国家の命運 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 110
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  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103902

感想・レビュー・書評

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  • 六カ国協議の日本代表をとりまとめたアジア大洋州局長であり,最終的には外務事務次官であった藪中氏。
    その外交の実質トップが退任してすぐに書く外交の本なのだから,おもしろくないはずがない。
    普段,「外務省は・・・」と否定的に捉えることが多かったが,その外務省が実はどのように活躍していたか,活躍していなかったかがわかった。国際政治のバランスのようなものも感じ取ることができる。おもしろい。
    日本的外交は非常に敏感。例えば,オバマ大統領の一般教書演説に日本の名前が出るかどうかなどは,本来,日本としてはそれほど気にする必要がない事項。にもかかわらず,とくにマスコミが先導して,相手の反応を過大に感じ取りすぎ,自ら不利な方向に動くよう働きかけてしまうという点には納得。

  • これまでに著者が携わってきた外交交渉の裏側や交渉術についての記述が面白い。個人的にはサミットの裏側で各国の代表者がどう動いているかの話が特に面白かった。長期的かつ国際的な視点を持って方針を決定することの重要さを感じた。

  • 外交官として世界での日本の立場を分かりやすく説明してくれてよくわかったよ。ちなみにこの本をもっと早く読んでれば今日の日経テストで三問正答できた。とてもタイムリーな内容でした。(^o^)

  • 外交論がテーマとなっている本書だが、広い意味で交渉とはどういうものなのかについて考えるきっかけをもらえる(自分自身はさまざまな外交問題については非常に「疎い」方なので、各章における各論は「へぇそうなんだ」というレベルでしか読めなかった、ということも一応書いておく)。

    一点根底にあるテーマをピックアップすると、途中にも一項目書き出されており、交渉術という点ではよく知られてはいることではあるけれども「51対49の原則」について。本書ではさまざまな外交の現場を通して読み解くことができる。もちろん、実際に外交官として活躍されていた著者によるものなので、非常にリアルで、かなり生々しいなぁというものもある(各論は、かなり淡々と描写されているのではあるが)。

    応用していくなら、例えば現在、いやこれからさらに国民全体を巻き込んだ内政問題となっていくであろう原発の問題。残念なことに「原発推進」「反原発」というやたらと極端な二元論になってしまっているところに、(恥ずかしながら自分も震災前はそうであったであろう)無関心層が巻き込まれてゆく。この議論中で、いろいろな立場の代表者が、どのように交渉していて、どのような落としどころに向かっているのか。一市民として流れを冷静に読み解く必要が出てきた際に、極論に流されずにきちんとモノを考えること。一市民として微力ながら「その落としどころに賛成」というところにきっちりと誘導する/されること。そんなことを考えるベースにもなった。

    政治家でも運動家でも活動家でもない、ただの一市民だからこそ、何度でも繰り返し読んでおきたい一冊。

  • 日本の外交官が世界という舞台でここまで戦っている事実を知らなかった。日本の外交官は、他国と比べて積極的な発言がないというのは事実かもしれない。
    しかし、薮中さんは間違いなく世界の外交官とつばぜり合い、駆け引きに応じ、互角以上に戦っている。

    また、読もう。

  • 奥ゆかしさを大切にする辺境人、日本人。
    しかし、交渉の場では、論理とかけひきが重要。

    外交を極めた著者が、分かりやすくその要諦を説く。
    極めた人には、他の分野にも共通する本質的な部分が見えている。

    読みやすく手頃なボリューム。

  • 昨年まで外務事務次官であった著者が自らの経験から、日本のあるべき姿に言及している。経験を積み重ねた人の言葉は重い。

著者プロフィール

2021年7月現在
立命館大学客員教授、大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)特任教授、グローバル寺子屋・薮中塾主宰。

「2021年 『外交交渉四〇年 薮中三十二回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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