騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106255

感想・レビュー・書評

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  • 若手の記者が育っていかないことに納得。
    清水潔さんの調査報道の過程を知ると、今まで無事に生きておられることに驚きます。
    特にブラジル編!

    いま起きている、あらゆる報道の全てを信用してないけど、読み手側としても、しっかり考えなければいけませんね。

  • 調査報道の真髄を、過去作を概観する形で整理。こちらを読んでから他の著作に当たるのも良。色々と読み返したくなった。ただこれ、一歩間違えば命を失いかねない...。バランス感覚をどのように取っているのだろう。
    「記者に“真意”を読み取る力がなければ、情報は簡単に操られるということだ。」

  • ふむ

  • 桶川ストーカー殺人事件や、足利幼女殺人事件などで有名な清水潔の一冊。

    上記の話はもちろん、それ以外の失敗談なども含めて本当に内容が濃くて面白かった。
    そして警察とメディアの恐ろしさを改めて知った。

  • 情報を鵜呑みにせずに自分の頭で考え裏づけをとること。
    これの大事さを全章に渡って書き続けている本書。
    清水さんのジャーナリズムのあり方が好きでどの本も読んでいるので中には知っている話などもあったが、日系ブラジル人が殺人を犯したあとに母国に逃げ帰っているところに突撃した話や時効撤廃についての考え方や司法のあり方などはとても勉強になりました。

    また、ここからはこの本の本旨とは関係ないのだけれど
    先日旅行で行った鹿児島の知覧特攻隊の方の遺書の中で一番記憶に残り、こんな人間になりたいと名前を記憶していた穴澤利夫さんの奥様になられる予定だった方への取材記事があり、なにか縁を感じました。
    これから玉砕していく一人の人間として必要以上に強がるわけでも、後悔するわけでもなく、ただただ愛する人への感謝とその人の今後の人生を慮る穴澤さんの人柄を尊敬しています。
    また折を見て鹿児島に行きたいです。

  • 生半可な好奇心ではここまでできない。サラリーマンなのにここまでできるのは信念のなせるわざなのだろう。清水さんの著作を読むと調査報道のすばらしさや正義について考えることができる。そして、もうひとつ天職ということも著作を読んで考えることができるテーマとしてあるような気がする。誰もがこれをできるわけではない。各人が清水さんにとっての調査報道のようなものを見つけて社会に貢献できたら素晴らしいと思う。
    憧れているだけでなかなかその道に進めないし、余力を残してしまう。

  • この本を読んでまず「マスコミってやっぱりマスゴミだな」と思った。
    某書評サイトの書評を見て本書を手にとったのですが、その書評サイトで指摘していた「警察のやったことがひどすぎて」(これはかなり報道されていた)より、個人的にはマスコミは虚報(これはあまり報道されていなかった)で世論を惑わし、さらにそれを反省することなく警察が悪いと一方的に責任をなすりつける姿勢のほうがひどすぎるのではないだろうか。

    そもそも著者は、「おかしいものはおかしい」と警察検察のでっち上げ、裁判所の誤判、政治にまつわる利害関係、原発事故にまつわる隠蔽、マスコミの虚報について、「自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分の頭で考える」 ことが大切と「調査報道」を精力的に行っていて、これまで桶川ストーカー殺人事件、足利事件などの調査報道を行ってきた方です。
    本書では、その実体験に基づいた興味深い内容に惹きつけられながら読むことができ、調査報道の重要性を認識できました。

    マスコミは「社会の監視機能」を自称するのであれば、「発表報道」などやめて、本書のような調査報道をメインにするべきではないだろうか。
    「発表報道」的内容はインターネット等の広報媒体が充実している世の中なので当事者にさせればいいわけだし。

  • 「殺人犯はそこにいる(足利事件の菅谷さん冤罪事件)」、「桶川ストーカー殺人事件」の調査報道で社会に大きな影響を与えた著者が調査報道のありかたについて、これら2冊の著作以外の案件も踏まえて述べたノンフィクション。
    発表報道(対象が報道して欲しい内容を伝える)の対局としての調査報道(対象が報道して欲しくない内容を裏付け捜査をもとに伝える)の重要性、調査報道の現場で遭遇する種々の困難について著者のリアルな体験をもとに描かれています。「記者クラブ」という権力を保持する側の御用ジャーナリズムと化す発表報道の現場、記者会見現場で発表者の発言の真意を汲み取る努力ではなく、ただ”正確”にノートパソコンで発言をトレースすることだけに注力する昨今の報道現場など、著者が問題視する報道の在り方と、著者が重要視するポリシーが様々な事例を絡めて述べられています。
    「100取材して10を書け。10しか分からなければ、1しか書くな」という著者のポリシーは説得力があります。報道とプライバシーの関りとか、報道の自由とか、政権との距離感など報道をめぐる問題が昨今は本当に多い気がします。それらに対して、1本筋の通った回答を述べられているのが本書の著者清水氏ではないかと思います。
    本書にも触れられていますが、著者のスタイルを貫き通すと、様々な軋轢を生んだり(時には同業他社の報道関係者から)嫌がらせを受けるというのが今の日本だということですが、それに負けずにこれからも一本筋の通った調査報道を続けていただきたいですし、清水氏の次の著書を楽しみにしたいと思います。

  • 「殺人犯はそこにいる」で清水潔の取材力や、その姿勢に惚れたが、本著では、そのジャーナリズムの哲学を存分に味わう事ができる。但し、先の著書や「桶川ストーカー殺人事件」を読んだ人には、そのダイジェスト版的な要素から、重なるページも多いだろう。

    仕事の仕方として素直に尊敬するのだが、感情的な発言も時に気になる。最も引っかかっているのは、足利事件での、冤罪を晴らすことに興味はないという発言。まあ、言葉の綾というか、それ以上に、真犯人に興味がある事を強調するために言っているのだろうが、この発言は違うだろう。騙されてたまるかと、悪を暴く事ばかりがジャーナリズムではなく、真実を追求する事が真理ではないか。

  • 本作は著者の清水潔氏のジャーナリズム姿勢を明確に表した一冊で、都合の良い政府や警察などの発表を鵜呑みにして記事にするのではなく、自らの調査で得た事実に基づき報道していくという姿勢なのですが、やはり何が真実かということを判断するには、自らが関係者などに直接耳を傾けた声をベースに冷静に判断する眼というのが大事だということに気付かさせられます。
    でも深いなぁと思ったのは、死人に口無しですが、殺人事件の被害者は事実を言う術がないことを加害者が自分都合で正当化するという話で、これも一方的な言い分をどこまで信憑性があるかは、被害者周辺の声にも耳を傾け双方の声から判断する姿勢が大事なのだということも頷けました!

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著者プロフィール

昭和23年生。皇學館大学学事顧問、名誉教授。博士(法律学)。
主な著書に、式内社研究会編纂『式内社調査報告』全25巻(共編著、皇学館大学出版部、昭和51~平成2年)、『類聚符宣抄の研究』(国書刊行会、昭和57年)、『新校 本朝月令』神道資料叢刊八(皇學館大學神道研究所、平成14年)。

「2020年 『神武天皇論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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