風に立つ (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社
3.83
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本棚登録 : 1987
感想 : 115
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784120057281

感想・レビュー・書評

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  • 検事や刑事など、かなりハードなものを書いておられる
    著者
    今回は南部鉄器工房の父と息子
    引き込まれて読んだ

    〈家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!〉

    知らなかった「補導委託制度」
    鉄の農具の工房でお遊びの体験をしたことがある
    職人さんの一途さに頭が下がった

    柚月裕子さんの筆致には胸をえぐられるが
    ストーリーは先が読めた気がする
    ちょっと残念

    かなり分厚いが一気に読んだ
    家族って厄介だなあ、愛しいなあ

    ≪ 過去を超え 歩いていく道 風に立つ ≫

  • 親の役割として子どもには幸せな人生を送ってもらいたいと願うこと。
    自分の心に嘘をついて、親の望む人間にならなくっちゃと我慢する子ども。
    親も子どももお互いの幸せを望んだ結果の生き方だったのだから、それを単純に正しいとか間違っているとかそんな言葉で決めつけることなんてできない。

    ただ話をすることは大切だなと思う。分かりあえないからって話すことを放棄したら、そこからさきには一歩も進むことなんてできないのだから。
    怖いけどね、勇気のいることだけどね。
    でも相手の想いを知ることから、きっと本当のつながりが生まれていくんだと思う。

    親子って身近すぎて、つい分かったつもりになっちゃうし、自分の見た一面からしか知ろうとしなくなっちゃうけれど。
    それって窮屈でちょっと息苦しい。
    でも、親という役割、子どもの立場、それらから解き放たれて「わたし」と「あなた」という個人対個人で見ることができたら、もう少し心に余裕が生まれるんじゃないかなとは思う。

    親の役割として、子どもが最短の距離と時間でまっすぐに進める旅を用意してあげること。
    子どもが自分の思うがままに寄り道できる曲がりくねった道を歩いて旅すること。
    宝物のように隠された生きる喜びを発見できるのは、どちらの旅だろう。用意された幸せと生きる喜び、どちらが子どもにとって、よりよく生きる意味となるのだろう。
    以前読んだ『はみだしの人類学』をふと思い出した。

    「歳なんか関係ないよ。僕にやりたいことを許してくれたんだから、お父さんも自分がやりたいことをやってよ。好きなことをすると、とっても楽しいよ」
    なんて素敵な言葉だ。

    松子ちゃん、いるかさん、aoiさんとの春のみんどく本。選書は松子ちゃん。ちょっといろんなことを思い出させてくれたなぁ。じんわり温かい気持ちになりました。ありがとう。

    • 地球っこさん
      いるかさん

      チャグチャグ馬コ、見てみたいですね!
      人と人がつながるのに特別なことなんて何にもいらないんだよなぁと思いました。
      話して、触れ...
      いるかさん

      チャグチャグ馬コ、見てみたいですね!
      人と人がつながるのに特別なことなんて何にもいらないんだよなぁと思いました。
      話して、触れ合って、一緒に笑えたら、それでいいんだなって。
      いいお話でした。⁠◕⁠‿⁠◕⁠。
      2024/05/17
    • 松子さん
      ちーちゃん、いっちゃん、お疲れ様(^^)
      わたしもチャグチャグ馬コ見てみたいっ

      ちーちゃんのレビュー読んで、また物語りの色々な場面を思い出...
      ちーちゃん、いっちゃん、お疲れ様(^^)
      わたしもチャグチャグ馬コ見てみたいっ

      ちーちゃんのレビュー読んで、また物語りの色々な場面を思い出したよ。
      何が正解で何が間違ってるか…本当簡単に決められないよね。話し合うことの大切さも、親子だとわかったつもりになっちゃう事も、本当にそうだよねぇって思い返しながらレビュー読みました。
      素敵なレビューだったよぉ!
      2024/05/17
    • 地球っこさん
      松子ちゃん
      とても素敵な小説をありがとう。
      ほんと、松子ちゃんのレビューに書かれていたとおり、いい人たちばかりでしたね。
      人生にはいろいろな...
      松子ちゃん
      とても素敵な小説をありがとう。
      ほんと、松子ちゃんのレビューに書かれていたとおり、いい人たちばかりでしたね。
      人生にはいろいろな風が吹く……私もジーンときましたよ(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
      2024/05/17
  • 沁みる家族物語の一冊。

