- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120032578
作品紹介・あらすじ
ケータイで連絡するのが「われ」、ケータイ仲間が「われわれ」、それ以外のすべての人は「かれら」…。情報の氾濫に比例して、内的世界が狭窄化する現代、既存のアイデンティティとコミュニケーション、人と社会の関係はどう変わるのか。
感想・レビュー・書評
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i-modeももはや歴史的遺産になってきたようだ。
しかしi-modeが登場したことによって日本のモバイル、携帯は変わった。その文化は現在iPhone、スマホになって世界中に浸透している。感慨深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
情報社会の倫理的問題について論じた本です。
著者は、自立した個人を「大文字のI」、自立した個人から成る公共性を「大文字のWe」と表現します。そこには、自立した個人が互いに相手を「なんじ」(Thou)として尊重するという倫理性が成り立っています。
ところが、インターネットに象徴されるお手軽な人間関係は、IとWeのような成熟した関係ではなく、小さな自己主張に余念のない「小文字のi」と、なれあいでしかない「小文字のwe」の関係にすぎません。しかも、そうしたもたれあいの人間関係の外にいる老人や外国人は、「無関心な他人」(they)でしかなく、そこに倫理性は認められないと著者はいいます。
「われ」と「われわれ」の関係は、I-We関係からi-we関係に、「われ」と「なんじ」の関係は、I-Thou関係からi-they関係に頽落してしまっているというのが、本書の基本的な主張となっています。
この主張自体はそれなりに興味深いのですが、じっさいの考察は説教オヤジの繰り言めいていて、少し期待外れでした。 -
なかなか示唆に富む一冊であった。現代人の抱えるメンタリティの脆弱性を見事に論じていると思う。