- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121000927
感想・レビュー・書評
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いい肉の日なので読んでみました。論旨に強引な箇所もありますが予想以上に面白い。初版は1966年なのに、古さを感じさせず読みやすかったです。
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Ⅰ ヨーロッパ人の肉食
ヨーロッパの家庭料理
日本との肉食率のへだたり
パンは主食ではない
肉食はいつから始まったか
来日欧米人の困惑
Ⅱ 牧畜的世界ヨーロッパ
日本では肉食はぜいたく
牧畜に適したヨーロッパ
ヨーロッパではパンはぜいたく
翻訳に困る「農業」
精肉業者の社会的地位
食生活と思想的伝統
Ⅲ 人間中心のキリスト教
動物を殺す動物愛護運動
人間と動物との断絶
伝統的な人間中心主義
キリスト教の結婚観
いとこ同士は結婚できない
キリスト教と宮廷愛
Ⅳ ヨーロッパの階層意識
「ほんとうの人間」を求めて
ぜいたくは支配者の美徳
現実世界を反映する身分制
立身出世の困難な社会
マルクス主義の背後にあるもの
インドのカースト制度
Ⅴ ヨーロッパの社会意識
パン食から生まれた社会意識
ヨーロッパにしかない村
都市の自由と市民意識
日本に見られない身分制国家
他宗を大いに誹謗せよ
他人のことが気になる
Ⅵ ヨーロッパ近代化の背景
輸出可能な近代思想
伝統への反逆と強い人権意識
伝統と妥協する民主主義
フィクションでなくなった「自由と平等」 -
アフリカで生まれた人類は、色々な場所へと広がっていき、
その土地に合った食生活をする事によって
様々な文化や考え方を持つようになりました。
人が簡単に移動出来るようになったり様々な土地の料理が食べれるようになり、
インターネットで世界がバーチャルにつながる今、
そういった風土の影響を超え人類は1つの「世界市民」になるのでしょうか?
1966年に書かれたこの本を読んでいると、
そんな事を考えてしまいました。
なお、日本の戦争責任を「好戦ムード」としており、
山本七平の「空気」(空気の研究は1977年発行)よりも前に
書かれているのは興味深いです。 -
帯文(袖):”「豚の頭や兎の丸煮をフォークでつつくヨーロッパ人が、小鳥を頭からかじる日本人を残酷だという。」一体なぜ、彼らは動物をと畜して食う一方で、動物を愛護するのか。本書は、ヨーロッパの思想の原型を彼ら特有の食生活のパターンに求め、そのパターンによって形成されてきた思想的伝統に規制される彼らの日常生活や・・・”
目次:はしがき、Ⅰヨーロッパ人の肉食、Ⅱ牧畜的世界ヨーロッパ、Ⅲ人間中心のキリスト教、Ⅳヨーロッパの階層意識、Ⅴヨーロッパの社会意識、Ⅵヨーロッパ近代化の背景 -
ヨーロッパでは、人間と動物の間に、はっきりと一線を課し、人間が上位である。
人間は、家畜と常に違うというところを見せる為に、ヨーロッパでは、一夫一婦制なのであり、聖職者に至っては、異性に触れない独身が尊ばれる。
これに対して、日本では、あらゆる物が神となる。動物も例外ではない。動物と人間の距離が、それほどないのだ。
日本昔話を読んでも、なんと動物が出てくる話の多いことか。
ヨーロッパで、動物は人間に食べられるために、神が作ったものだという。なんと、自分勝手な人種なんだろうか。
日本人に産まれて良かった。 -
ヨーロッパ人の思想的背景には、動物と断絶した極端なまでの人間中心主義、社会的階層間の断絶がある。穀物が育ちにくい気候で、身近な家畜をメイン食材として屠殺してきた歴史的理由によるものである。
昭和41年の本で、結構重要かつ基本的な西欧に対する認識だと思うのですが、その後あまり意識されてこなかったのは何故なんでしょう。漸く最近になって、のように思うのですが。 -
■書名
書名:肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見
著者:鯖田 豊之
■概要
欧米人は、なぜ動物をと畜して食う一方、動物を愛護するのか?本
書は、ヨーロッパ思想の原型を、歴史的・地理的条件に由来する食
生活の伝統に求め、それに基づき形成された思想的伝統を明らかに
し、日本とも比較しながら平易に説く。食という新しい視点で西洋
の歴史を見直す、西洋史学究の問題作。
(From amazon)
■気になった点
なし -
人獣の境をヨーロッパ人が気にしているというアイデアはもっともだが、食人に対するかの人らの観念に触れられなかったように見え、残念。