文明の災禍 (新潮新書 437)

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  • Amazon.co.jp ・本 (186ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104374

感想・レビュー・書評

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  • 先行きの不透明感を、率直に表現しつつも、原発事故で気付かされた現代社会の脆さを、冷静に素直に真摯に反芻する。大震災の半年後という時点で著された本で、まだ、ポジションを意識した泥沼論は少なかったのだろうか、落ち着いて当時の心境を振り返ることができる

  • 市井の哲学者 内山節が、東日本大震災を通して日本社会の姿を浮かび上がらせる。深い論考であるが、平易な表現で分かりやすい。
    著者の文章は、大学入試の国語の論述文で、よく使用されるとのこと。受験生である息子からの情報。受験は追い込みの時期。よくがんばっている。

  • 科学という文明がもたらした災禍が原発事故によって明らかになった。
    自然災害に科学の力、人間の力が及ばないということの他に、そこから起こった情報の錯綜。正しい情報を得ることができない科学の専門性の深さと世の中に流れる情報の多さ。
    そうではなく、地に足の着いた生活の範囲内、情報の範囲内で生きてはどうかというもの。

  • それほどおもしろい内容ではなかった。
    p.68にあるような情報の価値基準についての筆者の考え方こそが、p.110で述べるような、いわゆる「専門家」を作ったのではないか。現代では、情報はブラックボックス化しがちである。それは悪意ある隠蔽であるかもしれないが、たんに市民の怠慢であることも往々にしてあるだろう。「専門家」からの「暴力」に対抗するには、「餅は餅屋」という考え方を改める必要があるのだろう。
    本書の称賛すべき点は、「放射性物質に関しては、論理的に『風評被害』は存在しないと考えた方がよいと私は思っている。」(p.55)と震災数ヵ月後に表明したことではないかと思う。

著者プロフィール

内山 節:1950年、東京生まれ。哲学者。1970年代から東京と群馬県上野村を往復して暮らす。NPO法人・森づくりフォーラム代表理事。『かがり火』編集長。東北農家の会、九州農家の会などで講師を務める。立教大学大学院教授、東京大学講師などを歴任。

「2021年 『BIOCITY ビオシティ 88号 ガイアの危機と生命圏(BIO)デザイン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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