戦略がすべて (新潮新書)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106106484

感想・レビュー・書評

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  • 戦略だけではない様々な要素がちりばめられている。自身の過去の行動に対する意味づけをするにも有意義な時間だった。
    「淘汰される企業は、社会に必要とされているものを、必要とされるコストで提供できない企業であるから、社会的資源を無駄にしているのであり、これを保護するのは社会的に有害である。」...手厳しい(苦笑い)。

  • 瀧本先生のお話は一貫していて良い。人生あらゆる場面で戦略があれば、勝ちに行けそうです。

  • 本書は、身の回りの出来事を題材に、戦略的にどのような背景があるのか、それらを一つ一つ解き明かしながら、戦略的思考とは何か、を解説している本である。

    「戦略的思考」というのは、今までの競争を全く違う視点で評価し、各人の強み、弱みを分析して、他の人とは全く違う努力の仕方やチップの張り方をすることだと筆者は言う。

    「戦略的思考」をするためには、メソッドや理論を学んだだけでは身につかず、それを実際に用いて実戦経験を積み、成否を検証するプロセスを何度も経験することが肝要と説く。

    加えて、典型的な手法や古典的な思考による「戦略」は、すぐに共有されその戦略の賞味期限が失われてしまうという「戦略のパラドックス」に陥るため、通り一遍のありふれた考え方ではなく、少し違う角度で世の中を見たり、もう少し深い部分や裏の面まで追求しようという思考態度がなければ、本当に効果のある戦略を生み出すことはできないと主張する。

    本書で展開されているように、身近な出来事や日々のニュースに対して、「戦略的に勝つ」方法を考える疑似トレーニング習慣を身に着けることで、戦略的思考を自分のものにすることができるとしている。

    本書のこの主張内容は、先に読了した『戦略「脳」を鍛える(御立尚資)』の中で「よい戦略には、定石にプラスアルファされたインサイトがあ」り、「定石を超えた戦い方のイノベーションこそが戦略の本質である」という内容と共通した考え方であり、「戦略的思考と何か」の答えがあるように思う。

    『戦略「脳」を鍛える(御立尚資)』が戦略的思考の型と解説、戦略駅に考えるプロセスの追体験に重きを置いているとすれば、本書は、身近なニュースや企業活動、政治経済の動きを戦略の見地から、裏側の種明かしをしてくれる本だと感じました。

    追記
    よくマッキンゼー出身の著名人が言う「フレームワーク」というのは、「考え方」「思考法」ということではないだろうか。

  • ・ヒットコンテンツには仕掛けがある。
    プラットフォーム作りは、GAFAを見るまでもなく大切。AKBという枠組みは、メンバーのリスク分散。
    ・労働市場ではバカは評価されない
    大企業と中小企業の賃金格差は資源量の差。最も儲かるのは資本の形成に関わること。RPGで資本主義の話が面白い。
    ・改革なきプロジェクトは報われない
    マイナー競技に目を向けることで一番を狙う。
    北海道は経済動向を占う上の試金石

  • ただ、「戦略がすべて」といわれても、この資本主義世界、いや、グローバルな競争社会、ましてや衰退する日本社会に居て、その中でうまく泳いでいく方法をわかろうとすることには、僕はけっこうな抵抗を感じるタイプなんです。なんていうか、そもそも世の中の仕組みを疑っているところがあるんです。本書は、著者が24のケースを分析し、快刀乱麻にそれらの多様なケースで勝つための方程式をそれぞれに編みだし解説していく。つまり、この世の中の仕組みを疑うなんて野暮であって、その前提は崩さずにうまくやっていこうとするスタンスのように最初は思えたのですが、読み進めていくと、そういう狭い意味での戦略もありながら、もっと大きな枠組みでの戦略も「いいよ、考えなさい、やりなさい」としているふうでもあるのでした。要は、どんな次元の問題であってもいいから、戦略をもって事に臨むように、というんですね。なので、世の中の仕組みを改善したところがあるならば、そこも、戦略を持って臨むならば、著者は何も文句は言わないでしょう。そういう意味で、著者は戦略というものをピュアに扱っていると言えます。

