戦略的思考の技術: ゲーム理論を実践する (中公新書 1658)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121016584

感想・レビュー・書評

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  • すごく文体が好き。
    専門的なことでもスラスラ読める。

    恋愛から企業・政府の行動までゲーム理論的な解釈ができることを説明している。

  • 面白く無いので途中で読むのを止めた
    途中で止めるのも大事だと思う

    決断できない人は戦略がいくつかあって選択できないか、戦略がないかのかの2種類

    大学の出席率が悪いのが問題であれば、授業料を上乗せして出席者にお土産を配ればよい

    セキュリティシステムや猛犬注意の張り紙は貼るだけで効果がある
    実際に猛犬やセキュリティシステムが存在する必要はない

  • 2012/11/14
    ミクロ経済学やな。事例がいっぱいあって理解しやすいけど、体系的まとまってはいない。

  • 日経のお勧め経済本の中に、本書が含まれていました。
    ゲーム理論入門の、その前段階においてこの本を
    絶対読んでおくべきだと思う。
    コミットメント、シグナリング、インセンティブなどゲームを
    解かり易く、解説している、ただの入門にはとどまらない本書。

  • インセンティブやコミットメントなどのキーワードを中心に、他者との関係に基づいた意思決定について論じています。新書なので内容は簡潔で、現実の事例を多く用いて説明されています。様々な制度の意図をインセンティブの視点から捉えるきっかけになると思います。ゲーム理論とありますが具体的な理論や数式はでてきません。

  • P25 戦略的環境では、自分個人の戦略を独立に評価するのではなくて、自分と相手の戦略の組み合わせを評価すべきであって、それによってはじめて戦略的環境の構造が明らかになりはじめるのだ。戦略的分析は、自分の事情だけを考えるという発想を捨て去ることからはじまる
    P27 「自分の行動をさまざまに予想し、それに対してその自分の行動が適切かどうかを判断する
    P28「もしある戦略が、どのように予想された相手の戦略に対しても、自分の他の戦略よりもすぐれているならば、その戦略を選択すべきである」
    P30 「相手の戦略を予測するためには、可能な戦略の組み合わせから得られる相手の利益を、相手の立場で評価し考察するべきである。
    P32 「相手の戦略を自分の都合のよいように予測せず、相手は自分の行動に対して最善をつくすと予想し、その予想のもとで自分も最善をつくすことを考える。お互いに予測される行動に対する最善の行動をとるような状態を戦略の均衡状態という」
    P36 相手より先に自分の行動を決定できるとき、自分のそれぞれの行動に対し、それを見た相手がどのように反応するか、相手の利害を考えることによって先読みして、現在の戦略を選択をすべきである」
    P37 自分が将来にとる行動を表明し、それを確実に実行するということを約束することを、相手に対して行動を確約(コミット)するという
    P40 自分がある特定の行動をとることを相手に確約(コミット)することができれば、より有利な結果を自分に導くことができる。行動の確約のためには、見かけは不利な戦略をとることが確約を信頼できるものとするために有効なこともある。 事業撤退や人員整理などもこのような戦略的視点で考え直すと興味深いのである
    P42 戦略的関係にある主体が、お互いが何をどれだけ知っているのか、また知っていることをどれだけ知っているか、など、お互いの情報の構造を把握することが重要である
    P43 社会科学におけるゲーム理論は、現実の完全な記述を目的としたものではなく、逆に複雑な現実の環境を抽象化および単純化することにより、それらの背後にある戦略的関係を明らかにし、その結果として本来複雑な意思決定の過程や行動基準の本質的部分を解明することを目的としている⇔社会経済現象を、抽象化された分析対象があるルールにしたがってゲームをした結果であるように理解できるというのが、社会科学におけるゲーム理論の立場
    P69 法律や制度によるインセンティブは、法律によってある行動をさせようとするものである。~効果的な罰則がないと、インセンティブとして機能しないからであり、罰則を運用するコストを考えれば、法律によるインセンティブがすぐれているとはいえないからである
    P71 インセンティブが人の行動を決めている、人はインセンティブによって行動しているということは、裏を返せばインセンティブの構造を変えることで、人の行動を変えることができるということであるし、インセンティブの構造を変えない限り人の行動は変わらないということを示唆している。また、人々の行動が好ましくないものであるならば、それはその人たちに与えられているインセンティブが不当であることに他ならない。
    P73 ポスターをそこらじゅうに貼りつけても、これは習慣やモラルに訴えるだけであるから、インセンティブの構造はいくらも変わりはしない。
    P76 インセンティブ契約=ある行動をとったらどのような利益が与えられるのかを、前もってお互いに確認し約束しあうことが戦略的に重要になることがわかる インセンティブの構造をわかりやすくして、そのようなインセンティブがあるということを具体的に相手にわからせるという効果をもつことに注目すべきである
    P88 条件付罰則戦略…約束に反することがあれば罰を与えるという策は、実際にはいつまでたっても罰則を与えることなしにインセンティブを与えることができる。本来相反する利害関係にある人々になぜか協調関係が生まれてしまっている現象はこれの応用かも eg)談合
    P91 ゲーム理論によって需要と供給の経済理論を説明している←先生の言ってた通り!
    P94 「自分を縛ることに意味かある」コミット=自分が将来にとる行動を表明し、それを確実に実行することを約束すること commitment=コミットする行為、約束の内容
    P103 法律や制度もコミットメントの信頼度強化に利用されている。ある行動をとることが制度によって定められていたり、ある行動をとることが法律で禁止されたりしていれば、その行動をとる、あるいはとらないというコミットメントは信頼されやすい。
    P105 最終的な支払額は、交渉が決裂した場合に支払う金額から利益を差し引いた額になる
    P187 「逆選択」=意図しない、あるいは意図に反するスクリーニング
    ☆P190 「リスクのあるところには常に保険の可能性があるわけだが、逆選択の問題のために、何にでも保険が機能するわけではない」
    P198 モラル・ハザード…問題の本質は、経営者がそのような行為を採用するようなインセンティブがなぜ与えられていたかということにある。そして、そのインセンティブの構造を変えない限りは、問題は繰り返し起こるであろう。問題の源泉を倫理観や道徳心に帰着させて~も何も解決しはしない
    P201 モラル・ハザードは文字どおりのモラルの問題なのではなく、観測できないことに対してインセンティブを与えることがむずかしいというインセンティブの問題と、観測できない行動へのコミットメントは相手に信頼されないというコミットメントの問題が絡み合った問題なのである
    P201 モラル・ハザード問題の一例 せっかくパートの人を雇っても、指示したとおりの仕事を本当にこなしているかどうかがわからないため、結局自分でチェックするはめになるのもその一例
    P205 客観的基準を設定するためには、直接の利害関係のない第三者を利用することも有効である。企業に会計士による監査が義務づけられているのはその一例で、これは企業の成果を客観的なものさしで評価しようとするものだ
    P234 設備廃棄は減産のコミットメントを信頼できるものにする戦略的効果がある
    P156 監査の必要性
    本物の売り手は品質証明すべき。「品質証明にかかるコストは直接価値を生み出さないため、経済的損失ではあるが、品質証明をしない限り買い手は買ってくれない」
    P176 減損処理を先んじて行うことで企業が健全さアピールをするというスクリーニング効果

