雪の夜話

著者 :
  • 中央公論新社
3.20
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本棚登録 : 214
感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120035845

感想・レビュー・書評

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  • ジャケ買い。未読。しばらく読みません。ひょっとすると冬までとっておくかもしれません。(遅

  • 安定した筆致で読者を楽しませてくれる作家の出現は嬉しい限りである。
    <br>詳しい感想は<A HREF="http://torakichi.jugem.cc/?eid=206 ">こちら</A>

  • デビュー作『四日間の奇蹟』で「このミステリーがすごい!大賞」を受賞し、二作目『君の名残を』ですっかり私の心を虜にしてしまった浅倉卓弥氏の三作目です。

    読み始めてまず思ったのは、前二作と比べるとずいぶんと地味な作品だな、と。
    これまでの天才的なピアニストが織り成す妙なる調べ、平安時代へ飛ばされた若者たち、といったような派手な設定はなく、今回はただただ平凡な若者が主人公。
    人間関係に悩み、会社を退社するあたりの事情もよくあることだと思ってしまいます。

    しかし読み進むにつれ、いいところも悪いところもひっくるめて、ああ、やはり浅倉卓弥の世界なんだなと納得。

    現実には、こういう偶然は厳しいんじゃないの?なんと思う箇所もありますが、そんなことは無視して物語の中に入り込めば、心地よいロマンに浸れます。

    銀の糸で紡がれたような繊細な、美しい筆致。
    生命という大きなテーマを気負いなく物語の中に埋め込む潔さ。
    時の流れというものを扱った『君の名残を』や、生と死を問いかけた『四日間の奇蹟』に通じる深さがありました。

    ――雪は夜をも染め抜こうと自ら柔らかな光を放ち始める――

    こうした、随所に散りばめられた雪景色の描写が本当に美しいのです。
    また、著者の作品はどれも音を効果的に使ってあるのですが、私にはなぜだかどの作品も『静』を感じさせます。

    一作目は、聞こえてくるはずもないのに作中の美しい音色が聞こえてくるようで、それでもとっても静かな小説だと思いました。動乱の時代を描いた二作目も、笛の音を想像すると同時に、静かな夜を思い浮かべました。今回は雪が降り注ぎ、すべての雑音が排除されてしまったかのような、静かな町の物語です。

    休みの日や夜のひと時、一人でゆっくりと読んだら癒されそうな、そんな作品でした。

  • 清冽な雪の情景と、ゆるやかな再生の物語でした。

  • 高校生の相模和樹は、雪の降る深夜、試験勉強に飽きて煙草を買いに出て 昔遊んだ公園で白ずくめの少女に出会う。
    その後の8年で、彼は進学し就職し そして職を辞して故郷の町に帰って来る。そしてまた、雪の降る深夜 白い少女と再会するのだ。

    白い少女の存在は、和樹が自分の存在を想うときなくてはならないものになる。しかし少女が誰なのか、彼の想像の外に実際に存在しているのかは、はっきりとはわからない。
    だが、夜の闇にも白く光って見える 少女と会う公園の世界は、降る雪を見あげる時の自分の居場所が定まらない感じとあいまって、不思議な場所へと誘ってくれる。

    命とは、一回限りのものではなく、さまざまな形を借り、そこを通り過ぎてゆくものなのだ、という生命感が新鮮でもあった。

  • 高校2年の冬。定期考査の只中だった僕は、雪の舞い散る夜中に煙草を買いに出かけた。その帰り道、深い雪に覆われた公園で一人遊ぶ少女と遭遇する。怪訝に思った僕は少女に声をかけた。「貴方私が見えるのね?」それが少女から返って来た言葉だった。


    別段感動するわけでも無いが、安心して読める話という感じ。あらかた読むと結末も大体見当はつきます。モチーフが冬という事もあってか、とても静かなイメージを受けました。
    かくちゃん、すけちゃんというネーミングは妙に可愛く感じてほのぼのしたなぁ。
    物語前半に印刷に関する描写部分があって、「そうそう、昔はこんな感じだったー」と個人的にノスタルジーに浸れました(笑)

  • デビュー作の「四日間の奇蹟」があまりにも有名になり、その感動作の作者として興味があったので新作を買ってしまいました。実は、この作品の前に「君の名残を」って作品があったのですけど、平安時代の設定?(だったと思う)のでパスしてこちらにしました。<br><br>
    18歳のときの雪の夜、公園で少女と出会います。その夢のような出来事から、社会人になってデザイナーとして働き挫折して、逃げるように故郷に戻った26歳の冬に公園でその少女と再会します。<br><br>

    挫折から再生、、、このテーマがやさしい世界観で描かれるのは、この作者のデビュー作に共通する作風かもしれないし、また肉体と心の分離存在的な考えも、デビュー作に通じるものがあります。<br><br>

    しかし、「四日間の奇蹟」に比べると、感動はあまりないです。あまりに理屈が多いような感じで、途中の説明的台詞は辛いものがあります(^^;。悪くない作品だけど、「四日間の奇蹟」があるだけに期待も大きい、、、これはしょうがないよね。<br>

  • 「四日間の奇蹟」の作者。ずいぶんと趣が変わりました。前作のほうが好きかな。
    冬の風景描画は北海道出身者には懐かしかったです。

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著者プロフィール

作家・翻訳家。東京大学文学部卒。レコード会社洋楽部ディレクター等を経て作家に。
著書に『四日間の奇蹟』、『君の名残を』(以上宝島社)、『黄蝶舞う』(PHP研究所)ほか、訳書に『安アパートのディスコクイーン─トレイシー・ソーン自伝』、『フェイス・イット─デボラ・ハリー自伝』(以上ele-king books)、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』(ハーパーコリンズ・ジャパン)、テイラー・ジェンキンス・リード『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(左右社)など多数。

「2022年 『ボクのクソリプ奮闘記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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