人口減少時代の土地問題 - 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ (中公新書 2446)
- 中央公論新社 (2017年7月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024466
感想・レビュー・書評
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基礎基本書。それにしても、日本の地籍調査が半世紀もたって半分しか完了していないことに驚く。
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空き家問題に興味を持っていたので手に取った。主に不動産登記にかかわる「所有者不明」問題について、制度的、構造的、歴史的な視野を踏まえた問題提起、また全国888自治体への調査で事態の切迫さを織り込みながら、漸進的で現実的な解を模索する。200頁弱とは思えない内容の充実さにおどろき、そしてその問題の重さに身をつまされた。必読。
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土地の所有者不明化問題を中心に据えた課題研究を上梓したもので、政策提案がすぐに行政の変革に繋がらないもどかしさを感じる。現在の土地登記制度が税制と切り離され、相続登記が義務化されていない現状を変えるには、相当な荒療治が必要かと思う。業務用の参考図書を読んできたことで、本書の内容の理解が進んだ。
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東2法経図・開架 B1/5/2446/K
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全国に点在する所有地不明の土地。それが相続による移転登記をしていないことによるものであることは現代の日本社会から予想がつくが、あまりにも拡大し、建築、震災などの災害復旧などに際して権利関係の確認、地権者の了解取り付けがあまりにも大きな負担になっている。それは地方都市で顕著だが、六本木ヒルズの建築に際しても境界調査に4年も要するという大作業だった!同じように不動産登記が対抗要件であるフランスでは、地権者不明の土地はほとんど無いという!公証人制度の充実が大きいとのこと。そして「無主の財産は市町村に帰属する」との仏民法。日本の土地政策の無策を痛感する。解決を急ぐべき課題でありながら、これが社会問題として騒がれることは今後とも無いであろうことが、ますます問題を難しくしているようだ。前橋市総社町の神社の一角の碑が象徴的。「明治19年に54戸の連名登記から119年を経て権利者は380余名になり、沖縄から北海道まで拡散。87.4㎡の提供に際して全員の実印・印鑑証明書・登記申請書を17年の歳月と600万円の経費を要した。総会の結果、… 寄贈していただいた。」とは2004年に記念として建てた碑文。田舎の山林などは当人が相続していることも知らない土地があるのだろう!これからは地方での人口減少が加速化していくことが想像されるだけに急務だと思う。