経済覇権のゆくえ - 米中伯仲時代と日本の針路 (中公新書 2240)
- 中央公論新社 (2013年11月22日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022400
作品紹介・あらすじ
リーマン・ショックを皮切りに、世界を揺るがした金融危機。それはアメリカ経済覇権の終焉と、来たるべき米中逆転の予兆なのか-。本書は、戦後の世界経済をめぐる興亡を「経済覇権」という視点で読み解く。アメリカ覇権の下で出発した戦後の国際経済秩序は、アメリカの衰退と日本の挑戦、そして中国などBRICS諸国の躍進を経て、米中が勢力伯仲する時代に入りつつある。この難局に日本がとるべき針路を探る。
感想・レビュー・書評
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本書は、覇権安定論の立場(一部オリジナルを加えているが)から、いままでの経済問題(バーゼル規制・アジア通貨基金など)を現行の金融・通商レジームへの挑戦と見ている。
最後の提言(日本の外交指針)は完全に余計だと思う。 -
経済覇権と軍事覇権は同じ国が持っており、つながっている。
覇権安定論とは端的にいえば、国際経済秩序の安定には覇権が必要であるという説。
戦後アメリカが多くの国にとって最大の輸出国だったことからGATTはアメリカの覇権の産物。
中国の大国意識と表裏一体にあるのがナショナリズム。特に日本とアメリカに向けられやすい。
アメリカは当分、共同統治の体裁を整えつつ、関与政策と封じ込めを併用しながら、中国の台頭を抑え込もうとしていく。 -
戦後のブレトンウッズ体制確立からリーマンショックに至るまでの世界経済史を、アメリカの覇権とそれに挑戦する側のせめぎ合いを軸に読み解いていく。ここまでは非常に読み応えがある。しかしその上で今後の経済覇権の行方と日本の進路を論ずる・・・はずなのだが、結論があまりに凡庸(日本は技術立国を目指せ、等)である上、それまでの議論を殆ど踏まえない唐突なもので肩透かし感が否めない。ここまで精緻に戦後の各種レジームを俯瞰したのだから、例えば今後中国の覇権が米国のそれに比肩するにつれ予想される軋轢を、いくつかのシナリオを想定しながら考察するなどしても良かったのでは。経済史の入門書としても、同じ中公新書の「戦後世界経済史」(猪木武徳)を超えるところは無いように思える。
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覇権に関する議論をまとめている。
米中どちらが覇権をとるかということについて、多くの証拠をもとに述べられている点が、特に優れた点であると思われる。 -
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