デンジャラス

著者 :
  • 中央公論新社
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本棚登録 : 513
感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120049859

感想・レビュー・書評

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  • 明治、大正、昭和初期、女性はただの小間使いとしてしか見られなかった時代に繰り広げられた、谷崎潤一郎を軸とした女たちの戦い。
    今の時代とは、違うと分かっていても、文豪と言われ愛され尊敬されてきた人間から受けた精神的苦痛には、胸が書きめぐらされた。時代が時代、今私がいる時代が女性が女性としていられる時代でよかった。まだまだ日本は、女性に対しての家庭や社会での偏見は他国(開発途上国も含め)より断然に後れを取っているが、少なくとも、声にだして言える時代にいれて幸せである。それとともに、やはり女でも男でもこれからの人生において挑戦し学んでいく姿勢は必要であると気づかされた。なぜなら、それが私たちの人生の局面に対したときに1つの盾になると感じたからである。

  • "女王様とお呼び!"、"私の足の指をお舐め!!"。『細雪』の三女雪子が谷崎潤一郎を折檻する『続・細雪』つーか『真・痴人の愛』つーか瘋癲色呆け老人谷崎潤一郎を雪子のモデルの重子が語った物語。作家と小説の本質を考察する純文学である。谷崎フェミニスト論も展開されるフェミニズムの教科書としてもアリ。女性を保護し家庭に閉じ込めて、職業婦人を馬鹿にする谷崎は似非フェミニストだと思うが、同時代の男逹が知らない、西洋のレディファーストの概念を知って、実践していたのは、DV男よりは、女性に優しくてマシだったというレベル。フェミニズム論はオマケ。メインは小説論である。身近な人物をモデルにして小説を書く作家は危険。小説世界に現実が引き寄せられて危険。が、危険な力を持つからこそ、小説に価値がある。という話です。毒にも薬にもならないありふれた小説を書いてる作家は、桐野の足の指の垢でも嘗めて反省汁!

  • ひさびさ大満足の桐野夏生です。
    谷崎潤一郎がこんな変態だったとは。想像はついたけど。
    文章も読みやすく上品で、女たちの複雑な気持ちも面白かった。

  • 谷崎潤一郎、国文学の大御所というイメージしかなかったが、こんな人間臭い魅力に溢れていたのか、と感じました。
    多くの女性が、彼の魅力に惹かれ、惑わされ、人生を変えて行った。老いも若きも、立場も超えて。
    今まで読んだ本も、読んでなかった本も読みたくなりました。

  • <blockquote>君臨する男。寵愛される女たち。
    文豪が築き上げた理想の<家族帝国>と、
    そこで繰り広げられる妖しい四角関係</blockquote>
    チラシより

    2017.06.09 「新資料から見る谷崎潤一郎」でお知らせがあった。

  • 谷崎潤一郎を巡る四角関係。三人目の妻、その妻の妹、二人目の妻の息子であり妻の妹の養子の妻。文豪谷崎潤一郎とその周囲の人の遺した書により有名な話だとか。ほぼ記録のない妻の妹、細雪の雪子のモデルとなった重子を中心に描かれる女同士のせめぎ合い。ラストはフィクションか事実か…。谷崎潤一郎を知らなくとも愉しめる桐野ワールド。

  • 谷崎潤一郎をモチーフにした作品で、谷崎の妻 松子の妹 重子視点のストーリー。

    谷崎潤一郎の作品も読んだことないし、どんな人間だったのか自伝的なものも知らないけれども、最後の渡辺千萬子さんに取材協力してもらったという一文を読むと、物語とは別のところで、重子は本当にこういう人だったのか?千萬子を可哀想に描いてないだろうか?と考えてしまった。

    最初は退屈だった・・・最後は結構面白く読めたかな。

  • 谷崎潤一郎の3番目の妻の、すぐ下の妹からみた谷崎潤一郎の壮年〜晩年を取り巻く物語。


    思ったより読みやすかったし、事実をもとにして小説を書く小説家のそばにいるのってキツそうと思わせるストーリー。

    谷崎潤一郎の小説を一冊も読んだことがないのだが、読んでみたくなった。

  • 谷崎が色ボケ爺だったとは。。。まるで手記のようです。ラストの足の場面、ぞくっときます。

  • 谷崎潤一郎を題材にした小説。

    林芙美子を題材にした「ナニカアル」につづく似非文豪私小説です。
    微妙に本当の名前をいじっていたりしてフィクションであることを強調していると思います。
    とはいえ、内容は三番目の妻の妹(「細雪」の雪子のモデル)視点での谷崎と女性関係を描く、ドロドロとしながらも主人公が最後に勝利する恋愛小説と思います。
    「細雪」は市川崑映画がベストと思っているので、吉永小百合とのギャップに困惑しました。
    自分の性癖の一部は谷崎や遠藤周作の影響もうけていると思うので、昔読んだ小説のシーンが重なるところもあり、懐かしいやら恥ずかしいやらと思いながら読みました。

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著者プロフィール

1951年金沢市生まれ。1993年『顔に降りかかる雨』で「江戸川乱歩賞」、98年『OUT』で「日本推理作家協会賞」、99年『柔らかな頬』で「直木賞」、03年『グロテスク』で「泉鏡花文学賞」、04年『残虐記』で「柴田錬三郎賞」、05年『魂萌え!』で「婦人公論文芸賞」、08年『東京島』で「谷崎潤一郎賞」、09年『女神記』で「紫式部文学賞」、10年・11年『ナニカアル』で、「島清恋愛文学賞」「読売文学賞」をW受賞する。15年「紫綬褒章」を受章、21年「早稲田大学坪内逍遥大賞」を受賞。23年『燕は戻ってこない』で、「毎日芸術賞」「吉川英治文学賞」の2賞を受賞する。日本ペンクラブ会長を務める。

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