  • 2019/12/16読了。
    個々のケーススタディーを通して「戦略的思考」を養うための本である。

    さまざまな世の中の具体例から戦略部分を抽出し、話を展開していく。MBAのケーススタディーのような本。
    後半の政治の話はやや、話を単純化しすぎている印象はあるものの、著者の主張であることは一貫していて、わかりやすい。

    マルクスや橘玲さんらが主張するような、「資本主義は商品の集合であるから、自分の独自性を生かして商品を作って独立しろ」という過激な話ではなく、「そもそも会社はマーケットに有用な価値を提供しているので、会社で良いポジションに立てるようにしたらいい」との話は、なかなか的を得ていると思った。

    あくまでケーススタディなので、折に触れて読んでみたい本。

  • 自分とは違った考え方、新しい考え方を手に入れたい方は非常におすすめ

    時折、例をあげており、分かりにくい内容も理解できるようになっている

  • 自宅マンションのゴミ置場から拾ってきた本の割に面白かった

    【概要】
    akb48やRPGゲーム、オリンピックや議員選挙、大学入試等に例えて戦略的思考の重要性について説いている。

    【構成】
    ①ヒットコンテンツには仕掛けがある
    ②労働市場でバカは評価されない
    ③革新なきプロジェクトは報われない
    ④情報に潜む企みを見抜け
    ⑤人間の価値は教育で決まる
    ⑥政治は社会を動かすゲームだ
    ⑦戦略を持てない日本人のために

    【心に残ったこと】
    ・自分の労働をコモディティ化させない
    ・頭の固い年上の世代のせいで力を出せないのではなく、年長者を主導する技を身につける
    ・書籍で知識を学ぶことと同じくらい、教養としての人脈が重要
    ・自分の仮説と逆の考え方を探して、反証的な視点で仮説を検証する
    ・昔を知らない若い世代こそ新しい環境にに挑戦する。古い世代は若者とコラボを図る
    ・選挙戦における戦略について
    ・日常のニュースで戦略的思考を妄想する習慣を身につける

    【感想】
    ・自分の会社における個人的戦略を考えよう
    ・若い部下の自由な意見を聞いて考えをコラボしよう

  • 戦略は軍事用語。意思決定は上から「戦略(ストラテジー)」「作戦(オペレーション)」「戦術(タクティクス)」の三段階。我々が日々の業務、目の前の仕事に打ち込むことは典型的な戦術レベルの話。戦略を考えるとは、今までの仕事を全く違うレベルで評価し、各人の強みを分析し、今までと全く違う努力の仕方をすることだ。「教養」とは何か。それは「自分と異なる思想」、普段自分が手に取らない本を読むこと。普段自分が会わないような場所に行くこと(例えば外国)。異なる種族の文化を理解すること。文化人類学のアプローチに近い。

  • 戦略と戦術の違いについての入門書的な本。もうちょっと掘り下げた内容を期待してしまいました。

著者プロフィール

京都大学客員准教授、エンジェル投資家、教育者。1972年生まれ。麻布高等学校、東京大学法学部を卒業後、大学院をスキップして直ちに助手に採用。専攻は民法。任期終了後は学界に残らず、マッキンゼーへ入社。3年で独立し、多額の債務を抱えていた日本交通の経営再建などを手がけながら、エンジェル投資家として極めて初期段階の企業を15年以上にわたって支援し続ける。京都大学では教育、研究、産官学連携活動に従事。「意思決定論」「起業論」「交渉論」の授業を担当し、人気NO.1若手教官として「4共30」講義室を立ち見に。各界において意思決定を先導するリーダーを育てることを目標に、選抜制の「瀧本ゼミ」を主宰。著作物やディベートの普及活動を通して、次世代への教育に力を入れていた。2019年8月10日永眠。

「2022年 『瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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