イオニアの風

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 87
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (369ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040443

作品紹介・あらすじ

偶然のいたずらで"意志"を得た人間たちは、長きにわたり互いに争い血を流し続けていた。時に罰し、時に救い、人間の歴史に介入してきたオリュンポスの神々は、ついに、人間に三つの試練を与え自らの道を選ばせることを決める。運命が用意した試練は、トロイア戦争を巡るふたつ。そして、強大な魔物を巡るひとつ-。人間の未来を拓くため、最後にして最大の難関に挑む、英雄の子テレマコスと美しき吟遊詩人ナウシカアの運命は!?神々の時代から人間の時代から人間の時代へと移りゆく世界を舞台に描く、壮大な愛と冒険の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ギリシアの神々と人間たちがまだ密接にかかわっていた頃の物語。神様たちがほとんどキャラクター化されていて、それだけでも面白く読める。アテナさまカッコ良すぎでしょう。アレス&エリスもなんだかんだで憎めない可愛らしさがある。
    人間たちにこれからも関わるかどうかを決める賭けの中で、ギリギリのラインで手出しをしようとあれこれ策を練る神々の様子がいい。メインは人間の戦争や恋や苦悩や冒険で、それだけでもじゅうぶん読ませると思うけど、全能のはずの神々が関わってくることでなぜかややこしくなる時もある、という複雑な面白さが生まれている。
    人間の中では、英雄の子という色眼鏡で見られてすっかりひねくれてしまったテレマコスがいい味。劣等感とプライドのせめぎ合いや、ナウシカアを守りたいという思いに自分でフタをして時々後悔したりと、その心情がリアルに迫ってくる。ドロ沼に陥りそうな冒険の中で、恋の始まりという初々しさがきらきら光って見えた。

  • ギリシア神話をモチーフにした話。
    それぞれのキャラクターが生き生きしていて、読んでいてとても楽しかった。

  • ヘルメスがかっこよくて、アテナ様がクールかっこよくて、メデューサがドジっこメイドという中々な感じのギリシャ神話モチーフのおはなし。

    メデューサが可愛い。
    神話ではアテナとメデューサは険悪なんだけど、この話ではメデューサがアテナのメイドとして一生懸命奉仕するという仲の良さを発揮しており、アイギスの盾もメデューサがアテナの為に自らを差し出してつくられた。
    しかも最終決戦はこの盾でメデューサ因縁の相手と立ち向かうというもので、結構おいしいポジションのキャラだった。

    主人公はテレマコスとナウシカアさんなんだけどね。

  • +++
    偶然のいたずらで“意志”を得た人間たちは、長きにわたり互いに争い血を流し続けていた。時に罰し、時に救い、人間の歴史に介入してきたオリュンポスの神々は、ついに、人間に三つの試練を与え自らの道を選ばせることを決める。運命が用意した試練は、トロイア戦争を巡るふたつ。そして、強大な魔物を巡るひとつ―。人間の未来を拓くため、最後にして最大の難関に挑む、英雄の子テレマコスと美しき吟遊詩人ナウシカアの運命は!?神々の時代から人間の時代へと移りゆく世界を舞台に描く、壮大な愛と冒険の物語。
    +++

    ギリシャ神話に特段の興味があるわけではないので、読みはじめてからしばらくの間は実は、いつ本を閉じようかと思いながらの読書だった。だが、読み進むうちにいつしか気づかないうちに物語の中に惹きこまれていたようで、ページを繰る手が止まらなくなっていたのだった。神々の駆け引きも興味深いし、テレマコスとナウシカアの素直とは言えない者同士の恋の行方――有川浩さんが書きそうである――にも、ふたりを阻む幾多の試練とちょこちょこ顔を出す神たちの人間(?)らしさがなんとも言えず興味深いのである。壮大でありながらとても身近に感じられる一冊だった。

  • ケルトに続き、ギリシア神話をモチーフにした光原さんのファンタジーもの。
    「時計を忘れて~」みたいな爽やかミステリも好みだけど、こういった神話物も面白いなぁ。
    今回も、キャラクターもストーリーもバランス良く、安心して読み進められる作品になっていました。
    しかもこの本に、トロイア戦争の雄者・オデュッセウスと、放浪中の彼を救った王女ナウシカアが登場するんですが、ちょうど話を読み始めた日の朝刊広告に「王女ナウシカがオデュッセウスを救うために使った植物・イモーテルを原料に使った化粧品」がロクシタンから新シリーズとして登場してたんですよーーー!
    え、何このシンクロ。
    しかも翌日銀座に用があったしさ。
    速攻銀座のロクシタンショップに走ったよ。
    ただいま、毎日のようにイモーテルのローションを顔にペタペタ塗りつつ、ヘルメス神(オデュッセウスはヘルメスの子孫)のような美肌になりますよーにと願掛けしておりますww

