- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121006134
感想・レビュー・書評
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下巻では「音と時」「農業」「売買と所有」「家」「自由」「自由」という6つのトピックが扱われている。
以下が私に刺さった部分。
音と時・・・鐘の音は時間を伝え、裁判時にも重要な役割を果たす。一揆の時など非日常の演出にも使われる。
暦の管理は西洋では聖職者。日本は暦は天皇が作り、非人が暦売りに携わる。
農業・・・西洋では北は主穀農業+牧畜、南は園芸農業で労働力が多くかかる。農業革命が農村の自治意識を育てる。都市の発展もこの頃。農閑期は出稼ぎ。
売買と所有・・・売るという言葉は、所有権を委譲するという近代的な意味ではなく、一定期間後に売り手に返すという商返しが前提だった。それが崩れ始めたのが、貨幣経済が浸透し出した鎌倉後期頃で、徳政一揆が起こっていく。
西洋ではローマ法が近代的な土地観念を醸成。ゲルマン的な耕作者=所有者という観念がジョンボールの乱と結びつけて考えられる。
家・・・日本のアジールとしての家、西洋のアジールとしての都市。13〜14世紀頃に御成敗式目など法律ができ、当事者主義から法律の専門家集団が対応するようになる。西洋も同様。
自由・・・奴隷民と自由民では後者が自由だが、貴族階級と平民階級はどちらが自由か?自由は身分によって固有ではないのか?
異端・・・乞食や托鉢が異端が生まれる土壌になっている。乞食救済が尊ばれる中では弾圧も難しい。日本は鎌倉仏教など異端とも見做せなくないが、一元的な西洋と比較して日本は一元に収斂せず多元的に止まる。
40年前の議論なので、どこまで現在の歴史観に適っているかは分からない。これから、もっと新しい本を読んでキャッチアップしていきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示