    P248まで読んだ

  • 第4章インセンティブと第9章モラル・ハザードが中でも興味深かった。

    本書では日常生活を題材にした説明が随所にあり、戦略的な思考が関わる場面を様々に示してくれる。その中でも一番印象強かったのがインセンティブの話。
    インセンティブは、人を一般的に望ましい行動に導くもののほか望ましくない行動に導くものもある。
    例えば、不法投棄の問題。発露しづらかったり罰則が厳しくなかったりして不法投棄のコストが低い場合は、それが廃棄物を不法に処分するインセンティブになる。もし合法的に処分するインセンティブに勝れば、不法投棄は消えない。…なるほど、と思った。
    日頃、なんとなくフィーリングで行動していることが多いように感じていたけれど、意外とインセンティブのせめぎあいによって動いているかもしれない。
    第1章の戦略的思考の話、第2章の先読みと均衡の話は、物事を仮想空間でいじくる感じで、「確かにそうかもしれないけど実際はそんなうまくいかないんじゃないの?」という思いで読んでいたが、第4章は納得できた。

    モラル・ハザードは「聞いたことはあるがよくわかっていない言葉」だった。
    行動が観測できない恐れがあるために、非効率な状態になってしまう。人に物を頼みたいけれど、本当にやってくれるかわからないから頼めない、というようなことはよく起こる。モラル・ハザードの定義は諸説あるようだが、これはその一つ。
    行動の観測ができないことが問題なので、大きなインセンティブを与えればよいという話ではない。成果報酬型のシステムも同じようなことで、モラル・ハザードの問題を孕む。初めて知った。
    こういうモラル・ハザードみたいに、なんとなく存在は知っているけれど全体像が見えていなかったものが説明されるのはすごく気持ちがいい。

    この本はとにかく例が多い。戦略的な考え方について読者がとっつきやすいように説明されている(唐突に男女交際の話が出てきたり、会社員の話が出てきたり、ん?というところもあったけれど)。

    僕がこの本を買った時には、「もっと早く知りたかった」と書いた帯がついていた。
    ほんとに、もっと早く知りたかったなあ。

  • 日々の生活の中で戦略的に思考するためにはどうすれば良いかが丁寧に書かれている。

  • 最近読んだ経済学の本に、ゲーム理論の良い入門書として挙げられていた本です。新書で手頃な分量なのと、親しみやすい語り口に引き込まれて、あっという間に読み終わってしまいました。内容を咀嚼しきれたかというと、もう一度くらい読み込んだ方がよいかも知れない。豊富な例とともに、ゲーム理論に現れるキー・トピックスをテンポよく解説していきます。
    目次:戦略/先読みと均衡/リスクと不確実性/インセンティブ/コミットメント/ロック・イン/シグナリング/スクリーニングと逆選択/モラル・ハザード/値引き競争/オークション。
    私的には、「インセンティブ」が、社会経済活動を理解するキーになる概念のように思いました。動機付けとか、誘因、と訳されることが多いらしい。この本が述べていることは、日常生活でも役にたつ局面がふんだんにありそうです。
    ゲーム理論は、かの数学者フォン-ノイマンが1920年代に基礎付けたそうです。映画「ビューティフル・マインド」で有名なナッシュなどがそれを更に発展させ、現在では経済を理解するのに不可欠なものになっているらしい。この本は気軽に読めて楽しいのですが、どうも数式が出てこない違和感というか、理論としての枠組みが分かった気がしません。もう暫く、経済学関連でいろいろ読み漁ってみよう。

  • 題材が身近で楽しめる。ただ統一性のある本ではないため読了後章ごとにちりぢりな印象。
    気軽に読めるコラム集みたいな感じ。

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著者プロフィール

京都大学経済研究所教授
1963年生まれ。1986年、一橋大学経済学部卒業。1991年ハーバード大学大学院卒業。ペンシルバニア大学助教授、筑波大学助教授、大阪大学教授等を経て現職。専攻は理論経済学、情報の経済学など。 著書に『戦略的思考の技術』(中公新書、2002年)などがある。

「2017年 『昔話の戦略思考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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