刑事さん、さようなら

著者 :
  • 中央公論新社
3.18
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本棚登録 : 139
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120041976

感想・レビュー・書評

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  • ヨシオ的な人物への既知感は「月の梯子」か。
    モヤモヤとした読後感。面白かったけど。
    焼き肉食いたくなった。

  • 樋口作品は、いつも軽快な文章と緻密な構成で楽しませてくれる。

    本書も期待を裏切らなかった。
    ただ、この作品はかなり特徴的。私が読んだ中では、この作品だけはちょっと異質なものを感じた。
    正義と悪が歪曲した社会。日常生活に潜む不条理を物語にしたからこそ、この独特な雰囲気を醸し出す作品が生まれたのではないか。

    ふたつの物語。警察官と、もう一方に知的障害の青年と売春婦を配した物語。それぞれがいくつもの伏線を敷きながら、ふたつの物語として同時に進んでいった。
    やがて、2つの物語がひとつになるラストシーン。いくつも敷かれていた伏線も見事に収斂した。きれいに繫がり、ひとつの線となったのである。ここは快感。ミステリ小説のカタルシスを鮮やかに実感させてくれた。
    探偵役がいないとか、感情移入できる人物がいないとか、刑事が必要悪を解いたりとか、読み始めは違和感や嫌悪感ばかりが強かった。しかし、読み終われば、ひとつ貫けた感を得られた。

    これまでの樋口作品とは趣を異にすると感じたのはあくまで表面的なことにすぎず、作品の根底を流れるものは共通していることに気付かされた。
    作品の根底に流れているもの。ひとつは「やさしさ」。樋口作品に安らぎを感じる秘密はそこにある。

  • 続きが気になって、どんどん読めた。交互に描かれている2つのストーリーが繋がるところも面白いし、結末や犯人や動機も、意外で面白かった。
    ただ、後味が・・あまりよくないというか、ちょっとモヤモヤが残るかな。まさにタイトルの通りってことか。

  • 「善人の罪科」と「悪人の正義」

    帯の文言が秀逸でよくいい当てている

  • 図書館の本 読了

    内容(「BOOK」データベースより)
    首を吊った警官、河原で殺された風俗ライター。二人をつなぐ“女A”を追い続ける警部補が行き着いたのは、寂れた歓楽街の、小さな焼き肉屋だった―。「善人の罪科」と「悪人の正義」が交錯する美しくも哀しき愛の物語。

    ヨシオ的な男性を書くのね。何だろう、「月の梯子」なんかはすごいと思ったけどなんか鼻につく。
    在日の人と施設を出た子を一緒にするのも、よくあるんだろうけど感情的にはあまりいい気はしなかった。
    夕美の心理的なものがもっとほしい。
    想像つかない気持ちの波みたいなものがあるんじゃないか、と疑問を抱えたままの最後。
    警察内部の事、有るんだろうなと思うのが作者の筆力。
    面白かったので一気読みでした。

  • 途中から、そういう方向だったか…と少し意外

  • ハードボイルドだねー。ラストはミステリーとしては、それは駄目だろうって感じだけど、それ以上にストーリーに引き込まれました。

  • あちこちで起こる殺人。須貝警部補はそれらの事件に関っていた、とある女性を追う。
    登場人物の一人一人から生活臭みたいのが滲み出ていて、読んだ後も本の世界にしばらく浸れる感じです。
    タイトルからミステリだと思って手に取ったんですが、違うタイトルだったら読まなかったかも。読んで良かったと思います。

  • 淡々としていて、なんだか不穏で…。みんな自分の「平和」を守るために何かを「殺して」る。正義と悪とが立場を変えるとこれほど歪むなんて。やさしいようで、決定的にさびしい人たち。

  • 読み終わって、主人公はあの人だったんだ、なるほどなあと思う。作りが凝っているところが好きです。

著者プロフィール

1950年、群馬県生まれ。業界紙記者などを経て、88年『ぼくと、ぼくらの夏』で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞しデビュー。『風少女』で第103回直木賞候補。著書に『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の思惑』、「船宿たき川捕り物暦」シリーズの『変わり朝顔』『初めての梅』(以上、祥伝社文庫刊)など。2021年10月、逝去。

「2023年 『礼儀正しい空き巣の死 警部補卯月枝衣子の策略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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