本当は怖い動物の子育て (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106105128

作品紹介・あらすじ

まさか!?なんてこと!!パンダの母親は「できの良い子」をえこひいきして「ダメな子」を見殺しに。タスマニアデビルは生まれたての赤ちゃんにサバイバルレースを課し、リスはご近所の子を取って食う…子殺し、DV、虐待は日常茶飯事。極悪非道に映るメスたちの狙いとは?オスはその時どう動く?「ヒト」は彼らと別物か?テレビ番組や動物園が伝える美談からは決して見えてこない、動物たちの恐ろしく、たくましい真実の姿。

感想・レビュー・書評

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  • 「母親スイッチ」なんてない。そんなものは、たぶん誰かの(当事者じゃないだれか)の願望なのだ。
    にも関わらず、それが実在していると信じられてしまっているために、「理想の母親」を演じられずに苦しむ女性のなんと多いことか。
    少子化を憂いつつも、若年出産や未婚の母を蔑視し、差別する。一家の苗字がバラバラなだけで家庭が崩壊すると心配する。
    「よりよく育てられない」という予測が出た時点で、次へ進むのは、動物としてはなんら間違っていないやり方なのだが、人間世界ではそれが通用しない。
    「動物の愛情あふれる子育てを見習え」という人は、動物のシビアな選択もまた受け入れなければならないだろう。動物の生態のイイトコどりだけするのは虫が良すぎる。
    人間もまた動物の一種である、という謙虚さを思い出したほうがいいよなあと思った。
    「虐待行為」のみに焦点を当てて、行為者を非難したり糾弾したりしても、問題はなんら解決しない。人間なら「理性的」に判断すべきじゃないのか。
    よけいな知恵や文化が発達したせいで人間は苦労しているようにしか思えない。
    もっと動物行動学が広く知られればいいのにといつも思う。

  • この本は同じ動物好きの友達から勧められて読みました。既に知っていた子育ての仕方なども書かれていたのですが、知らないこともたくさんあって読むのが面白かったです。本の後半ごろから人間の子育ての仕方や民族の長が女性の場合と男性の場合、どのような決まりがあるかなど、動物だけではなく人間のちょっと怖い子育てについても読めたのがよかったと思う。この本は動物の子育てに興味がある人に勧めたいです。

  • 目からウロコの面白さ。

    最近社会では子供の虐待や殺人が問題になっているけれど、動物の世界ではよくある話なのだそう。

    パンダは大概2頭の子供を出産し、大きい方だけ育ててもう一匹は育児放棄するらしい。
    今動物園で何頭も育っているのは、飼育員さんが、子供をすり替えて上手く親パンダをだましているらしい。

    どうも母乳の量だ足りなくなるのを見越しての行動ではないかという。

    継子殺しもよくある話。

    動物の行動を人間にあてはめればなんとなく理解出来る所は多い。
    もちろん動物と人間は違うけれど。


    一番興味深かったのは中国、四川省と雲南省の境にある高地に住むモソ人の結婚形態の話。

    モソ人は少し変わった母系の家族形態をとる。
    男女は年頃になると「走婚」といって、男が女のもとに通う。
    そのうちお披露目して公式カップルにはなるのだが、男が婿として同居はしないのだそう。
    ここが普通の母系家族と異なるところ。

    男はずっと実家に留まり、姉や妹の生んだ子供の世話をする。
    同居家族は血縁だけで構成される。
    例えば一人子供が居たとして、その子の同居家族は大おじさん、おばあさん、お母さん、おじさん、おばさん、いとこ達・・ということになる。

    こうなると日本社会で問題となっている事は起きにくい。

    女も男も舅、姑とは同居しないのでその手のもめ事はナシ。

    女の生んだ子供は父親が誰でも一族には変わりないので、大事に育てられる。
    よって虐待も起きにくい。

    不倫も不倫ではないかも。
    「なんだか最近こなくなったわねー、他所の女の所行ってるのかなー。」
    という感じか。

    男は妻子を養わなくてもいいので、経済力がなくても結婚は出来るが、ルックスや性格、才能でアピール出来ないとダメなので、それはそれで結構厳しいかも。(笑)

