知的好奇心 (中公新書 318)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121003188

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  • Na図書館本
    動機づけの講座で紹介されて。
    1973年に書かれた本ですが、今読んでも何の違和感もない。

    知的好奇心には二つ。
    1情報への飢えから生ずるもの
    2知識の不十分がわかった時に生ずるもの

    人は内在的に向上心あるのでは?
    好奇心や向上心のようなプラスの動機づけ。
    自発性は遊びや好きなことの一種。遊びは新しい技能獲得や習熟と結びついている。
    その能力の発達が止まってしまえば新たな経験を求め探索したり、知識を高めることがなくなる。面倒になり、従来はものぐさだという伝統的理論モデルに近づくことになる。
    人は本来学習する動物。
    子どもの教育や労働、ムチとニンジンによる管理を繰り返すより人間らしく働ける喜びを。
    信頼することで向上心アップすることも。
    人はもともとイヤイヤ働くに過ぎない存在との考えを否定。条件さえ整えば、働くことこそ最高の自己表現の機会であり、楽しい経験をもたらすものという前提に立たねばならない。労働意欲をどうやって高めるか。労働者の自発性や参加を引き出す。内的動機づけについてを述べている。

  • 外発的動機づけに基づく心理学を怠け者の心理学という。
    人の内発的動機に目を向けて歴史的な一冊。
    この一冊のお陰で、動機づけ理論にパラダイムシフトが起きたのではないだろう。

  • 知的好奇心の観点から教育を捉えた本。旧来の教育の根本には「人間は怠け者である」という人間観があり、それは心理学の見地から否定されているという論から始まり、人間に内在する知的好奇心を大いに活用する教育にはどんなものがあるのかを具体例とともに紹介している。
    1973年に発行された本にも関わらず今読んでもかなりの示唆に富んだ本であり、教育に少しでも携わる人なら読んで損はないかと思う。
    コロナのご時世で「子どもが怠けてしまって、いかに勉強をさせるか」という論点で議論されていること自体まだまだ時代は変わっていないのだなあと思う。むしろ枠組みが緩んだ今だからこそ「もっと子ども本位の学習をするにはどうしたらいいか」を試行錯誤するいい機会であり、この本はかなりの程度参考になるのではないだろうか。

  • 様々な実験を通して、人間の知的好奇心について探っていく。前提は「人間は怠け者だ」ということ。さて本当に怠け者なのか、知的好奇心旺盛の動物なのか。
    印象的なのは「感覚遮断」の実験。ここで私の中にあった「怠け者説明」は大いに変わった。

  • 105円購入2011-11-16

  • "知的好奇心というタイトルに惹かれて購入した。知的好奇心とは何かを前段に語り、後半はその知的好奇心を刺激する教育の方法について触れている。後半は興味なく、前半はそれなりに面白かった。
    人間は、そもそも怠ける者なのか、あるいは勤勉な者なのか?という疑問についていろんな視点から探っていく。
    知的好奇心を持った、勤勉な生物だということを前提に前半は話が進すむ。怠けることを前提とした教育や仕事のやり方を批判している。
    そんな本。"

  • XY理論につながる動機づけにつながる話で、教育現場における性悪説なアプローチに警鐘を鳴らすスタンスは共感できた。

  • 1973年刊行。学習動機に関する古典的な新書。認知心理学に関する関係研究者などの略歴掲載。著者は独協大学教授と千葉大学教育学部助教授。

  • 2015.5.30従来の人間観、勉強も仕事もイヤイヤやって、飴と鞭でのみ動くという、怠け者理論を否定し、人間にはもっと自発的な向上心、好奇心があり、それをもっと大切にできる教育、社会を目指すべきだという本。好奇心が生まれるには、その対象に対するベースとなる知識、そしてそこから考える、または提示されることで発見できる矛盾、疑問、その疑問こそが好奇心の根底であると思う。個人的に好奇心をいかに自分に生み出すか、好奇心の仕組みが知りたかったので、とても参考になった。また教育学的な視点の考察、そして労働という視点からの考察、どれをとっても私にとって関わりのある切実な問題であり、個人的問題についてのみ知る予定が広く社会全体についても考えさせられるものだった。仕事に人生を嫌々捧げる人を社畜と呼ぶが、その強度ではなく、飴と鞭で飼いならされ、仕事をやらされている人こそ社畜であり、また学校でも周りの大人の要求に従わされている学生も、学畜と言えるだろう。教育は元々国家に役立つ人材育成の側面が強かったが、個人の人生を豊かにするという視点でもっと教育は語られるべきだと思うし、しかし社会の要請と個人の人生とのバランスも大事だと思う。私自身も、飼いならされることなく、人間として、この社会で生きていくにはどうすればいいのか、そんなことも考えさせられた。好奇心によって自分の人生を主体的に楽しく生きる、これが人類の目指す自由へのゴールではないか。生産性、効率により人間を失うか、本当の豊かさを求め人間として生きるか。40年前に発刊されているが未だに切実な問題提起として考えさせられる。しかし教育にしても労働にしても、理想は理想である。これを如何に実現するか、それを個人的な人生問題としても、社会的な仕組みとしても、考えていきたいと思う。教育に携わる人はもとより、いまの仕事に疑問を感じてる人も、学生にも読んでほしい一冊。

  • 人は本来怠け者で、労働や勉強をさせるにはアメとムチが必要だとする「伝統的心理学」に真っ向から対抗する。人は本来的に知的好奇心があるから、それをうまく育ててあげることが大事だということらしい。

    たしかに、人に知的好奇心があることは理解できるし、勉強も仕事も、やらされるのではなく、自発的に取り組めるようになれば、もっと楽しくなるんだろうと思う。
    でも、、、現実を見ると、勉強や仕事を「やらされてる」人の多いこと。これはいったいどうしたことか。人に本来的に知的好奇心があるのなら、もっとそうした人が少なくなっても良いはずなのに。そこで、私は次のように考えました。

    人には知的好奇心が本来的に備わっている反面、怠け者である面も否定できず、意志の強さ、環境等に左右されるものではないか。したがって、意志の強さや環境を変えるためにはアメとムチも一定程度必要なのではあるまいか。

    そういった意味で、伝統的な心理学にも理解を示したいところ。もちろん、自分自身がそうだと信じているように、人にはやっぱり知的好奇心ってあるよな~とも。

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