- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121022875
作品紹介・あらすじ
バブル経済崩壊、デフレ、リーマン・ショック、世界金融危機-。日本経済は1990年代以降、長期低迷に陥った。政府の景気対策は有効に働かず、政治家、エコノミストらの批判は、インフレを懸念し、腰が重い日本銀行に集中する。本書は、速水優、福井俊彦、白川方明、黒田東彦ら4人の日銀総裁を通し、自民・民主両政権から、景気回復や民意を大義名分に、独立性を奪われ、政治に左右されていく日本銀行の軌跡を描く。
感想・レビュー・書評
-
2023/12/25
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中央銀行の独立性について考えさせられる書籍。出版された当時よりも状況はさらに悪くなっている。異次元緩和が盛大に失敗した場合の責任は日本銀行と政治、どちらが取るのだろうか…
-
独立性を獲得したためにポピュリズムの標的になった日本銀行の悲劇
血液製剤によるC型肝炎や原発事故により、エリートや専門家は大衆から信用されなくなっている。 -
よくもまあ、あんな詳細にトレースできたものだと感心。
終章でキングドンの「政策の窓モデル」で分析しているところが気に入り購入。
農業政策の分析に一役買えるか、それはボブ次第…(; ̄ェ ̄) -
本書は、1998年の日本銀行法改正以降の金融政策決定を追うことで、日本銀行と政府・与党間の影響力関係を解明することで、日本銀行の政策決定における独立性が低下してしまった原因を述べている。そのうえで中央銀行と政治は、いかなる関係にあるべきか、中央銀行の金融政策は、どうあるべきかを考察している(p.ⅳ)。
近年の金融政策の動向のみならず、その判断に必要な日銀の役割についても書かれており、かなり丁寧な構成になっている。著者の主張は大変シンプルである。しかし本書の議論から十分、納得できるものだと考える。
経済学の知識がほとんど無い人も本書の序章を読むことで、著者の主張をある程度理解することができるだろう。ただ前提知識がない人が一人で読むにはかなり骨が折れると思う。経済学(特に金融論)を学ぶ学生の教科書・副読本としておすすめしたい。 -
1998年の日本銀行法改正以降の金融政策決定の軌跡を追うことで、日本銀行と政府・与党間の影響力関係を解明している。そして、現在のアベノミクスに従属する日本銀行について、「日本銀行はなぜ追い詰められたのか」という問いに答えることを目的としている。
日本銀行の独立性を高める日本銀行法の改正が行われてから、アベノミクス全盛の現在までの日本銀行の金融政策決定過程やその時々の政治との関わりがよくまとめられており、それらの経過を概観するのにちょうどよい。速水総裁、福井総裁、白川総裁、黒田総裁、それぞれの金融政策決定や政治との付き合い方のスタンスの違いも興味深かった。
しかし、キングダンの政策の窓モデルを適用したりはしているが、政治学的な分析は浅い気がして、物足りなかった。 -
<内容>
筆者は「政策の窓モデル」を用いて日本銀行が中立性を失われながら、執行部をリフレ派に乗っ取られる事態になったのかを説明している。
政策の窓モデルによれば、
①問題の流れ、②政策の流れ、③政治の流れ
の3つが合流したとき「政策の窓」が開かれ政策は実現するという。
ここで重要な役割を果たすのが「政策起業家」ある。
現在のリフレ派は景気回復は、株価を上げるために海外投資家の思惑に沿った政策をすべきだとする。
すなわち海外投資家の政策選好(グローバル金融資本)に沿うというのである。
こうした日銀犯人論の背景には、日銀がリフレ広報戦で敗北したのに加え民主党の変節が挙げられる
「民主党政権がアベノミクスの道を舗装したのであった」p.255との指摘は鋭い。
私も筆者と同様の意見。
リフレ派については非常に懐疑的だ。 -
2015年1月新着
-
「政権維持・次の選挙での勝利=現時点での好景気」か「中長期的な経済の安定」か。
-
日本銀行の政治からの自律性について。面白いテーマだと思うが、もう少し話の軸を定めて話をして欲しかった。