    南部鉄器職人の親子が一人の少年の補導委託を引き受けたことから始まる家族の軌道修正物語。

    父が少年を引き受けたその裏側にどんな想いがあったのか。
    もつれあった親子の姿、周囲の眼差しがじんわり沁み、終盤は涙だった。

    自分と同じ思いをさせたくないという単純な想いはいつだって真っ直ぐに届くとは限らない。 

    そこに不器用さが加わったら尚更。

    言葉と想いが愛情として伝わる過程は伝統工芸に似ているかも。

    時にままならなくて。でも丁寧に向き合って。 納得のいくまで時間をかけ形作られる家族。
    その時間が愛おしく沁みた。

  • 仕事一筋で授業参観にも来なかった父親が、補導委託に登録するため、16歳の少年を預かると言い出した。
    非行少年を自宅に住まわせることに、抵抗があった悟だが……。

    不安定だった春斗が、さまざまな経験をしながら、少しずつ変わっていく。
    南部鉄器工房〈清嘉〉のあたたかさが、よかった。

    訴えたいテーマが先に立っている感じがあった。

  •  大好きな柚月裕子さんの新作なので期待して読んだが、今回はちょっと期待はずれ。一番入り込めなかったのは、悟の言動。こんなもどかしい人いる!?と思わずにいられなかった。

     非行少年を預かることになった(そもそも、非行とも思えない)南部鉄器工房を営む孝雄と悟の親子。今まで父から愛情を受けたことがないと思っていた悟は、他の子の面倒を見ると言い出した孝雄に納得がいかない。
     孝雄が預かることになった春斗が人として成長していく姿や、孝雄と悟の歪みが変化していく様子が描かれていく。

     個人的には孝雄が語った耕太の話が良かった。不器用だけど、しっかりと愛情を持っている孝雄はカッコいいと思うが、やはり自分の気持ちを伝えることは大切だなと思った。

  • 非行少年と聞くと、オラオラのイキった子というイメージがあったけれど、上手くガス抜きができずに追い詰められてしまう子もいるんだなと思った。
    家族について考えさせられるし、かといって重すぎずなんだか心あったまる場面も多くてよかった。

  • 柚月裕子の新境地的な作品でしたが、ある軽犯罪を犯した少年を一時的に預かることになった職人一家を中心とした話ですが、一緒に生活する中で、少年も変化して逞しくなっていく様やぎくしゃくしていた職人一家の親子関係も、少年の更生に合わせるように雪解けしていく様が素晴らしく良かったです!最後の展開には、思わず涙が出ました!

  • 岩手を舞台に南部鉄器を作る職人の親子、そこに補導委託で預かる事になった少年。彼らと職人達の話で展開する、再生の物語。少年の親を除き、登場人物が皆んな善人。過去に苦労し、脛に傷持つ人々が次世代を応援したいと言う思いが少年だけでなく職人の息子にも奇跡を及ぼす。宮沢賢治のグスコーブドリが下敷きの物語らしい。
    柚木氏らしく読ませてくれたが、ミステリーを期待してたので⭐︎3で。

  • もっと波瀾万丈あるかと思ったが、少年がいい奴すぎてハッピーエンド。法廷での一人語りはうまくできすぎ。でもラストはそれなりに感動もあり
    、もしかすると続編も?という期待すら。

  • 補導委託先という制度(犯した少年を更生させるために一般事業で少年を預かる)をこの小説を通じて知れた。エピソード内の東北の南部鉄器職人の経営判断も面白かった。登場人物のキャラクター設定がきちんとしていてリアル感たっぷりで楽しめた。重い内容だが楽しく向き合えました。

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著者プロフィール

1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、デビュー。13年『検事の本懐』で第15回大藪春彦賞、16年『孤狼の血』で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞。同作は白石和彌監督により、18年に役所広司主演で映画化された。18年『盤上の向日葵』で〈2018年本屋大賞〉2位となる。他の著作に『検事の信義』『月下のサクラ』『ミカエルの鼓動』『チョウセンアサガオ咲く夏』など。近著は『教誨』。

「2023年 『合理的にあり得ない2 上水流涼子の究明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柚月裕子の作品

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