騙されてたまるか 調査報道の裏側 (新潮新書)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106255

感想・レビュー・書評

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  • 清水さんの本は2冊ほど読んでいたので伝えたいであろうメッセージは重複しているものも多かった。ただ、事件の取材ごとに章が組まれていたので、知らなかった事件・出来事の概要を知ることができたのは良かった。
    以下印象に残った箇所。

    時効が存在する理由:
    本気で公訴時効を潰してやりたくなった。
    私は不条理を報じ続けた。
    当初は周囲の感心も薄かった。「法律だから仕方ない」中略。
    しかし法律とは人間が人間のために作ったものだろう。「おかしい」と思えば帰ればいいし、必要なら追加、不要ならば削除すればいい。日本の刑事訴訟法は百年以上、ほとんど変わっていなかった。さらに先進国の多くは、重大事件に時効はなく、あってもすでに廃止されていた。

    おわりに:
    人が正確な判断を行うには、まずは精度の高い情報を持つことが必須だ。そしてそれを分析し、最後に「正しい」とか「おかしい」とか判断することになる。
    →清水さんの本を読んでつくづく感じたのはメディアを鵜呑みにせず自ら情報を集めることが大切。情報化社会になって理解をしていたものの、ようやく腑に落ちた気がする。

  • 東2法経図・開架 070.4A/Sh49d//K

  • 調査報道について書かれた本。
    筆者が関わった具体的な事例を読み進める中で、今の報道の問題点が赤裸々に。
    また、筆者の報道に対する熱い思いが伝わってきた。
    こんな風に真剣に仕事に取り組んでいる人がどれだけいるだろう。
    「殺人犯はそこにいる」を読んだ後だったので一つひとつの事件の掘り下げに対しては少し物足りなさも感じたが、浅く広くいろんな事例を知ることでたくさんのことについて考えさせられた。
    報道を見る目が変わった。

  • 『殺人犯はそこにいる 』を読んで、著者に興味を持ったので続けて読む。

    どんな事件に対しても、著者は自分の頭で考えて、伝聞に頼らず、必ず裏を取るという姿勢を貫いている。
    当たり前のことなんだけど、地道な作業の積み上げであり、いち早く記事にしたいという思いとは真反対なので焦ることもあるだろう。

    だいたい「調査報道」はなおざりにされがちである。そりゃ「発表報道」の方が楽だもんねぇ。
    でも、ここで怖いのが発表が操作されてる場合である。
    著者はそれを自分の取材と照らし合あわせて「おかしい」と思うわけなのよね。それで、さらに取材を重ねるという、ね。

    スクープには二種類あり、一つはいずれ世に出る情報を一歩でも早く出すもの、もう一つは報道されなければ世に出ないもの、であるという。後者にこそが報道記者との意義があるわけだけれど、時間を掛けて取材しても空振りになるかもしれないわけよね。
    それでも自分が納得できるまでやる著者の姿勢と信念は、報道記者の鑑だよなぁ。。。

    「100取材して10を書け、10しかわからなければ1しか書くな」と先輩から教わったらしいけど、それを貫き通すのも相当しんどいだろうに、人として立派だよなぁ。。。

    最後の、特攻隊の人の恋人の取材に思わず落涙。。。

    『桶川ストーカー殺人事件 遺言』も読まなくちゃ!!

  • 「桶川ストーカー殺人事件」や「冤罪・足利事件」で著者の調査報道の凄さを知ってはいたが、他にも素晴らしい活動をしているのを知って感動した。

    真実をとことん追求する調査報道の矜持は、実はどんな仕事であれ持っていなければならないものだ。

    組織に屈することなく、小さな声に耳を傾け、おかしいものはおかしいと言い続けなければならない。

    勇気をもらった一冊である。

  • 2015.8.13 amazon購入

  • FOCUS編集部を経て日本テレビに移ったジャーナリストが手掛けた調査報道の裏側に迫る。疑問を持ったらとことん追いかける。そして常に「裏取り」を慎重に行う。正義と言うよりは、権力側の都合や思惑で泣く人が出てしまうことがよほど許せないという取材姿勢が見える。

    時に危険な目に逢いながらも、一旦司法が下したことさえも疑問があれば覆そうと真実に迫る過程がドキュメンタリー風に綴られていて読みごたえがある。桶川ストーカー殺人事件など、筆者の執念で警察の怠慢や勝手な推測で事件を歪曲化したマスコミを糾弾した有名な事例もその裏側が語られている。

    成功例だけでなく失敗やボツになった事案にも触れている。失敗した場合でも、「片方だけの意見だけに惑わされない」姿勢は同じだ。

  • 官公庁や企業から発表されたことを伝える「発表報道」の中には、それぞれの都合のいいように発表したり、都合の悪い事は隠したりする事がある。事件や地震など迅速に報道しなければならない場合もあるので全てを調査報道するのは難しいのだろうが、著者は「調査報道」をモットーに取材をされていて、桶川ストーカー殺人事件や足利事件をはじめ、警察でも解明できなかった事を調べ上げ、犯人に行き着いたり、冤罪を証明した。著者の事件解明への執念は尊敬に値する。

  • ぼろぼろ泣いた。本当に文が上手い……
    そして、本作でも清水さんの執念に胸を打たれる。

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著者プロフィール

昭和23年生。皇學館大学学事顧問、名誉教授。博士(法律学)。
主な著書に、式内社研究会編纂『式内社調査報告』全25巻(共編著、皇学館大学出版部、昭和51~平成2年)、『類聚符宣抄の研究』(国書刊行会、昭和57年)、『新校 本朝月令』神道資料叢刊八(皇學館大學神道研究所、平成14年)。

「2020年 『神武天皇論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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