反・幸福論 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106104503

作品紹介・あらすじ

無縁社会の何が悪いのか。遁世も悪くない。「ポジティブ」がそんなに善いのか。格差是正なんて欺瞞だ-。権利や豊かさや便利さを追求し「幸せになるべき」と刻苦勉励してきたはずの日本人が今、不幸の底に堕ちている。大震災、政権交代、「正義論」ブームなど近年の出来事を稀代の思想家が厳しく見つめた時、偽善の殻に包まれたこの国の正体が露わになる。柔らかい筆致の中に、日本人の禍福の真理が詰まった至高の啓蒙書。

感想・レビュー・書評

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  • 「反・幸福論」佐伯啓思著、新潮新書、2012.01.20
    255p ¥777 C0210 (2023.04.07読了)(2015.01.16購入)
    『新潮45』に連載したものをまとめたものということです。世相の評論というところですね。どういうことなのかは、わかりますが、どうしたらいいかはわかりません。どうしたらいいのかを書いてくれているのもありますけど。
    日本人全体は、どうしたらいいかわからず、漂流しているということなのでしょうね。

    【目次】
    はじめに
    第一章 サンデル教授「白熱教室」の中の幸せ(2010年12月)
    第二章 「国の義を守る」という幸福の条件(2011年1月)
    第三章 「無縁社会」で何が悪い(2011年2月)
    第四章 「遁世」という幸せ(2011年3月)
    第五章 人間蛆虫の幸福論(2011年4月)
    第六章 人が「天災」といわずに「天罰」というとき(2011年5月)
    第七章 畏れとおののきと祈りと(2011年6月)
    第八章 溶解する技術文明(2011年7月)
    第九章 民主党、この「逆立ちした権力欲」(2011年8月)
    あとがき

    ★これから読む本(積読中)
    「無縁社会」NHKスペシャル取材班、文春文庫、2012.07.10
    「人生論」トルストイ著・原卓也訳、新潮文庫、1975.11.25
    「福翁百話」福沢諭吉著・佐藤きむ訳、角川ソフィア文庫、2010.09.25
    「カンディード」ヴォルテール著・吉村正一郎訳、岩波文庫、1956.07.25
    「ハイデガーの思想」木田元著、岩波新書、1993.02.22
    ☆関連図書(既読)
    「これからの「正義」の話をしよう」マイケル・サンデル著・鬼澤忍訳、早川書房、2010.05.25
    「武士道」新渡戸稲造著・矢内原忠雄訳、岩波文庫、1938.10.15
    「新渡戸稲造『武士道』」山本博文著、NHK出版、2012.02.01
    「楢山節考」深沢七郎著、新潮文庫、1964.07.30
    「西行」高橋英夫著、岩波新書、1993.04.20
    「新編 宮沢賢治詩集」宮沢賢治著、角川文庫、1953.12.20
    「セロ弾きのゴーシュ」宮沢賢治著、角川文庫、1969.02.10
    「方丈記」鴨長明著・武田友宏編、角川ソフィア文庫、2007.06.25
    「鴨長明『方丈記』」小林一彦著、NHK出版、2012.10.01
    「善悪の彼岸」ニーチェ著・竹山道雄訳、新潮文庫、1954.05.15
    「道徳の系譜」ニーチェ著・木場深定訳、岩波文庫、1940.09.10
    「「欲望」と資本主義」佐伯啓思著、講談社現代新書、1993.06.20
    「「市民」とは誰か」佐伯啓思著、PHP新書、1997.07.04
    「アダム・スミスの誤算 幻想のグローバル資本主義(上)」佐伯啓思著、PHP新書、1999.06.04
    「総理の資質とは何か」佐伯啓思著、小学館文庫、2002.06.01
    「新「帝国」アメリカを解剖する」佐伯啓思著、ちくま新書、2003.05.10
    「自由と民主主義をもうやめる」佐伯啓思著、幻冬舎新書、2008.11.30
    (「BOOK」データベースより)amazon
    無縁社会の何が悪いのか。遁世も悪くない。「ポジティブ」がそんなに善いのか。格差是正なんて欺瞞だ―。権利や豊かさや便利さを追求し「幸せになるべき」と刻苦勉励してきたはずの日本人が今、不幸の底に堕ちている。大震災、政権交代、「正義論」ブームなど近年の出来事を稀代の思想家が厳しく見つめた時、偽善の殻に包まれたこの国の正体が露わになる。柔らかい筆致の中に、日本人の禍福の真理が詰まった至高の啓蒙書。

  • 以前読んで、本棚にしまってあったが、本棚の整理の際に読み直してみた。

    特に第4章で語られる生と死のどうしようもない断絶というのが、最初に読んだ時にはなるほどと思ったが、今回読み返して感想が変わった。

    というのも、平野啓一郎氏の「私とは何か 「個人」から「分人」へ」で語られる「分人」という概念を用いると、必ずしも断絶とは言い切れないからである。

    Aさんが死んでも、Bさんの中のAさん向けの分人は残り、Bさん全体に影響を与え続ける。そう考えると、自分の死後も自分の存在の影響は残るわけで、そのことも頭の片隅において生きていきたいと思った。逆に大事な誰かを失ってしまったときには、その人の存在を胸に生きていきたいと思う。

  • 目についたものについてつらつら語る本
    共感しにくい上に著者の軸みたいなのが見えなくて読んでて辛い。
    連載だからそういうものかもしれないが、起きてることについて適当に話しただけで、作者のファンでもないと楽しみにくいと感じた。

    尖閣自衛、無縁社会、幸福感、天災、技術文明

  • 幸福を強迫観念の視点と絡めて面白かった。ルサンチマンの話も説得力がある。
    仏教のところは話が難しかった。

  • 哲学
    思索

  • 新潮45への連載したエッセイという事で一つ一つのテーマは気を引く仕立てになっているが、中々頭に残らない。幸せとは何か、という事については、この本を読むよりは自らの価値観を改めて見つめ直す方がよっぽど有意義かもしれないし、その自分自身の価値観のフィルターがあるから、すんなり頭に入らないのかも。

    幸福とはなんだろうか。感覚で実感する幸福感などは、所詮、言葉で定義すべきことではないのかも知れない。

  • 今更ながら再読に挑戦します。
    オレよく分っていなかった・・と思う。

  • 全て然りと思う論理性。民主党政権時代の虚無感、東日本大震災直後によくここまで予測できた。メディア関係者も必読書。

  • 人間は自由や幸福になるべきなのか、批判的な目線で改めてこの問いをかんがえてみるのもよいかも。

  • 本書、前半では、「無縁社会」現象を、戦後日本が目指した「近代化=個人の自由の拡大」の当然の帰結と指摘する等、現代社会の鬱積感というか喪失感の根本(ニヒリズム)を論じている。また、後半では、震災を機に、現代人がすっかり忘れてしまった「日本の霊性」(何か絶対的なものにすがるほかないという感覚)について指摘し(第七章)、民主党政権を「既得権益」や「守旧勢力」などの「権力を批判することによって自らが権力をもつ」屈折した権力欲の集団とバッサリ切り捨てている(第九章)。いずれも成る程と思える鋭い指摘だが、特に、民主政治の問題の本質が、責任を取らない国民のルサンティマンに政治が大きく振り回されることにあると指摘している点には説得力がある。なるほどその通りだと思う。

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著者プロフィール

経済学者、京都大学大学院教授

「2011年 『大澤真幸THINKING「O」第9号』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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