52ヘルツのクジラたち (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
4.22
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感想 : 2944
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120052989

感想・レビュー・書評

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  • 本屋大賞の作品を
    ようやく手にすることができました


    最近はこういった
    生きづらさを感じている人たちの物語を
    よく目にする気がします


    それはそれだけ
    同じような思いを抱えた人が
    たくさんいるということなのでしょうか。


    私はというと
    途中あまりにも辛いことが多く
    苦しくなりながら読み進めました


    自分の知らないことの多さに驚き
    現実の厳しさに目を背けたくなる
    どうか救いがありますようにと
    願うしかできない
    そんな気持ちでした。



    美晴のセリフに共感することがありました


    私も自分の母親を
    最低な母親だと思っていましたが
    自分はなんて恵まれていたんだろうと
    思い直しました。



    キナコの辛さ
    アンさんの辛さ
    52の辛さ
    全てを理解できるわけではないかもしれないけど
    どうか穏やかな未来が待っているようにと
    願ってしまいます


    暗い話ですが希望もあり、
    いい読了感でした


    いろんな人の52ヘルツの声が
    誰かに届きますように…

  • 52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、誰にもその声は届かない。世界でもっとも孤独な一頭だけのクジラ。

    わたしたち人間の世界にも、だれにも届かない、悲痛な叫びが溢れている。虐待されネグレクトされている子供たちの愛を求めるちいさな声だ。
    そんな児童虐待がテーマの、なかなかずっしりとした重量感ある作品。

    東京からひとり寂れた漁師町に越してきた主人公の三島貴瑚(きこ)。
    ある夜、母親に虐待されている口のきけない少年愛(いとし)と出会う。

    きこ(きなこ)は、幼い頃から虐待を受け、実の親に虐げられて生きてきた。ボロボロになり自殺目前のところを親友の美晴やアンさんに助けられ、自分の足で歩き始めた矢先に、またもや愛の裏切りに合いとんでもない事件へと発展。
    全てから逃げるように、この漁師町へとやってきたのだった。
    きなこは少年の中に、かつての自分の姿を見出だしなんとか救わんと奮起、二人は手を取り、再び前を向き歩き始める。

    人は人に傷つけられ虐げられることもある一方で、人は人に救われる。
    生きてさえいれば、何度でもやり直せるのだ。

    母親としては、村中のばあちゃんの言葉が刺さった。ちいさな子供のうちに知らないといけないことを大人になってから知るのはものすごくしんどいことだと。
    子育ては本当に難しい。。こんなばぁちゃんがそばにいてくれたら心強い。
    そんなばぁちゃんを目指しまーす 笑

  • ずっと読みたいと思っていて、やっと手元に。
    一気読みでした。

    誰にも届かない心の声を52ヘルツのクジラと表現した素晴らしさ、感動しました。

    キナコが背負ってきたものは彼女を酷く痛めつけたけれど、物語の終わりのその先で、彼女はその傷を強さと優しさに変えて生きていくのだろうと想像した。晴れやかな気持ちで読み終えた。

    声にならない、または声にできない心の叫び…誰の心にも52ヘルツのクジラはいるような気がする。

  • 2021年本屋大賞受賞作で、ずっと気になっていた作品。より深く世界観に入り込みたくて、YouTubeで52ヘルツのクジラの鳴き声を聴きながら読んでみた。
    虐待とトランスジェンダーというそれぞれの苦しみを背負う登場人物同士の愛情(恋愛というより家族愛のような、守りたい、支えたいに近い)・繋がりをテーマとしたストーリー。
    仲間と近距離にいても、52ヘルツで鳴くクジラは、周波数の違いからその声を仲間に聞き取ってもらうことができない。この52ヘルツで鳴くクジラの切ない運命が、登場人物たちにも投影され、孤独感がこちらにまで伝わってくる。
    死も伴うかなり重たいテーマではあるけれど、社会的繋がりの中で、"声なき声"に耳を傾けることの大切さと、人間は(52ヘルツのクジラの運命に対比して)"一人じゃない"という希望を持たせてくれる作品だなと思った。

  • 聴こえているのに、
    聴こうとしなかったり、

    見えているのに、
    見ようとしなかったり、

    そういうことを私自身もしてしまっている
    と思う。

    誰かが嫌な気持ちでいる時や
    救いを求めている微妙な表情や言葉。
    見て見ぬふりをしてしまう自分を
    見つめ直すきっかけにしたいと思った。

    難しいけど、新しい自分に出会うために。

  • 傷を舐め合うのではなく、一緒に前に進むために支え合う。

  • 世界で一番孤独だと言われている52ヘルツのクジラ...他のクジラとは声の周波数が違うため、いくら大声をあげていたとしても、ほかの大勢の仲間にはその声は届かない。 世界で一頭だけというそのクジラの存在自体は確認されているものの、姿を見た人はいないと言われているそうです。
    52ヘルツのクジラが未だに1人寂しく歌いながら泳いでいるのかと思うと涙が止まらなかった。

    虐待なんてあってはならないことだけどキコやイトシのような子どもたちが実際にいる...考えさせられるお話でした。親に愛されずに育った2人がまわりの仲間に助けられ支られながら生きていく姿に勇気をもらえた気がします。

  • どんな感想を書いてもネタバレになりそうなので一言だけ……

    2章目あたりからグイグイとこの物語に引き込まれてしまいます。もうそれからは怒涛の展開で本を手放すことはできません。

    流石!!!

    本屋大賞!!!

  • 話はのんびりと淡々と進んでいくように始まりしだいに主人公の過去や関わる人達で平凡に思えた日常が違うものだったと分かる。
    何故そんな事に、どうしてそんな事をするのかと思うような納得いかない出来事ばかりだけれども人はその時その時に必死になると気づいていても気づかないふりをして人を傷つけてしまうのかもしれない。
    主人公の子供に対する気持ちへの寄り添い方が丁寧で優しい。二人共きっと幸せになれるだろう。

  • 泣いた。

    YouTubeでクジラの鳴き声を聴きました。

    助けが必要な孤独に苦しんでる人と52ヘルツのクジラを重ね合わせた表現が好き。
    世界中の52ヘルツのクジラたちが「誰か」に出会えますように。

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著者プロフィール

町田そのこ
一九八〇年生まれ。福岡県在住。
「カメルーンの青い魚」で、第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。二〇一七年に同作を含む『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。他の著作に「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」シリーズ(新潮社)、『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)などがある。本作で二〇二一年本屋大賞を受賞。
近著に『星を掬う』(中央公論新社)、『宙ごはん』 (小学館)、『あなたはここにいなくとも』(新潮社)。

「2023年 『52ヘルツのクジラたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

町田そのこの作品

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