- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120048197
感想・レビュー・書評
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『名作うしろ読み』があっさり醤油味なら、『〜プレミアム』はこってり豚骨味。と、斎藤美奈子さんご本人が前書きでおっしゃっている。単なる続編ではなく、前者は日本近代文学中心で海外作品も少々という感じだったが、後者は海外作品多め、ミステリーや時代小説などエンタメ系作品にも範囲を広げたということらしい。
『〜プレミアム』の方が好きかも〜、と思いながら初めのうちは楽しく読んでいったが、だんだん食傷気味に…。後半は飛ばし読み。図書館で借りた本だし、早く読了したいと思いながら読んでいるからそう感じるのだろう、この本は、書棚に置いておいて、時折会話するように読むのが向いていた気がする。でもこれでこの本と顔見知りにはなれたので、いつでもまた読めば楽しめるさ!と思っている。
ミステリーのラスト一文も果敢に取り上げていくスタイルはさすがと思った。厳密な“ラスト一文”を避けざるを得なかった作品もあって、そこはニヤッとした。絶妙な匙加減。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『名作うしろ読み』より幅広いジャンルを取り上げた分、衝撃度は少なかったかも。とは言えこの文章量で粗筋と背景と読みどころをおさえてるのはさすが。『不思議の国のアリス』『長いお別れ』『犬が星見た』読みたくなった。
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たくさんの名作の登場。大好きな横溝正史さんの「八つ墓村」の筆者うしろ読みが良かったです。
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「名作うしろ読み」待望の続編!スタンダードな作品が多い印象だった前作に比べ、今回は幅がぐっと広がり、童話に時代物、SF、ミステリーetc…バラエティ豊かなラインナップとなっている。斎藤さん曰く、『名作うしろ読み』が「あっさり醤油味」なら、この本は「こってり豚骨味・トッピング全部のせ」風かもしれない…とのこと。確かにこってり感はあるが、斎藤さんの小気味よいツッコミは健在。そのお蔭で胸やけはしない(笑)
ただ、なかなかの重量感ゆえか…図書館から借りてきて、嬉々としてすぐ読み始めたのに、なかなか読み終わらず。恋愛の古典もの、少年少女もの、おとぎ話の章までは、知っている作品も多く順調だったのだが、歴史、犯罪、耽美・幻想の章になってくると、「トッピング全部のせ」のずっしり感が…。初めて知る内容が多く、咀嚼し消化するのに時間を要した。読み流したくはなかったので、結構二度三度読みしたかな。『空気頭』『ドグラ・マグラ』『族長の秋』『フランケンシュタイン』など、改めて濃いめの作品群のあらすじを知って「うわぁ…」と思ったが、今回様々なトッピングの豚骨味を堪能できて非常に有意義であった。馴染みのある作品に対しても、「え、そんな解釈が出来るの!?」と新鮮な思いでした。名作って意外と、知ってるつもりで全然知らなかったなぁ、と。
初めて知った作品で読んでみたいなと思えたのは、武田百合子『犬が星見た』。グロめ&不条理な作品が多かった後半の中で、何だか切ない想いに駆られた作品でした。そして、ラストの一文が印象的だったのは、エミール・ゾラ『居酒屋』、魯迅『阿Q正伝』かなぁ。エンディングにも実に様々な形があって、どんな着地をするかって結構重要だよなと改めて思ったのである。
前作では全体的に、昔の男のだらしなさがとにかく印象的だったのだが、今回は古今東西の人間の心の裏側の複雑さが際立ったような。見たくないもの見ちゃった、的な。それでも、名作って骨太な作品ばかりだよなと実感しました、さすが「プレミアム」!新聞連載は終わってしまったようですが、またどこかで復活して欲しいです。 -
タイトルしか知らない名作は数多くあって、その名作がどんなものなのか2ページ足らずでぐっと興味がわいて面白かった。
敷居が高いと思う名作たちを軽い気持ちで読んでみたいと思えた。 -
名作の書き出しやあらすじを紹介される機会は数あれど、ラストの1行に焦点を当てたものは初めて読みました。
ミステリーで「ラスト1行でどんでん返し」のような作品があるくらいでしょうか。
ラスト1行に注目した評価が面白いというより、未読の名作のあらすじや作家の来歴を知るのが面白い著作でした。
海外文学はいちど読むと別訳で読み返そうとは思いませんから、おとぎ話の項は特に面白かったです。
文体が古かったり語彙が難しかったりで読む気になれない作品も、見開き2ページで知った気になれる、お得な1冊。 -
最後の文章から作品を読み解く。読み落としの作品。あらためて紹介されると、機会を見て読みたくなる。何冊かチェックする。
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いつか読もう、から、いま読みたい!になってしまった本が続出。斎藤美奈子おそるべし。
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本の本
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2016 0620読了
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前作「名作うしろ読み」の方が面白かったような気がする。
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図書館で借りた本。8つのテーマ書いてあり1つの作品に2ページ。約130話分。ラストの言葉を記載しながら1話づつ簡潔に内容をまとめて著者の経歴なども紹介している。日本三大奇書やSF作品の有名処、歴史やミステリー、社会、ファンタジーとジャンルも満載で難しく敬遠してた本もたくさん紹介していた。
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これは「名作うしろ読み」の「姉妹編」だそうで、童話や時代小説やミステリーやSFや、まあ実に幅広く様々な本のラストが取り上げられている。正直に言って、前作の方がおもしろかったように思うが、タイトルは知ってるけど読んだことがないという本が次々出てきて、へぇ~そういう筋なのかと参考になった。「赤と黒」とか「クレーヴの奥方」とか「耽溺」(岩野泡鳴)とか皆さん読みました?
前作は、古今東西の「名作」に著者が遠慮のない鋭いツッコミを入れていて、大笑いさせられた。今回はちょっと笑いどころが少ないが、その中で気に入ったのを。
ナボコフの「ロリータ」を評して、「『源氏物語』や『不思議の国のアリス』にも刻印された嗜好性を、とことん煮詰めた奇書。少女にとってはサイテーのオヤジだが、手記だけあり、文学という病理の研究にはうってつけ」。確かに。
「若草物語」になんとなく感じていたモヤモヤをずばっと。「貧しいという設定のわりには十分ステキな暮らしに思えた印象はいまも変わらない」。そうそう、田舎の子どもには、西洋のお話はビンボーさえオシャレに見えたのだったなあ。
谷崎の「痴人の愛」は、「源氏物語」や「マイ・フェア・レディ」と違って「わがままなナオミに譲治が負け続けるのが、この小説のポイント」と指摘されている。譲治のような上京青年は近大文学の典型的人物像だけど、他の主人公の上昇志向(成功するかどうかは別にして)に逆らうように、彼は女に溺れていく。このことについて、「『知識人』に偏重した日本文学への反逆の気分が込められている気がしないでもない」とある。「しないでもない」というのが可笑しい。
コレットの「青い麦」が出てきて、あーっ、そうそうあったあった!定番だったよ「青い麦」、爽やかなような隠微なようなこの語感、すっかり忘れてた!と懐かしかった(「青い性」なんて言い方も死語?)。「一歩間違えばソフトポルノにもなりかねぬ事態を、小説はあくまで詩的な言葉でつづっていく」「『たけくらべ』なども連想させつつ、性がからむあたりがおフランス」、うんうん、確かにそうだった。今やこの程度では中学生も読まないか。 -
「……ったく、……この、未熟者めが!」さて、この文章は何という作品のラストでしょう?古今東西の名作137冊をラストの一文から読み解く、丸わかり文学案内。名作は?お尻?を知っても面白い!