自然を捉えなおす - 競争とつながりの生態学 (中公新書 2198)

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  • 中央公論新社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121021984

作品紹介・あらすじ

私たちの身の回りにある「自然」とはなんだろうか-。科学としての生物学・生態学=エコロジーの基本から説き起こし、適応と競争をキーワードに進化論とつながりのバランスを解説し、現代生態学の立場から自然を捉えなおす。コウノトリ野生復帰プロジェクトに取り組む著者が、生物多様性の保全、健全な生態系の維持という喫緊の課題を視野に入れつつ、エコロジカルな視点から自然と人間、地域のあるべき姿を提示する。

感想・レビュー・書評

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  • 前著の「生態系ってなに?」も読みましたが、本書はさらに生態学に踏み込んだ内容だと感じました。ですので、ぼくのようなド素人にはちょっと難しいです。
    生態学に興味がおありの方は、前著を読んだ方が良いと思います。

    ぼくが一番面白いと思ったのは、第3章です。シジュウカラの話は前著でも見ましたが、生態系における生物たちや環境(森林など)が織りなす様々な関係、そしてそれを切り取って描き出すと言う点で、社会学ともかなり共通するのではないかと思いながら読みました。

    自然とは人の手が入っていないことではなく、むしろ人間を含めた膨大な関係の連鎖(生態系)の場だということ・・・・・・著者の「人を生物群集の一員とみなすべきである(p.221)」も納得です。

  • 序(視点;実体と概念;自然の実体;ものごとの形態・機能・構造)◆エコロジーと科学(科学のアムビギュイティ;科学は「比較」と「なぜ」;生物学の階層性と生態学;生物学の深いわけ;生物学者のアタマの引き出し雄;行動学と生態学)◆生物とはなにか―進化と競争(適応・淘汰・生物多様性;競争と進化の基盤理論;競争の相手;実体としての種;個体群と遺伝子プール;行動学の挑戦状;生物の形態と機能;競争のバランスシート;競争のゆくえ;進化と生態)◆自然とはなにか―認識の生態学(自然のつながり;自然の切り出し方;群衆の機能;二〇世紀の動物生態学(1)―個体群の生態学;二〇世紀の動物生態学(2)―個体数調節問題;二〇世紀の動物生態学(3)―生物相互作用;群衆の構造現代の生態学;ニッチと役割;メタ個体群;都市生態系;本章のまとめ)◆人と自然―地域と歴史(河川生態系と水田生態系;森林生態系;地域と流域;実行の生態学;環境問題;健全な生態系;地域異体系の保全;生態系サービスと生態系いのち;つながりと競争;おわりに)

    著者:江崎保男(1951-、大阪府)

  •  自然をエコロジカルという観点から捉えなおすというのが趣旨とのことですが、新書レベルなのに全体の潮流を見失ってしまい、最後のほうは単なる読み物として読んでしまいました。
     でも、生物って不思議って思える内容もたくさんあるし、人間というのは自然と関わりあって生きているんだなあとか、しみじみと読めました。
     面白かったのは、個としての、種としての生存のために他の個体、他の種と競争しているが、競争したがために棲み分けや食いわけ(種によって捕食するエサが異なる)が生じた、というもの。棲み分けって競争を避けてるよな、って思っていたので、ある種のコペルニクス的転回でした。このことについては、現実の企業間競争や地域間競争にも通ずるところがあるのかなと思い至りました。

  • 難解な言葉が多く、すらすらとは読めなかったけど読んでよかった。
    提示された大切な事は分かったつもり。
    自然と人間、地域のあるべき姿を
    誰にでも分かりやすい言葉で書くのは無理だろうか。
    もっともっと多くの人が読むことができるし、
    自然に対する理解が深まり、
    日本人としての姿勢を大事にするとおもう。

  • 非常に難解な文章で,私にはとても難しかったです.(笑) ただし,著者特有の言葉づかい,表現に慣れてくると,これは極めて精密に書かれた良書であることが分かります.

  • 無機環境と利己的遺伝子を持つ生物間相互作用からなる生態系に対して、自然災害などの物理的攪乱と生物活動による攪乱、破滅的なインパクトを持つ人為的(機械的)行為の違い。 生物個体群を時間と地域を区切った遺伝子系統と捉えて、生態系群衆の中の系統間生存競争を論じている。 長年の疑問が腑に落ちた。

  • 好きな生物学の本だが残念ながらたいしたことは書いてなかったように思う。

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著者プロフィール

兵庫県立大学大学院地域資源マネジメント研究科教授,水源地生態研究会陸上生態研究委員会委員長
専門は,動物生態学.森林・河川から都市まで幅広い陸域の生態系を対象に,鳥類を主たる材料とする群集研究を行い,2010年からはコウノトリ野生復帰の陣頭指揮をとっている.著作に『水辺の環境保全:生物群集の視点から』(編著,朝倉書店,1998),『生態系ってなに?』(単著,中公新書,2007),『自然を捉えなおす』(単著,中公新書,2012)など.本書では,はじめに,終章,用語解説を執筆.

「2014年 『エコトーンと環境創出』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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