生物学的文明論 (新潮新書 423)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104237

感想・レビュー・書評

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  • 生物学的な世界観から書かれた本書は、日頃読むビジネス書とは毛色が違い、新鮮な気付きが多かった。特に印象に残ったのは、社会の時間は速くなったが体の時間は変わらないギャップが、現代のストレスの原因だということ。睡眠不足気味の日々を送っている身には、響くことばやった。

  • ・生物の「体のサイズ」。それによるエネルギーと時間の相関関係
    ・ビジネスが持つ「時間操作」「時間環境」という問題
    ・「ヒトの寿命」と「人の寿命」
      (人という生命体がもつ本来の寿命と、現代を生きるヒトの寿命)

    不思議な視点です。
    生物の持つ多様な姿・形は、合理的な結果であるとするならば、
    人間の姿かたち、ライフスタイルはこの先どうなるか・・・。
    そんな事を考えさせられる。

  • 生物・バイオテクノロジー

  • ★サンゴ
    石の家を作り、その中に住む
    死んでも家が残り、それが固められてサンゴ礁に
    サンゴ礁付近の海域…藻類(-)、植物プランクトン少ない→ゆえに水が透明(貧栄養)
    ※褐虫藻…
    サンゴの細胞内部に棲む
    褐虫藻が作った食べ物の9割をサンゴがもらう
    サンゴの排泄物(窒素化合物)を肥やしとしてもらいうける
    サンゴが呼吸しCO2放出→褐虫藻が光合成に利用
      →光合成で生じるO2をサンゴが利用
    サンゴが持つ石の家&刺胞(毒針あり)により安全

    以上P20で力尽きた

  • ナマコとはすごい生き物である。

  • 豊かな海をはぐくむサンゴ礁にも、日夜潮だまりで砂を噛むナマコにも、あらゆる生きものには大切な意味がある。それぞれに独特な形、サイズとエネルギーと時間の相関関係、そして生物学的寿命をはるかに超えて生きる人間がもたらす、生態系への深刻な影響…。技術と便利さを追求する数学・物理学的発想ではなく、生物学的発想で現代社会を見つめ直す画期的論考。

  • 前半の生物学的からの事例や知見も面白いのですが、10章が秀逸です。「ヒトの寿命と人間の寿命」ー「還暦過ぎは人工生命体」。
    ど直球ですね。すごいですね。
    そもそもの生物としてのヒトは子孫を残せなくなった時点で意味がなくなる存在。しかし、医療の進歩などで長寿となり、生き続ける。ヒトの体としては品質保証がきれた状態。しかし人間としての経験や知恵こそが存在意義となる。また高齢になれば蓄えなどもこれから貯めて行く必要はないので、むしろ積極的に社会に向き合える。よって人間は二度の生を送ることができる。
    人口減少、成熟市場を迎え心配されるこれからの日本ですが、このぐらい吹っ切れた高齢者がたくさんいたらエキサイティングな世の中になりそうです。

  • 脳みそ中心主義(文系)と素粒子還元主義(物理的な理系)の間の視点で世界を眺める本。生き物にとっての時間は物理におけるそれとは異なるという考え方なども面白い。著者のベストセラー『ゾウの時間、ネズミの時間』にも通じる。

  • ナマコの研究者の著者が、生物多様性とか、生物のデザインを語る本。
    「ゾウの時間 ネズミの時間」で有名な人です。
    生物用語は少しだけしかでてこないので、予備知識がなくても大丈夫。
    生物多様性とか、水不足とか、食料問題を取り上げてます。生物のデザインの章が印象的でした。なぜ生物は円柱形なのか!
    ナマコの人だから原始の棘皮動物絶賛なのかなーと思ったら、以外とそういう箇所は少なかったです。あったけど。
    マイコプラズマからクジラまでのサイズや基礎代謝や心拍数や表面積など、様々な指標を用いて比較してます。
    口語調で優しいおじさん風なのに、後半は主張が凶暴で素敵です。
    人間の生物学的寿命は26.3年!それ以降はサイボーグ!生殖活動できんくなったら生物的には資源の無駄やから死ななあかん!
    えぇー!この高齢化社会でみんな分かってて黙ってたことをはっきり書いちゃった!!!
    最後には、生殖活動に参加できない年齢層で仕事引退した人は、利益追求しないで、高齢者の介護と子育て支援すれば、資源の消費に対する罪悪感が軽減できるよ!てへぺろ☆(・ω<)
    みたいにまとめてます。
    人間の時間の流れを、文明とエネルギーを使って無理やり早めてるから、なんだか人間は疲れてしまうんだそうです。スローライフ推奨??

  • 生物の形は物理と違い理由がある。
    生物は円柱、人工物は四角。なるほどねぇ。
    生物の大きさとエネルギーの関係や、生物の時間とか、興味深い。
    「ゾウの時間、ネズミの時間」もそのうち読んでみよ。

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著者プロフィール

生物学者、東京工業大学名誉教授。

「2019年 『生きものとは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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