アラビアのロレンスを求めて―アラブ・イスラエル紛争前夜を行く (中公新書 1499)
- 中央公論新社 (1999年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121014993
作品紹介・あらすじ
「アラビアのロレンス」こと、T・E・ロレンスは、アラブ独立軍を指導した金髪のイギリス人青年として人口に膾炙している。しかし、この英雄像は欧米でつくられたものだ。生身のロレンスはそれよりはるかに複雑で矛盾したものを内包する人物であった。その数奇な生涯はイギリス政府が種をまいた今世紀最大の地域紛争であるアラブ・イスラエル紛争とどのようにかかわったのか。多くの資料をもとに、現地を訪れた筆者が肉薄する。
感想・レビュー・書評
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第一次世界大戦中にオスマン帝国の支配する西アジアでアラブ人の独立運動がおこった際、イギリスの情報将校だったT・E・ロレンスはアラブ人の軍勢を率いて歴史的な勝利をもたらしたという。この、アラビアのロレンスとは何者か。知られているロレンスに関する事実は、本当に「事実」なのか。伝説の帳に隠された、真実の中東史を知りたい人におすすめの本
(『世界史読書案内』津野田興一著の紹介より)
「「アラビアのロレンス」こと、T・E・ロレンスは、アラブ独立軍を指導した金髪のイギリス人青年として人口に膾炙している。しかし、この英雄像は欧米でつくられたものだ。生身のロレンスはそれよりはるかに複雑で矛盾したものを内包する人物であった。その数奇な生涯はイギリス政府が種をまいた今世紀最大の地域紛争であるアラブ・イスラエル紛争とどのようにかかわったのか。多くの資料をもとに、現地を訪れた筆者が肉薄する。」
目次
序章 生誕百年祭
第1章 T.E.ロレンスの青春
第2章 「アラビアのロレンス」誕生す
第3章 イギリスのロレンス
終章 それでもロレンスは招く
『T・E・ロレンス 』(ウィングス・コミック文庫)
神坂智子 も読んで詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私も映画【アラビアのロレンス】を見て中東の砂漠にロマンを掻き立てられたクチの一人です。
2年間イラクで生活したというのも、この映画抜きには考えられません。
知恵の七柱も読みました。中野好夫の本も読みました。
映画も含め、ロレンスにはなにか「胡散臭い」面があることは薄々気付いていました。
彼は作られた英雄ではないかという疑問です。
その疑問をこの本によって、白日の元にさらけ出されてしまいました。
胡散臭い所があるからこそロマンなのです。
正直ガッカリしました。
世界史に興味ある人は、ヨーロッパからの視点によって書かれていないか常に身構える習慣を身に着けているものです。
ロレンス像はそのヨーロッパ式洗脳の典型です。
著者はロレンス像にアラブ側の視点が欠けていることを丁寧に説明していきます。
その結果、アラブ側に立ち過ぎたきらいも無きにしも非ず。
しかし、自分もハマってしまったロレンスが持つ魅力を客観的に伝えようとする努力には好感が持てます。
世界史は日本人に書かせるに限るとの意を一層強くしました。
彼を解く鍵としてのキーワード「ペダンチック」と「アンビヴァレント」という単語を覚えました。 -
20世紀初頭の事実関係を理解するのに良かった。
団塊の世代のロレンス信仰って結構罪深いです。 -
(2001.01.26読了)(2000.12.23購入)
アラブ・イスラエル紛争前夜を行く
(「BOOK」データベースより)amazon
「アラビアのロレンス」こと、T・E・ロレンスは、アラブ独立軍を指導した金髪のイギリス人青年として人口に膾炙している。しかし、この英雄像は欧米でつくられたものだ。生身のロレンスはそれよりはるかに複雑で矛盾したものを内包する人物であった。その数奇な生涯はイギリス政府が種をまいた今世紀最大の地域紛争であるアラブ・イスラエル紛争とどのようにかかわったのか。多くの資料をもとに、現地を訪れた筆者が肉薄する。
☆関連図書(既読)
「中東現代史」藤村信著、岩波新書、1997.07.22 -
4121014995 252p 1999・10・25 ?
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分かりやすく、面白い
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題材が大き過ぎるためか,エッセイというには羅列的過ぎ,論文というには必要情報が足らぬ,散漫きわまりない構成だが,内容はかなり面白かった.
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「アラビアのロレンス」と聞けば誰しも冒険活劇の主人公のごとく、勇敢で、魅力に溢れた人物を思い浮かべるであろう。しかし、その実像は一枚岩ではない、複雑な性格の持ち主であった。
現在人口に膾炙するロレンス像を一端破壊し、様々な観点から再構築する試み。
特に、スレイマン・ムーサによる「アラブの視点」から見たロレンス像をよく紹介している所が本書のポイントである。また、エピソード的ではあるが、「イラク建国の母」ガートルード・ベルなどの関連人物が登場する所も魅力的である。
併せて『アラブが見たアラビアのロレンス』も読みたいところ。 -
この筆者、本当にアラブ贔屓ですね。