- Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120027154
感想・レビュー・書評
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唯物史観と生態史観の2つに代表される戦後日本人の歴史観に挑戦した論考である。
奴隷、農奴、賃金労働者など生産に携わる人間の生産力、生産性を主たる社会変容の推進力とする唯物史観と、内陸に生きる遊牧民の暴力を主たる社会変容の推進力とする生態史観では、これまで「海洋」という視座が顧みられることはなかった。それ故、特に日本の歴史を適切に捉えることが出来なかったのではないか、というのが川勝の問題意識である。
川勝の提示する海洋史観は、海外から押し寄せてくる外圧を社会変容の推進力の一部とみるものである。貿易によりもたらされる新規の文物が徐々にせよ、急激にせよ、輸入国に生活革命をもたらす。新規の文物をもたらす海洋の役割を歴史を理解するための視座に取り入れるべきである、というのが、その主張だ。
相当雑駁に要約してしまった。主張は過ぎるくらいに簡潔であるが、これを導くまでに、西田、梅棹、マルクスらが著した文献の丁寧なレビューがある(第2章にあたる転の章)。川勝の主張に賛同するかどうかはともかく、この部分を読むだけでも価値があると思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[ 内容 ]
新しい歴史観、遂に出現。
近代はアジアの海から誕生した―。
戦後、誰も疑うことのなかった陸地史観による通説に真っ向から挑み「太平洋文明の時代」に日本の進むべき道を提示する。
[ 目次 ]
序 新しい歴史像を求めて
起之章 「鎖国」と近代世界システム
承之章 歴史観について
転之章 文明の海洋史観
結之章 二十一世紀日本の国土構想
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
2章が難しすぎます…。
海洋アジアのレスポンスとしてイギリスの近代世界システムと日本の鎖国が誕生するという話。
かなり興味深い経済論。 -
近代日本がなぜ発展できたか、丁寧に理解したい人向け。