韓国大統領列伝: 権力者の栄華と転落 (中公新書 1650)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (257ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016508

作品紹介・あらすじ

独立以来八人を数える韓国大統領のうち、一人は暗殺され、三人は任期途中で下野、二人は退任後、逮捕された。反日親米の国づくりを進めたものの、民衆の支持を失い亡命した李承晩、独裁統治で高度経済成長を達成したが、酒宴の最中、ナンバー2に暗殺された朴正煕…。クーデタ、逮捕、断罪、特赦、亡命など転変きわまりない浮沈を重ねた歴代大統領の生い立ちから、権力掌握のプロセス、その挫折までを活写する。

感想・レビュー・書評

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  • 韓国の初代大統領である李承晩(イ・スンマン)から金大中(キム・デジュン)までの8名の大統領について、その大統領就任までの経歴、大統領としての政治手腕、そして退任後の動静までが書かれております。

    著者は池東旭(チ・トンウク)という韓国人ですが、各大統領について相当辛辣に評論しております。

    ・普通大統領まで務めた人物は、その後の余生としては国や国民から一定の敬意を持って扱われるのが普通ですが、この時代の韓国の大統領だけは、悲劇的な末路を迎えることが多く、そこに韓国社会の未熟さが示されていると言っております。

    ・初代大統領の李承晩は、日本が植民地支配していた頃、海外で韓国独立運動を展開していた国の英雄だったそうですが、大統領になった瞬間から、国民のことは殆ど顧みず、己の権力強化にまい進したとのこと。憲法を改定して大統領任期を延長させ、金をばら撒いて選挙を有利に戦い、その金を得るために特定企業と癒着した。

    ・その手法が次の大統領にも引き継がれ、しかも次の大統領になった人物は、前大統領の政策を真っ向から否定し、汚職事件を暴露して粛清し、そして自分も次の大統領によってやられてしまう。その繰り返しによって韓国の政治は全く安定しなかったと。

    ・自分が覚えている韓国大統領としては、ソウルオリンピックを誘致し、日韓関係を改善させ、天皇陛下との晩さん会も行った全斗煥(ジョン・ドファン)大統領がおりますが、彼は自分が推薦して次期大統領になった盧泰愚(ノ・テウ)によって、あっさりと闇の政治献金を暴かれて裁判にかけられてしまいました。そしてその盧泰愚も、次の大統領である金泳三(キム・ヨンサン)によって、同じく汚職事件で摘発されている。そんなニュースを確かに見た記憶があります。

    ・また、歴代の大統領は、側近に自分の出身地の身内を多く登用するため、地域間格差が広がり、それが地域の対立を煽る結果となっているとのこと。しかも、政党はいくつかありますが、別にそれぞれの党で特定の主義主張があるわけではなく、地縁、血縁で繋がっているだけなので、国全体を考えての政策が行われていないと。

    ・また韓国には、北朝鮮という難問がある。金大中は「太陽政策」で北朝鮮との首脳会合を実現させ、ノーベル平和賞を受賞しましたが、あれは完全に北朝鮮に金だけを取られて、その後関係は全く改善されなかったと、国内では酷評されていたらしい。

    ・加えて、韓国の大統領は国民の直接選挙で選ばれるとのことで、それはすこぶる金のかかる選挙になる。アメリカも大統領選挙には莫大な金が動きますが、しかしそれは公開されており明朗ですが、韓国の場合は一切公開されない。それは即ち政治と企業、特に財閥との癒着が生まれ、結果として財閥系企業だけが恩恵を受けるような国になっていく。

    ・韓国の大統領は、アメリカや他の国の大統領よりも強力な権限を持っているとのことで、いわゆる三権分立の長の上に立つ者として位置づけられているとのこと。それは即ち、朝鮮王国時代の国王に準じているためで、そう考えると、現政権の朴クネ大統領が、産経新聞のソウル支局長を名誉棄損で訴えるという、「言論の自由」を保障された国では全く考えられない事件が生じるのも頷けます。

    ・韓国の友人知人が何人かいる自分にとって、韓国は身近な存在ですが、政治のことを考え、今回のような本を読むと、やはり「ちょっとおかしいよね」という国に見えてきてしまうのが残念であります。著者が上述したように、国の経済成長が早く進みすぎて、民主主義としての国民の政治意識が、日本以上に未成熟なのでしょうかね。

  • 新書だけどかなり読み応えあり。同時代の話だからなお興味深い。

  • これを読むと、日本の政治がままごとのように感じてしまう。。。

  • [ 内容 ]
    独立以来八人を数える韓国大統領のうち、一人は暗殺され、三人は任期途中で下野、二人は退任後、逮捕された。
    反日親米の国づくりを進めたものの、民衆の支持を失い亡命した李承晩、独裁統治で高度経済成長を達成したが、酒宴の最中、ナンバー2に暗殺された朴正煕…。
    クーデタ、逮捕、断罪、特赦、亡命など転変きわまりない浮沈を重ねた歴代大統領の生い立ちから、権力掌握のプロセス、その挫折までを活写する。

    [ 目次 ]
    序章 独立以前
    第1章 李承晩
    第2章 尹〓善
    第3章 朴正煕
    第4章 崔圭夏
    第5章 全斗煥
    第6章 盧泰愚
    第7章 金泳三
    第8章 金大中
    第9章 大統領の悲劇

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    [ 参考となる書評 ]

  • 韓国の大統領は末路がみな悲惨だ。ひとりひとりがひとつの王朝のようで、退陣は革命を意味する。絶対権力と引き換えにするものがあまりにも多い。本書自体はとても読みやすく、わかりやすかった。

  • 戦後韓国史の大筋が分かります。

  • 権力闘争の歴史は醜く、そして教訓とせねばならない。

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