- Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120017759
作品紹介・あらすじ
二度とかえらない少女たちの輝かしい季節。光みちた夏の恋の物語。
感想・レビュー・書評
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R2.3.30 読了。
引き込まれるように読破してしまった。もう少し、つぐみを見ていたかった。
・「つぐみは生まれた時から体がむちゃくちゃ弱くて、あちこちの機能がこわれていた。…(中略)つぐみは意地悪で粗野で口が悪く、わがままで甘ったれでずる賢い。人のいちばんいやがることを絶妙なタイミングと的確な描写でずけずけ言う時の勝ち誇った様は、まるで悪魔のようだった。」
・「毎日なんてずっと、なんていうことはなかった。この小さな漁村で、寝て、起きて、ごはんを食べて暮らした。調子が良かったり悪かったり、TVを見たり、恋をしたり、学校で授業を受けたりして、必ずこの家に帰ってきた。そのくりかえしの平凡をぼんやりと思い返してみるとき、いつのまにかそこに、ほんのりあたたかく、さらさらした清い砂みたいな何かが残る。」
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「キッチン」に続いて読んだけど感覚的にはこちらが好きかなぁ。若い頃にこんなホットな一頁を持つ人は幸いだよね♪ 語り部役のマリアをはじめ従姉妹の つぐみと陽子もなんて印象的な連中だろう。とりわけ つぐみの言動は魅力的過ぎる!吉本ばなな と言えば この2作に代表されるけど、今読んでも鮮度十分な刺激的な面白さです(^^)
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久々に読んだ。初めて読んだ高校生の頃と変わらない輝きがある。
海辺の町を舞台にして、夏に必要なものがすべてそろった最高の一冊だった。
作者の文章が淡くキラキラしてて本当にこの物語にマッチしている気がする。
妙に淡々としている展開も好ましい。
これは自分の中で特別な本。 -
昔から、そして今でも、大好きな本についてはうまく書けない。
引越しのときに見つけた読書感想ノートに、3年生の私は
「まりあのように過ごしたい。つぐみのように生きたい。」
とだけ書いていた。
先生からのコメント欄には、「それは例えばどんな過ごし方かな?具体的に書いてみよう」とも「どういうシーンが心に残ったか教えて欲しいな」とも書かれていなかった。
ただ、「まっとうするということ。」とあった。
15年経っても、ちゃんとした読書感想文はまだ書けそうにもないけれど、何度読み返してもやっぱりそのたびに、まりあのように過ごしてつぐみのように生きて、まっとうしたいと思う。変わらない自分に苦笑しながらも。 -
つぐみは言葉遣いも良くないし、何でも思ったことをズケズケ言うし、周りをハラハラ心配させたりするけれど、どこか憎めないし、自分に正直に生きていて魅力的。最後につぐみがまりあ宛てに手紙を書いて送ったところがつぐみらしくて笑えました。よっぽど切羽詰まっていたんだなぁと…。
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面白かった。女子大学生が、育った地へ帰省して従姉妹と過ごす夏のお話。犬は死んでしまったけれど、特に何かが起きるわけではない。けど、何も起きない日常に、なんか涙が出そうになる。とても美しい小説です。
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誰しもが心に持っているだろう一夏のふわっとしたセンチメンタルな風景画。
美しくも儚く、粗暴なツグミという矛盾。
そして
そっと主人公の心に刻み込まれるキラキラとした夏の情景。
これを吉本ばなな特有のシャッターを通して見る。
雪国とはまた違う、美しいと表現するのもまた違う、儚く淡くノスタルジックな小説であった。
同じ景色をこう表現するのか。
表現がみずみずしい。少し過度にも感じたが。
言葉の表現の幅について今一度考えた。
小説の終焉部の
夜の海に立っていた恭一がどれほどつぐみを好きかということも、陽子ちゃんの涙の重さも、それは伝えられない大切な心の宝なのだから。
そうやって、私の、夏は、終わりを告げた。
に全部もってかれた。
鳥肌が立つ。
句読点の打ち方にじんわりとそっとしまう心の扉の音がきこえてくるようだ。 -
つぐみみたいな人、好きだな。
ただ、近くで友だちにというよりも、遠くでみていたい。 -
2度とかえられない
少女たちの輝かしい季節 -
2014.7.6再読
中学生のときの初読から、もう何度読み返しただろうか。この本は、間違いなく私に本の魅力を教えてくれた、年齢を重ねながら何度読み返しても「やっぱり好きだ」と思える、特別な一冊だ。捻くれた憎たらしい子のはずなのに、何故こんなにも魅力的なんだろう。夏が始まるこのタイミングで読み返して、やってくる夏が楽しみになった。ずっと☆5ツを付け続ける一冊なんだろうな、と思う。 -
つぐみは確かに性格が悪い。
だが、人一倍心のパワーを持っていてどこか惹かれる。
つぐみは体の弱い美人な女の子。
だが、外見に似合わず男らしい性格。
ある町で育った高校生たちの夏のお話。
恋も命も人間関係も、全てがどこか可愛らしくて
、いつのまにかつぐみに惹かれて行って。
これからの夏も、
離れていてもまだ4人の関係は続くんだろうなと思う。 -
綿々と続いてきた故郷でのある区切りのひと夏のお話。
吉本ばななの描く人物ってほとんどが善良なんだけど押しつけがましくなくて好きだ。とうの「つぐみ」に私はそれほど魅力を感じられなかったからあまりのめりこめなかったけど。 -
つぐみを見てるとスッキリする。
純粋なひとはもろくて強い。 -
海のある街のひと夏の物語。美しくて儚くて切ない。つぐみは破茶滅茶な性格だけど、憎めない、自分に正直な人だなぁ。つぐみを取り巻く周りの人が温かい。夏の夜の描写がすきだった。
装丁が素敵。この物語にぴったりで美しい。 -
いつだって全力で笑い、怒り、泣き、ふざけ、叫び、恋をし、走っていく、つぐみはそういう女の子でした。あまりに突飛過ぎて怖くなるほどに。だから、全てを出し切り空っぽになった心と身体は、もうそのままこの地で潮風に吹かれて無くなってしまうような気がしていたのです。感情と行動が一直線で、そこに迷いや引き返しがない。自分の命を両腕身体いっぱいに抱え生きている者には、闇より怖いものなどない。そしてその傍若無人な危うさを受け止め支えてくれる人達がいる、だから彼女は誰よりも強く生きられるのだと思います。出会いと別れと再会、そして秘密を共有し合ったひと夏のストーリー。
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小説はあまり読まないのですが、吉本ばななだけはとても好きなのでよく読みます。
個人的に小説を読んでいて最も楽しい瞬間っていうのが、「自分しか知らないはずの言葉にできないあの感覚」を言葉にしてもらえた時。
この小説の海に対する描写、感情はとても素晴らしいと思います。
海が好きで海と一緒に育った人にしかわからないあの感覚、共有できる人はほかにいるのかしら -
かつて経験してきた、うまく言い表せない感情たちが、さらさらさらと表現してあって、読み進めずにはいられなかった。全く関係ないお話だけどら、共感せずにはいられなかった。不思議
キッチン、ツグミ以来読んでない。
才能ある人だわ。
キッチン、ツグミ以来読んでない。
才能ある人だわ。