通貨で読み解く世界経済: ドル、ユーロ、人民元、そして円 (中公新書 2064)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (279ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121020642

作品紹介・あらすじ

通貨が経済に与える影響は甚大だ。国家の財政、内外の金融、企業業績、そして人々の生活さえも為替の動向と無縁ではない。世界金融危機以後、不安定さを増した金融システムと経済の動きを精緻に検証し、ドル覇権の行方、ユーロ圏の諸問題、人民元や円の未来を見極める。複雑に絡み合う"通貨""実体経済""財政金融政策"の三つ巴を歴史を踏まえて読みほどき、世界経済の持続的成長のためにいま何をなすべきか考える。

感想・レビュー・書評

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  • 金融・経済史に疎い私にとっては非常に「お勉強」になりました。
    書かれていることは「筆者個人の見解」としつこいくらい断られていますが、あまりバイアスのない見解なのではないかと感じました。
    そう、極めて「教科書的」のため「お勉強」になります。

    ※他の方がレビューに書かれているとおり「通貨はその国の総合力を表す」という表現には首を捻りましたが、「総合力」とは「国力」をさらにぼかした表現だなーと思いました。
    おそらくGDPのような定量的材料ではなく政策運営とか定性的材料も含めているのかと。

  • 世界経済やドル、ユーロ、円、元の概観や見通しがある程度わかるが、最後の章で財政再建の記述に誤りはあるし、通貨がその国の国力を反映するとか素人みたいな考えが書いてあったから一気にこの本の評価は下がった。

  • 昨今、ちまたで通貨といえばFX。
    ではこの本を読めば儲かるのか、というとまったく関係ないでしょう。

    なら価値がないかというと、世界を経済という一断面から読み解きたいと思う人になら千金の価値かり、かもしれません。
    たとえそれが金融市場を通してでも、世界を理解したい、というのは知性の本源と言っていいと思います。

    ドル、ユーロ、人民元、そして円、という副題どおり、章別にそれぞれの通貨が取り上げられるのですが、市場を揺るがせた歴史上の事件の冷静な分析と、現況への考察は非常に高いレベルの内容だと感じました。
    ドルは双子の赤字が問題だあ、と言われますが、経常収支が赤字だからこそ、ドルは基軸通貨として力を持ったのだ、なんて指摘は目からうろこ。
    さりげなく本質を説明してみせるお二人の著者には脱帽。


    新書ですが、情報量が多く、読み応えは充分。
    派手に煽るような文言はないので、金融市場が根っから好きでないと苦しいかもしれませんが、本質はこういう処にあるんだよな、と感じました。

    ともかく勉強になったと感じました。
    良本として再読、再々読本の候補ですね。

  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000675211

  • お金
    経済

  • 通貨に焦点を当て世界経済について書かれたもの。基軸通貨とは何か、ドルがいかにして基軸通貨として国際金融で支配的地位を得るに至ったのか、そして、ユーロ、円、人民元が国際通貨として、将来、部分的にでも基軸通貨としての機能を分担することはありうるのか、などについて分析している。内容がやや難しく、十分に理解できない箇所があった。印象的な箇所を記す。
    「アメリカが経常収支の赤字を縮小するということは、世界が依存してきたアメリカの個人消費が減少することを意味する。それを埋めるためには、日本や中国が内需を拡大するしかない。日本は、少子高齢化の進展から、ますます安定志向になり、個人金融資産が銀行預金として固定化してしまっている。資金の退蔵をいかに回避して、お金が回る仕組みを再構築するかが課題である。世界が経済を閉鎖させる方向に動くと、それは世界貿易の縮小を招き、望ましい国際分業が阻害されて、資源の適正な配分を歪めてしまう」

  • ・国債金融システムのトリレンマ「資金の自由な移動」「為替の安定」「国内金融政策の自由度確保」

  • 2010年刊。著者小林は住宅金融支援機構住宅総合調査室主席研究員、中林は元東京大学公共政策大学院教授からフリー。◆サブプライム危機を経て混沌とする世界経済。金融面では立ち直りまで道半ばの米国、ギリシャなどソブリンリスクが顕在化・拡大化し通貨統合の負が顕わになりつつある欧州、経済大国化の道を歩みつつも国内に問題山積の中国+中国の巨大化に翻弄される東アジア諸国、そして失われた20年のデフレ傾向をそのままにする日本。これら4極のマクロ経済情勢について、WWⅡ後から現代までの道程を解説。◇経済的なロジックが詳細。
    ◆各国の政策をやや未整理のままぶち込むきらいがあり、判りにくい。また、経済学の基礎的な論理関係を何の衒いもなく叙述するので、躓きながら読み進めざるをえなかった。反面、各国の経済政策の変遷に関する極めて密度の濃い叙述に加え、経済指標の数値もふんだんに盛り込まれ、細かな部分もおろそかにできない書だ。◆現行の国際システムの不安定は規制緩和・資本・金融市場の自由化、貿易の自由化によるとはスティングリッツ教授の言。◇日本の人口減の問題は国債管理政策における時限爆弾。人口減が総供給以上に総需要を減らすならデフレで推移
    ◇グローバルな経済環境は日米双方に等しく影響があるのに、95年以降、日米の物価上昇率の差は殆どの年で2~4%。これはサプライサイドの要因だけで説明できるものではない、とのこと。◇日銀は、金融システム安定化の面は兎も角、量的緩和が景気浮揚・デフレ抑制への効果について懐疑的(それはなぜ?、が知りたいが…)。

  • ◯出会い
    日経BP ビジネスプロフェッショナルの教科書ひて紹介

  • 市場のリスクが国家に
    (ソブリン危機)

    通貨が政治的な次元に。
    →自由主義経済体制=トリフィンのジレンマ

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