- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120027154
作品紹介・あらすじ
新しい歴史観、遂に出現。近代はアジアの海から誕生した-。戦後、誰も疑うことのなかった陸地史観による通説に真っ向から挑み「太平洋文明の時代」に日本の進むべき道を提示する。
感想・レビュー・書評
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【読売論談賞(第8回)】【「TRC MARC」の商品解説】
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榊原英資 どうすれば「最高の仕事」ができるか P94
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唯物史観と海洋史観を陸からとらえた歴史感とし、それに反駁を加える形で海洋史観を打ち出した書物。
どの理論が正しいのかのポジションを取ることに意味はないと思う。
海に関しての考察がもっとあれば非常に読みやすかった。
唯物史観と生態史観の説明で半分以上w
唯物史観と生態史観のおさらいにはちょうどよい。 -
今西、梅棹の流れ。
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梅棹氏の生態史観の地図の修正を試みている部分に興味を持ったのがきっかけ。海洋貿易の視点から世界の歴史の転換を論じている。
9〜11世紀のフランク帝国は内陸国家だったため、土地が唯一の富の源泉である封建制を生み出さざるを得なかった。ヴェネチアが1378年のキオジア海戦でジェノヴァを破ってイスラム制海権下にあった東地中海を支配したことが中世の終焉をもたらした。
14世紀半ばから150年間にわたってヨーロッパを襲った疫病により、中世の権威であった宗教に対する懐疑が生まれた。香辛料は食糧の保存や薬味のほか、医療品としても用いられたため、危険を冒して探しまわった。
元寇によって中国がシナ海の制海権を失ったことにより、14〜16世紀は倭寇が盛んになった。
日本では、15〜16世紀(室町・戦国期)に、流通、商業、言語、婚姻形態、女性の地位、食物体系におよぶ大転換を遂げた(「日本中世の民衆像」網野 善彦)。衣料面では麻から木綿へ転換した。木綿は朝鮮や中国からの輸入品だったが、戦国末期に移植に成功した。
綿花は紀元前数千年よりインドで栽培され、長く独占していた。インド(イスラムのムガール帝国)の綿製品の輸入のため、ヨーロッパや日本では大量の金銀が流出した。それを止めるために、ヨーロッパは新大陸での栽培により大西洋交易圏を形成し、日本は国内生産による自給への切り替えに成功した。ヨーロッパは資本集約型の産業革命を起こした一方、日本は人が多いため労働集約型の「勤勉革命」により生産力を高めた。1800年頃のアジア旧文明圏からの離脱の完成が近代の始まり。
ヨーロッパの世界進出の背景や過程、日本における元寇の影響、倭寇の意味など、歴史の流れが見えてきてわかりやすかった。 -
唯物史観と生態史観の2つに代表される戦後日本人の歴史観に挑戦した論考である。
奴隷、農奴、賃金労働者など生産に携わる人間の生産力、生産性を主たる社会変容の推進力とする唯物史観と、内陸に生きる遊牧民の暴力を主たる社会変容の推進力とする生態史観では、これまで「海洋」という視座が顧みられることはなかった。それ故、特に日本の歴史を適切に捉えることが出来なかったのではないか、というのが川勝の問題意識である。
川勝の提示する海洋史観は、海外から押し寄せてくる外圧を社会変容の推進力の一部とみるものである。貿易によりもたらされる新規の文物が徐々にせよ、急激にせよ、輸入国に生活革命をもたらす。新規の文物をもたらす海洋の役割を歴史を理解するための視座に取り入れるべきである、というのが、その主張だ。
相当雑駁に要約してしまった。主張は過ぎるくらいに簡潔であるが、これを導くまでに、西田、梅棹、マルクスらが著した文献の丁寧なレビューがある(第2章にあたる転の章)。川勝の主張に賛同するかどうかはともかく、この部分を読むだけでも価値があると思う。 -
[ 内容 ]
新しい歴史観、遂に出現。
近代はアジアの海から誕生した―。
戦後、誰も疑うことのなかった陸地史観による通説に真っ向から挑み「太平洋文明の時代」に日本の進むべき道を提示する。
[ 目次 ]
序 新しい歴史像を求めて
起之章 「鎖国」と近代世界システム
承之章 歴史観について
転之章 文明の海洋史観
結之章 二十一世紀日本の国土構想
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[ 参考となる書評 ] -
<a href="http://bbs1.sekkaku.net/bbs/?id=mitosemi&log=2407">【三戸ゼミ掲示板】にて、ご紹介頂きました。</a>
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2章が難しすぎます…。
海洋アジアのレスポンスとしてイギリスの近代世界システムと日本の鎖国が誕生するという話。
かなり興味深い経済論。