    ずっと二人で暮らしたくなったら家を出たりするのかな?
    もし上手くいかなくて別れても実家には帰りやすいだろうねぇ。

    この結婚形態、案外いいかも。

  • この本を読んでから、連れ子を虐待死させたニュースを見る度に動物の本能が強いからか…と思ってしまう。色々な動物がいるが、人間も本能的には自分以外のオスの子を育てられるようにできてないのかな。まぁ他の動物と違って人間は知性があるから絶対許されることじゃないんだけど。でも女性はそういうオスがいるってことも知っといたほうがいい気がする。

  • 自分の遺伝子のコピーを残すために合理的に行動する動物の子殺しについて解説、その後先住民に見られる先進国では倫理的、社会的に問題となる子殺しを紹介。そして昨年読んだ「日本の殺人」でも統計的に示されていた殺人の大半を占める家族殺し、特に親、継父母による子殺し、また虐待の多さはこの遺伝子の論から説明がされると。原因を倫理に求めると実態把握すら難しくなるが本書の論点は明確な指針を与えてくれると感じた。

  • オスが遺伝子を残すための工夫を、いかにしているか、ということが記されている。
    そういうもんだろうなあ、と思う。

    とはいえ、今更あなたの子じゃありませんでしたといわれても、もうひきかえせないなぁ、と十代の娘二人を育てる親としては思う。

  • 生物学の最新の研究を元にネグレストの予防方法を検討した一冊です。

  • パンダやリスやタガメやタツノオトシゴ、そして人間の、子育てにおける取捨選択や、
    『種の繁栄』ではなく『自身の遺伝子の繁栄』を思わせるこわーい本能について。
    怖いけど、大変興味深く読めた。

  • 動物界をみると、虐待は起きて当然、という感じだった。
    特に、再婚とかした日には、継父は、母の連れ子を虐待するのが当たり前(自分の遺伝子を残すため)という感じだった。この著者らしく、結構衝撃的な書き方をしてあった。でも確かに、そんな感じかも…。

  • 教育、子育て支援関係者必読の本ではないでしょうか?

    大変大変示唆に富む本でした。

    竹内女史は動物行動学者であり、動物の生態から人間の行動について考えてこられた方です。私もほんの少ししか読んでませんが、女史の著作の一部には動物研究の成果の人間への過剰応用というか、平たく言えば「それって言い過ぎじゃない?」というものもあり、利己的遺伝子について誤解しているという指摘や、中には他の学者から「トンデモ本」と批判されているものもあるようですが、本書については、基本的には、非常に大事な視点を私たちに与えてくれていると思います。(本書でも少しだけ変な主張があると思います。)

    本書の11章中7章は、動物の子育ての知られざる側面について書かれています。

    「動物の親子」って聞くと、子どもを袋に入れているカンガルーの親子とか、寄り添って歩いている馬の親子とか、親が巣で待つ我が子のために餌を捕ってきて口移しにあげている鳥の親子とか、親が子どもの毛づくろいをしているサルとか猫の親子とか、ついつい「微笑ましい親子の姿」を思い浮かべがちですよね。

    しかし、本書は、動物の行動原理は、基本的には「種の存続」又は「自分の遺伝子の保存」であって、親が無償の愛を子に注いでいるわけではないし、むしろ種の存続のためのクールな戦略が取られている、という視点を教えてくれます。

    ほんの一例を挙げれば、
    ・パンダは双子を産んだ場合、片一方しかまともに育てようとしない
    ・サルやライオンのように群れで生活し、リーダーが入れ替わることもある動物の場合、リーダーの交代後、新リーダーのオスは旧リーダーのオスの子を殺す
    ・タツノオトシゴの一種は、オスが育児嚢で受精卵を育てるが、本能的に大きなメスとの交尾を好み、小さなメスとの交尾で受精した卵は中絶することがある。
    などなどです。

    もちろん特徴的な例が書かれているのでしょうから、これが動物の子育てのすべてではないですが、魚類から、鳥類、哺乳類、ヒトに一番近い類人猿までの様々な例が挙げられており、例外とも言えないようです。

