)
    第3章 言葉に秘められた奥深い世界(天狗の鼻は「長い」ではなく「高い」 形容詞の中身はなに? 江戸時代、「日本酒」はなかった)
    第4章 日本語に人称代名詞は存在しない(身内の呼び方の方程式 日本語の人称代名詞を巡る問題 指示語と自己中心語のしくみ 「人称」の本質は何か)
    第5章 日本語に対する考えを改めよう(日本人のもつ相手不在の外国語観 日本語教のすすめ)
    ----------------
    【内容(「BOOK」データベースより)】
    「日本語は英語に比べて未熟で非論理的な劣等言語である」―こんな自虐的な意見に耳を傾けてはいけない。われらが母語、日本語は世界に誇る大言語なのだ。「日本語はテレビ型言語」「人称の本質とは何か」「天狗の鼻を“長い”ではなく“高い”と表現する理由」等々、言語社会学の巨匠が半世紀にわたる研究の成果を惜しげもなく披露。読むほどに、その知られざる奥深さ、面白さが伝わってくる究極の日本語講座。
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  • (推薦者コメント)
    日本語は本当に非論理的か。日本語を考えるすべての人へ、鈴木孝夫からのメッセージ。

  • 日本語の国際普及は、文化侵略でも帝国主義でもなく、世界へのお返しである

    卑下するのではなく、普及を意識した活動や行動をすべし、だね

  • 大学受験時代に「武器としての言葉」を読んで以来、時々手にしてきた著者の本。虹は何色かとかオレンジ色のネコの話とか、またこのネタかと思う部分もないではないですが、新書というフォーマットで新しい若い読者を獲得することも大事なのでしょうね。

  • [ 内容 ]
    「日本語は英語に比べて未熟で非論理的な劣等言語である」-こんな自虐的な意見に耳を傾けてはいけない。
    われらが母語、日本語は世界に誇る大言語なのだ。
    「日本語はテレビ型言語」「人称の本質とは何か」「天狗の鼻を“長い”ではなく“高い”と表現する理由」等々、言語社会学の巨匠が半世紀にわたる研究の成果を惜しげもなく披露。
    読むほどに、その知られざる奥深さ、面白さが伝わってくる究極の日本語講座。

    [ 目次 ]
    第1章 日本語は誤解されている(日本語ってどんな言語 漢字の読みはなぜややこしいのか ラジオ型言語とテレビ型言語)
    第2章 言語が違えば文化も変わる(虹にはいくつの色があるのか 太陽は世界のどこでも赤いのか 蛾と鯨が同じ理由 文化によって異なる羞恥心)
    第3章 言葉に秘められた奥深い世界(天狗の鼻は「長い」ではなく「高い」 形容詞の中身はなに? 江戸時代、「日本酒」はなかった)
    第4章 日本語に人称代名詞は存在しない(身内の呼び方の方程式 日本語の人称代名詞を巡る問題 指示語と自己中心語のしくみ 「人称」の本質は何か)
    第5章 日本語に対する考えを改めよう(日本人のもつ相手不在の外国語観 日本語教のすすめ)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「ことばと文化」と同じようなことを書いてたから、特に目新しい情報はなかった。

  • 日本語の尊さに、気付いた。やはり「英語」が一番と思うのは、日本人の特有の悲観的な癖なのであろうか(笑)
    6000ある言葉のなかでも、1億2000万人が使っている日本語を価値を大切にしたい!

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著者プロフィール

1943年岩手県生まれ。三菱系エレベーター会社を経て1967年に独立創業し、鈴木エレベーター工業(現在のSECエレベーター)を1970年に設立。独立系エレベーター保守会社という新しい業態を日本に誕生させる。エレベーターの構造を知り尽くす「技術屋」で、ビジネスの面でもエレベーター業界の風雲児として活躍する。

「2017年 『技術屋が語るユーザーとオーナーのためのエレベーター読本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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