伊勢神宮: 東アジアのアマテラス (中公新書 1779)

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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121017796

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  • 伊勢神宮成立に関する推理がおもしろい

    アマテラスと道教、海の民
    アマテラスと卑弥呼、そして神功皇后、持統帝

    伊勢神宮は、2つの宮があって、内宮は、アマテラス大神を、外宮は、トヨウケ大御神を祭神とします。
    また伊勢神宮は、20年毎に、式年遷宮をおこなっている。
    明治までは、密教の中心である大日如来の化身がアマテラス大神であるという本地垂迹説をとっていて、伊勢神宮はそれにふさわしい場所である。

    伊勢神宮を志向するのは、蒙古襲来のころと一致する。即ち、日本は、神の国であり、神風が吹いたとされた。

    明治になると、神道が天皇制と結びつき、明治天皇の親拝が実施された。

    アマテラスは、天を照らすという太陽神、それと平行して、アマテルという神社が全国にある、アマテルは「火明命」

    アマテルは、尾張い関係していて、海産物を天皇に収めていた一族?

    卑弥呼は、鏡が好きで、道教と関連があったのではないか。魏志倭人伝の鬼道とは道教ではないか。当時の中国では、初期の道教を鬼道とよんでいた。

    そして道教の西王母が、アマテラスではないか
    ヒミコは、ヒノ巫女、日女御子
    応神天皇の段には、アメノヒボコが渡来してきたいきさつが載っている。
     太陽を浴びて受精してしまう、日光感精型のモチーフであること
     波や風を起こしたり、しずめたりできる呪具から、海洋民族的性格をもつこと
     常世といっているが、道教の神仙境として、道教の影響を受けている可能性がある
    播磨国風土記いは、呉の勝、韓国より渡り来て、なる記載があり
     アメノヒボコ伝承も、中国の江南である可能性がある

    伊勢神宮はいつ誕生したのか
     アマテラス大神がいつごろ誕生したのか、伊勢神宮が成立したのはいつか
     アマテラスは、大和から伊勢に遷座しなければならなかった理由とは
     雄略期に伊勢大神(=アマテラス)とし、5世紀末とするのが、現在のところ妥当といっています。

    日本書記には、神宮は、伊勢、出雲、石上の三宮しかない
    神功皇后紀が、日本書紀にはわざわざもうけられている、推古、斉明、持統の3女帝をモデルにしている可能性もある
    伊勢の記述が、祠から神宮に変わるのが、用明天皇期、585年には、伊勢は、すでに神宮となっていた。

    目次
    序章
    第1章 アマテラスの旅路
    第2章 中国思想と神宮
    第3章 神国の系譜
    第4章 近代の神宮
    第5章 植民地のアマテラス
    終章
    あとがき

    ISBN:9784121017796
    出版社:中央公論新社
    判型:新書
    ページ数:232ページ
    定価:740円(本体)
    発売日:2005年01月25日初版
    発売日:2007年03月20日5版

  • この本を読みながら、今回の震災で外国が不思議に思われる日本人の行動の中には、日本人の意識の深いところに、日本が神に守られている国である、日本人は守られているという思いがあるのではないかと思った。それは長い歴史の中で日本人の心の中に、ほとんど意識することがなく、そこにあるもののように思った。

著者プロフィール

1942年奈良県生まれ。
京都大学大学院文学研究科博士課程修了。追手門学院大学文学部助教授、奈良女子
大学文学部教授を経て、1995年4月、国際日本文化研究センター教授(2008年定年
退任)。現在、国際日本文化研究センター名誉教授・奈良県立図書情報館館長。
博士(文学・京都大学)。
受賞=濱田青陵賞、日本地理学会優秀賞、奈良新聞文化賞、古事記出版大賞。
著書=『地名の巨人 吉田東伍―大日本地名辞書の誕生―』(角川書店)、『古代
の風景へ』『古事記の奈良大和路』『古代天皇誌』(東方出版)、『平城京遷都』
『古事記の宇宙(コスモス)』『古代飛鳥を歩く』(中央公論新社)、『古代日本の
王権空間』『聖徳太子と斑鳩三寺』(吉川弘文館)、『こまやかな文明・日本』(N
TT出版)、『京都まちかど遺産めぐり』(ナカニシヤ出版)、『まほろばの国か
らⅠ』(豊住書店)、近著に『飛鳥の覇者』(文英堂)、など。

「2017年 『奈良・大和を愛したあなたへ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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