    残り4章は2章ずつ、南米の先住民族の子殺しについてと、現代日本の児童虐待について書かれています。

    それらの内容は事実であっても誤解を招きやすい内容だと思うので、ここで無理にまとめないでおきますが、本書が私たちに与えてくれる示唆は、

    「人間も動物であり、子育てにおいてもそういう特質が現れる可能性というのはある」

    ということでしょう。

    この点で今も忘れられないやり取りがあります。かつて担当していた審議会における子育てに関する議論の中で、著名な動物の専門家が「父親は役に立たない。動物の父親はいくができない。ヒトも所詮、動物だから父親は育児ができなくてもしょうがない」というようなことを言われたところ、これまた著名な子育て支援についてお詳しい先生が「人間は『文化的な動物』なのであって、何でもかんでも動物と一緒に論じられたら困る」と言われたのです。

    このやりとりを伺った時は、後者の先生のほうを「さすがだなあ」と思ったのですが、今考えると、前者の先生の発言は、あまりにも誤解を招きやすい発言をちょっと安易にされたなとは今でも思うものの、「ヒトも動物の一種である」という視点は忘れてはいけないのかなと思います。

    児童虐待の悲惨な事件について、「人も動物の一種だからしょうがない」とは誰も思わないと思いますが、その予防や防止においては、時に人間は動物的な本能を見せることもあるという「可能性」を念頭に置いて考えてみてもいいのでははないか、などと考えました。

  • 新書は大体タイトルと内容が異なるものですが、この本についても、主題は人間の児童虐待を本能的な面から考察するというものでした。
    動物の子育て事例についても、あくまで主題に持ってくるまでの前座です。

    本能はそれ自体を否定するものではなく、自覚し納得することで解決法を見いだせると考えておりますが、
    本書は問題自体を自覚する上で有用なものと捉えました。

  • いやぁ、動物の本能は実に良くできてるなぁと感心するとともに、シビアであることに、ちょっと怖くも思えました。人間はどうしても感情的にとらえてしまいますが、動物であることには変わりなく、知らないうちにこの本能に従っているのかもと思わされました。

  • 動物の子育てについて「以下の自分の遺伝子を残すか」という一貫した観点から論じられており、人間の子育て、特に児童虐待の問題について、同様の観点から分析されている。
    記事を読むだけでいたたまれなくなるような児童虐待も、その根本は遺伝子にプログラムされた本能にあることを認識することで、新たな解決策を探るヒントとなる。
    本書の論旨及び著者の専門分野から、現実的かつ具体的な対策を提示するまでには至っていないが、ぜひ生かしてほしい内容。

  • 動物の子育ては残酷だと思った。人間も動物の一種だから虐待が起こるのもある意味自然なことなのかもしれない。

  • 動物は自分の遺伝子をよく残すために、いろんなことをする。育たなさそうな子は見捨てるし、新しくつがいになるためには、前の配偶者の子を殺すことも珍しくない。如何に自分の親族に手厚く、そうでない場合は冷たく見捨てる(とか、食べちゃうとか)、そういう話が、鳥だったり虫だったり魚だったりと、ずいぶん続く。鳥の第一ヘルパーは親族だが、第二ヘルパーは後釜を狙う他人、など。動物の行動として興味深く面白い話ばかり。しかし、後半に待ち構えているはずの、人間の虐待のことを考えてちょっと気が重い。
    だがその前に、まずは「よく遺伝子を残す」ためのいくつかの人間の子殺しを含めた営みが紹介される。このステップを踏むと、虐待の解釈は難しくなくなるが…。
    あまりないと想像したいが、多感なヒトの雄や雌がが、この本を読んでソノ気になってしまったら、と思うとなんとも暗い気分になる。僕だって、その自然から外れたからこそ今まで生き延びているのだろう。この本、なんでこんなタイトルなんだろ…?

  •  読んでいて驚きの発見が連続して起きた本である。
     愛くるしい仕草を見せて私達を和ませてくれる動物たちは、私達の想像を遥かに越えた子育てをしている。そして後半にかけては動物たちの子育てと、現代社会で暮らす我々の意外な共通点を見出し、論じている。