  • ファンタジー関連は
    年をとっていくと
    どうも苦手になっていくものです。
    そう、ハリポタとかも苦手でして…

    この作品はそんな苦手な私でも
    面白く読むことができました。
    ベースになっている物語が
    ギリシア神話が関連しているので
    難なく最後まで読むことができました。

    もちろん神々の賭けに
    翻弄されている人間も
    非常に見るべくところはたくさんあります。
    だけれども神々も負けてはいません。
    そう、エリスなんかは人間にこういうのが
    いる…と思えるぐらい人間くさかったですし。

    見所はやはり
    二部のほうです。
    テレマコスとナウシカアの
    若者らしいやり取りには
    ちょっとほほえましさを感じましたね。

  • Wow, this is probably my most favorite retelling of Greek Mythology! I can't believe how well written this was! This is exactly the type of story that I absolutely LOVE to read. Adventure, romance, thrill and occasional humor. It's the best thing to read about.

    It really is fascinating to read Greek myths written from a Japanese perspective. Maybe her (the author's) writing is a little more romantic than the way I've read Greek myths here in America, but I still loved it.

    I loved just about everything about this book. I was so sad when it ended! I wanted so much more! I loved a number of characters including the gods and of course my favorite couple, テレマコス and ナウシカア. They were made for each other.

    And I think it's safe to say that the best Greek god is ヘルメス. What a babe.

  • 人間は神から自律した存在となったのだと、凛と背筋を伸ばしたくなる物語でした。

  • 2010.04.14

  • ファンタジー嫌いだけど面白かった♪終盤のテレマコスの告白シーンに感動!プロメテウスやメラネオスやミュケナイや、片仮名攻めに最初は慣れなくてページを行きつ戻りつしてたけど、トロイ編が終わる頃から慣れてきたのかすらすら読めた。個人的にはヘルメスとテレゴノスがお気に入り♪特に駄々っ子テレゴノスの「また別の話」が読みたい。4 ナイス!

  • 面白かった。一時期かぶれたギリシャ神話を懐かしく思い出しつつ。人間味あふれる神様方の会話が楽しい。そして人間に関する3つの賭け。歴史にも関わる壮大な話で、それでいて読みやすい。神様ではアテナ女神が贔屓なのだが、メデューサのドジッ子ぶりに笑った。そしてアレスの屈折した思いと、それを理解してついていくエリスの思いも。中々考えさせられる。んでやっぱりゼウスとプロメテウスの盟友ぶりも。いいラストでしたな。

  • 久しぶりに読んだ光原さんの小説!

    ギリシャ神話をベースにした恋愛とファンタジーの物語です。あとがきによると、イオニアの風の中心人物たちになる、テレマコスとナウシカアのことを書きたいと思いついたのが二十年前、実際に書き始めたのが九年前ということで、作者の熱の入れようが伝わってきます。
    どのキャラクターにも愛が込められているというか、悪いだけじゃなくてこんな良い所もあるんだ…と思う部分が作られています。
    なんといってもヘルメス神の活躍ぶり。作者が一番好きだというだけあります。

    銀の犬もそうでしたが私は光原さんの書くファンタジー好きみたいです。もちろんミステリーも好き!

  • 偶然のいたずらで“意志”を得た人間たちは、長きにわたり互いに争い血を流し続けていた。時に罰し、時に救い、人間の歴史に介入してきたオリュンポスの神々は、ついに、人間に三つの試練を与え自らの道を選ばせることを決める。運命が用意した試練は、トロイア戦争を巡るふたつ。そして、強大な魔物を巡るひとつ―。人間の未来を拓くため、最後にして最大の難関に挑む、英雄の子テレマコスと美しき吟遊詩人ナウシカアの運命は!?神々の時代から人間の時代から人間の時代へと移りゆく世界を舞台に描く、壮大な愛と冒険の物語。

  • ギリシア神話をベースにした、恋愛物語。

    最近光原さんは執筆ペースが早くて嬉しいです。

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著者プロフィール

広島県尾道市生まれ。詩集や童話集を出版したのち、一九九八年『時計を忘れて森へいこう』でミステリ界にデビュー。二〇〇二年「十八の夏」で第五十五回日本推理作家協会賞短編部門、十一年『扉守 潮ノ道の旅人』で第一回広島本大賞を受賞。主な著書に『星月夜の夢がたり』『イオニアの風』『風の交響楽』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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