鉄道技術の日本史 - SLから、電車、超電導リニアまで (中公新書 2312)
- 中央公論新社 (2015年3月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121023124
作品紹介・あらすじ
イギリスの指導のもと、明治の初めに産声を上げた日本の鉄道。山がちな国土に狭軌という悪条件を克服する過程で、高速性、快適性、安全性を向上させ、1964年の東海道新幹線開業によってついに世界トップの水準に躍り出た。日本は現在、超電導リニアの技術で諸外国をリードし、かつて指導を受けたイギリスに高速電車網を構築している。本書では、明治から平成まで、多岐にわたる鉄道技術の進歩に光を当てる。
感想・レビュー・書評
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「日本の鉄道関係技術が辿った経過」を概観する一冊である。例えば電気のことや、幾つかの装置の仕組みなど、やや専門的なことへの言及も在るが、表や図が適宜配され、技術に明るいでもない読者も或る程度内容は判る。実際、私自身も技術に明るいでもないが、「なるほど、そういうことか…」と愉しむことが出来た。著者も技術者や工学研究者ということでもないようで、であるからこそ、新旧の様々な技術を「判り易い」を目指して、丁寧であると同時に簡潔に説いてくれていると思う。
或いは「かなり“マニア”な鉄道ファンが読む本?」と思われてしまうかもしれないが、これは“鉄道”を切り口にした、産業と社会の広い分野に亘ることを考えられる内容も含んでいると思う。鉄道は明治期にどんどん広がった他方、レールや車輛、殊に機関車はかなり後から追うことになった。欧米諸国では「鉄鋼製造が先に在って、それから鉄道が登場」という経過なので、日本の経過は独特だ。
日本の鉄道技術が辿った長い経過を語りながら、話題は現在主流となっているモノのことや、日本の鉄道技術の国外進出のこと、リニア新幹線のような“未来”を目指して続けられている研究にも及ぶ。非常に興味深い!!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
鉄道好きとして、技術面の歴史を丁寧に解説されていた。広い事象に渡って解説されていたため、なんとなく言葉だけを知っていたようなことの意味や歴史を再確認できた。
鉄道の技術は根幹ではあまり大きな変化はないような気もしたが、日本が出遅れた鉄道で、独自に発展の道を探りながら、新幹線をもって世界の表舞台で、錚々たる国々と並ぶまで流れは興味を持って読めた。 -
丁寧に技術面から見た日本の鉄道史をまとめた良著。
鉄道マニアとしては非常に読みやすい本でしたが、普通の人にはそもそも読むモチベーションが理解できないのではと。
しかし、この本を読んでいて実感したのは、鉄道の技術は総合技術勝負的な面があって、線路は測量から始まって橋を架けたりトンネルを掘ったり。レールは製鉄技術が必要だし、車両も(黎明期は)木でできたウワモノと、鉄の台車と。伸び盛りの明治日本がスポンジのように吸収して、自分のものにしていった様子が読んで取れます。この「追いつけ追い越せ」的な高揚感は、マニアでなくてもわかってもらえるのでは。
昔は欧米からとにかく物を買って、そこから学ぶ流れだったんだなぁと。今の中国が各国から高速鉄道用の車両を買ったのと、流れは同じなのかな。
最新のハイブリッド気動車にまで触れていて、2015年に書かれた本としては非常に網羅性が高いのではと思います。終盤は少し日立に傾斜しすぎな感もありますが、著者の思いも感じられて非常に良い本でした。 -
新書文庫
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感想未記入。
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【選書者コメント】日本がどうやって鉄道先進国と呼ばれることになったのかが分かる。
[請求記号]0800:25:2312 -
書名から「鉄道マニア向け?」と思われがちですが、決してそうではないです。鉄道技術と言うとつい車両や、特に新幹線などに注目が集まりますが、本書ではそれらを特別視するのではなく、列車を安全に運行させるために必要な技術全般について、その発達の経緯を分かりやすく説明しています。
トンネルの工法(NATMやシールド)や、送電する手法(直流や交流)、車両の技術(SLの技術革新やモーターの発達、省エネの技術)、制御方法(ATSやATC)、そして新幹線から超伝導リニアにおよぶまで、ほとんど数式などを駆使せず、予備知識の無い読者が本書を手にとっても十分に分かるレベルの深さに説明を抑え、その分「日本史」とあるように歴史的背景に軸足を置いた内容です。日本の鉄道が明治時代に国交が深かったイギリスから、いかに大きな影響を受けて発展したのかが良く分かります。
新書という形態だけにカラー写真などはありませんが(どうせカラーで出版しても、昔の写真は白黒だから白黒で問題なし)、ほぼ毎ページに白黒写真や簡単な図も挿入してあるので読みやすいと思いました。 -
2015年5月新着
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勉強になりました。