     冒頭でまず驚いたのは、「もし種や集団のために尽くす個体がいるとしたら、自分の遺伝子を残していくという事が疎かになり、結果的に自分の遺伝子を残すことを優先する個体に負けてしまう。彼らはいかに効率よく遺伝子のコピーを残すかを極めているため」という点である。
     その他にも、タガメは自身の遺伝子を残すために60回近くも交尾して献身的に卵に水をかけるも、他のメスに卵を壊されたらそのメスと交尾してしまう(より強い遺伝子を残すため)、タツノオトシゴのオスは自分の身体に「子宮」を作り出産する、タスマニアデビルは交尾の前にメスを巣穴に二週間近く閉じ込めてしまう(他のオスを近づけないため)、チンパンジーはその時の状況によって集団の子供を共食いすることがある、オオジュリンは自分の子ではなさそうなヒナがいる時はエサを与えるのをサボるなど、動物たちの遺伝子をめぐる壮絶なやりとりが書かれている。

     そして、その動物たちの行動は、私達人間においても子殺し(子どもが男に撮って自分の子か否か・子供の質・生育環境)という先住民にみられる行動や、今日問題になっている児童虐待(連れ子・障害児の子育て疲れ・末っ子への比較的酷い虐待・貧困家庭)へも強い関係を持っているのではないかと問いかけているのが本書の真の狙いである。

     本書の最後のページを若干省略して引用する。
     「人間も動物の一種である以上、遺伝子の論理の下、手探りの苦労を重ねながらどう振舞うべきかと懸命になっている。そんな毎日の中、子につらく当たり、手を上げてしまいたくなるような状況に直面することは誰にでもありえます。まず一呼吸おいてみましょう。それは本能の喪失などではありません。動物として自然なこと、恥ずかしいことではないと確認するのです。人間は他の動物とは違うと思い込み、自分を追い詰めるような事だけはしてはいけないのです」

     動物の生態について学ぼうと手に取った本であったが、生態だけでなく、動物を通じて複雑化した人間社会についても学ばされた。いい本である。

    自分用キーワード
    種の保存・種の繁栄(40年前に否定されている) シジュウカラ(繁殖シーズンに二回繁殖するが、二回目の方がヒナの死亡率が高い。餌不足で全滅することを割けるために、あえてエサを取れないヒナを作っている) デヴィッド・ラック(鳥類学者) ジャイアントパンダ(双子の内、第二子は不測の事態のためのスペア。最初から死んでしまうようになっている) ツイン・スワッピング法(パンダの双子を両者ともに母親に育てさせるために、すりかえる方法) 着床遅延(ツキノワグマなどに見られる、受精卵が胚盤胞の状態になったまま細胞分裂を止め、子宮の中を漂う現象。食料の無い冬ごもりの時に出産することを避けるため、より多くの免疫の型を持った子を殖やす為の知恵) ハヌマンラングール(群れのリーダーが交代すると、そのリーダーは乳飲み子を殺して新たに自分の遺伝子を残そうとする) ブルース効果(新たなオスの登場によってメスの妊娠が中断、流産、吸収されてしまうこと) ジリス(授乳中のリスは動物性タンパク質の為に他のリスの子を食べることがある) 交尾排卵(ラッコやネコに見られる、交尾の刺激によって排卵が起きるという現象。オスが周囲にいない状態で排卵するのを避けている) ショート・ヴィジットの効果(兵士や漁師の妻にみられる、排卵後から月経までの妊娠しにくい時期であっても妊娠すること。チャンスをものにするために交尾排卵が起きているとされる。似たような例に、停電中やクリスマスといった大きな心の揺れが訪れる時は排卵が起きやすくなるとのこと) アヨレオ族(南米に住む先住民。正式な結婚を果たすまでにできた子供を、父親から援助が得られない・障害を持っている・きょうだいとの年齢が近いといった「育てられない」と判断した時に殺してしまう) 人間関係地域ファイル(HRAF) ヤノマミ(ブラジル付近に住む好戦的な部族。彼らも子殺しの風習がある) マーガレット・ミード(学問における問題を引き起こした人物。自分が望む情報、データを得るための質問を相手に見抜かれ、教えられた嘘の情報を基に『サモアの思春期』を出版した) ステップファミリー 福田史夫(霊長類学者。「子供を持った男女は、子どもが小学生以下の場合は決して再婚すべきではない」と、虐待事件について述べている) モソ(中国に住む集団。子育てをするのは全て血縁者であり、虐待のない集団とされる) 

  • 非常に面白かった。現在生き残っているのは、遺伝子を残せた結果であるということから、より多くの自分の遺伝子を残す、そのためのいろいろな方法を動物がとっている。パンダから始まりさまざまな動物の例でどのようなことをしているかが説明されている。そのことから、さらに先住民の例などから人が本能的に取る行動の説明にもつながっている。非常に面白い。これは読む価値があった。

