夜の終焉 下

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 159
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (339ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120040696

感想・レビュー・書評

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  • 汐灘で、両親を惨殺され、世間は被害者より加害者に同情的で故郷で居場所を失い、会社を継ぐことを拒否し、故郷を捨て人間関係も絶つように夜間営業の喫茶店を営む男。ある日店に現れた若い女性が店を出た直後に交通事故に遭い、意識不明になる。彼女の身元は不明、ヒントは汐灘の地図。彼女の身元を明らかにするために、葛藤を抱えながらも20年ぶりに故郷へ向かう。
    一方、惨殺事件の犯人の息子。事件当時すでに司法修生だったが、検事の夢はあきらめ弁護士となった。故郷には戻っていないが、死刑になった父のことも隠さず堂々と生きてきた。しかし故郷汐灘で父の起こした事件と似た状況の惨殺事件が発生。犯人の弁護の手伝いを頼まれ、汐灘へ向かう。

    自分と向き合うことさえ拒否してきた男、向き合ってきたと信じてきた男、交わらなかった二人の人生が汐灘で交わる…

    そして「夜」が終焉する。

    あまりにも重い状況ではあるが、人間の心理はよく書けていて、ぐいぐいと作品世界に引きずりこまれ、上下巻のボリュームも忘れ、一気に読んでしまった。ヒューマンドラマにでも分類すべきか。力作である。

    追記
    文庫化で再読。初読時とちがい、展開が気になって読むのが止められないということはなかったが、重いテーマでありながら、やはり引き込まれてしまう。そして再読了後も評価は★5つ!

  • まあ、面白かったです。

    謎の少女の正体は、まさかというか、やっぱりというかの展開でした。

    全体的に重い雰囲気なんだけど、堂場作品としては珍しくラストは前向きで終わったぞ(笑)

  • 犯罪者の息子が弁護士になり,被害者の息子は人との交流を拒み続ける・・・・悲しみ・憎しみを越えた物語になっていた。最後でいつもホッとさせてくれる堂場さんの物語。読後感はとてもよい感じ・・

  • 上編を興奮しながら読み、次は?次は?と下編を読む。
    うーん、思ったより、盛り上がらず。
    川上と真野が出会うシーンは、ちょっと、ナン、だ。
    真野が「逃げた」上、刺してしまう、という事実もあるだろうけど、「対立」した会い方にして欲しかった。
    怪我をした子が実は娘だった、というのも出来すぎ。
    加害者と被害者家族というそれだけの視点で描いて欲しかったなあ。

    この小説は汐灘第三弾、ということなので、あと2編を読みたい。
    これって、筑波の近くあたりの設定だよね?
    ・・・筆者は茨城出身でした。

  • 父が殺人を犯し、検事になることを諦めた川上譲は東京で弁護士をしていた。そこに舞いこんだ故郷・汐灘からの依頼。彼は20年ぶりに汐灘に向かう。犯罪被害者と加害者双方の家族が抱える深い闇を描く。「汐灘サーガ」第3弾。
    想定内のオチに失望…というか、主人公がどうしてそう感じそう行動するのか理解できなかった。「汐灘サーガ」第3弾とあるので、前の2作を読んでいれば少しはわかったのでしょうか?
    (C)

  • 20101/25

  • 汐灘サーガ第3作。
    今回は過去の事件の加害者と被害者の息子たちの複雑な関係が丁寧に描かれており、今までの堂場作品とは,少し違った雰囲気。
    読ませる作品なので、時間がある時にじっくり読んで欲しい一作。

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著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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