整理学: 忙しさからの解放 (中公新書 13)

著者 :
  • 中央公論新社
3.29
  • (4)
  • (8)
  • (14)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 130
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121000132

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「整理」をするために、根本的なところから固めていきたくて。
    一度だけだと理解が甘いので、もう一度読みたい。

    情報は紙などの乗り物で蓄積される/片づけはその場しのぎ的なものととらえて、動かすことを前提とする/スクラップも可変的にカード化

  • この本が書かれた昭和38年とは、翌年に東京オリムピックを控へ、日本中が沸き立つてゐた頃。わたくしはまだ生まれてゐませんが。
    高度成長の真つ只中で、当然経済活動も活発化し、情報も無差別に飛び交ひはじめた、さういふ時代であります。
     
    ひつきりなしに、問答無用で我が身を襲ふ資料や書類。特に当時は今のやうに「ペーパーレス」なんて概念はほとんどなかつたでせうから、紙の洪水の中で仕事をしてゐたのでせう。
    当時のサラリーマン映画やドラマの中で、上司が部下に「これ、明日までに頼むよ」などと言つて、山のやうな書類をドスン!と机に乗せるシーンがしばしば見られました。いはば紙の量=仕事量で、多忙な人ほど、その整理の必要性が高まつてゐたのです。

    そんな時代背景の下、著者と友人たちとの雑談の中で、「整理学」なる造語が誕生します。
    言い出しつぺは誰なのか判然としないさうですが、まあそれはどうでもいい。とにかく、この夥しい量の資料をなんとかせんといかんね、といふ発想が当然出てきます。

    そんな昔の話、現在のIT社会とやらに何の役にも立たんよ、と思ひますか。たぶんさうではないと、わたくしは勘考します。何故なら、本書では「記録」「分類」「いれもの」に注目してゐるのですが、これらは最新のメディアでもやはり重要なファクタアとなつてゐるからです。
    そして、著者の次の言葉に象徴される、整理の「本質」は未来永劫変らないのではないでせうか。

    「...あらゆる「整理」は暫定的なものである。(中略)「忙しさからの解放」といっても、ラクな解放感をうけとっていただいては困る。整理は、人間にとっての、楽しい、そして無限の苦役の一つなのだから」(「まえがき」より)

    さう、整理は面倒くさいなあといふ面があるのと同時に、楽しみでもあります。本書でその楽しみ方も伝授して貰ひませう。

    では御機嫌好う。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-130.html

  • 「整理」について、割と根本から書かれた本。
    個人的には、著者の先見の明に驚いた。
    この本が書かれたのは今から50年近くも前だが、この本で指摘されている問題は今ますます重要になっていると思う。

著者プロフィール

加藤秀俊(かとう・ひでとし) 1930年東京生まれ。社会学博士。一橋大学(旧制)卒業。京都大学人文科学研究所助手、同教育学部助教授、学習院大学教授、放送大学教授、国立メディア開発センター所長、日本育英会会長などを歴任。現在、中部大学学術顧問、世界科学芸術アカデミー会員。 著書に、『加藤秀俊著作集』全12巻、『メディアの発生』『メディアの展開』(中央公論新社)など多数。

「2016年 『加藤秀俊社会学選集 下巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

加藤秀俊の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×