  • 知らなかった動物の生態、より良い遺伝子を確率高く残すため我が子殺し、兄弟殺しは動物ではよくあること、
    人間の虐待も動物の本能、より良い自分の遺伝子を残すための本能が残っているから起きるのではという

  • 動物の子育て、先住民の子育て、現代人の子育て…と様々な角度からみる子育て。
    人間として当たり前と思ってた考え方もあっさりと覆された気分です。何が正しいとか間違っているとかそういう問題ではなく、生きているものはみな根元としては一緒。だけど、今私が法律の存在するもとで生きてる以上感じなくてはならない感情とかは大事にしたいなって思いました。

  • 本当に怖かった。無責任な人間の母親を責める常套句に動物でさえ・・・というものがあるが、その常識が一変するような事実にページをめくるたび驚かされた。美しい幻想は木端微塵に砕かれた感は強い。ただ、皆、一生懸命に生き抜こうと努力していることは痛いほどに伝わってきた。

  • 久しぶりのレビュー。動物に見られる「子殺し」のメカニズムと、人間の児童虐待の関係について簡潔に述べられている。

    生物に共通の「子孫繁栄」という目標を達成するためには、あえて子を殺すことも理に叶う場合がある。それは動物にとって、よくあるプログラムであるそうだ。そうすると「では人間は?」と考えてしまうのは避けられない心理だろう。今でも「子殺し」が社会的に認められている先住民族の例を挙げながら、人間にも潜在しているプログラムが現代社会において「虐待」として表見していると本書は指摘する。それは非常にショッキングである。

    なぜ動物はあえて「子殺し」を行うのか。続きはこの本で。

  • 子殺しも虐待も、自分の種を残すという第一義に生きている動物にとっては当たり前の話かもしれないが、人間に増えているというのは「動物的になりつつある」ということなのだろうか・・・

  • 「ダーウィンが来た!」的な動物おもしろ知識本かと思ったら大間違い。
    自分の子を“よく”残すという遺伝子レベルの話から、後半は人間の児童虐待の話へ。
    どうしても感情論で考えられがちですが、生物学や文化人類学の観点から考えると、また違った見え方をします。
    「母親スイッチ」なんてない、という指摘は、救われるお母さんも多いのではないでしょうか。

    ただ研究結果をまとめただけではなく、最後にちょっと突飛な虐待解決策を提案しているのも面白いです。

  • タイトルとは裏腹に、育児放棄や虐待に関する考察の本。今でも文明の浸透していない原住民がいるということが驚きだった。母系性社会の方が子供を育てやすい、という考察を読み、女性のあらゆる意味での立場を見直すことで、もう少し子供を育てやすい社会を作れるのではないかと思った。

  • 本当に怖いです。母性愛を信じている人は、読まないでください。
    自分の遺伝子のコピーを残すことを最優先にするため、充分に育てられない、または自分の子ではないというときには、恐ろしいことが起こります。
    しかし、これは動物だけではありません。人間も同じです。子どもへの虐待が、本能で行われている部分がある、というのは衝撃でした。
    虐待を防ぐには、通報だけではダメ。育てやすい環境をつくること、その子を遺伝子的に大事にしてくれる人をつくること、いろいろ考えさせられました。

  • いかに動物は効率よく遺伝子を残そうとするかを、多くの事例とともに紹介しています。また、その内容をヒトにも展開しており、自らの子育てについて考えさせられます。残酷な事例も多いですが、とても勉強になりました。

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著者プロフィール

竹内久美子
1956年愛知県生まれ。京都大学理学部を卒業後、同大学院に進み、博士課程を経て著述業に。専攻は動物行動学。著書に『そんなバカな! 遺伝子と神について』『シンメトリーな男』(ともに文藝春秋刊)、『女は男の指を見る』(新潮社刊)、『ウソばっかり! 人間と遺伝子の本当の話』(小社刊)、『女はよい匂いのする男を選ぶ! なぜ』(ワック刊)など。

「2022年 『66歳、動物行動学研究家。ようやく「自分」という動物のことがわかってきた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

竹内久美子の作品

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