理科系の読書術 - インプットからアウトプットまでの28のヒント (中公新書 2480)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024800

感想・レビュー・書評

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  • 基本的には、アウトプットや知識習得を目的とした読書ノウハウ本なのだが、ところどころ読書や知識習得そのものに対する著者の独自の考え方がみえておもしろい。
    もちろん、How toの部分も洗練されていて参考になる。

    細かい手法はさておき、骨子と読書に対する考え方のみメモ
    ・難しい語はいったん棚上げして、とにかくざっと目を通してみる。あとから理解できるようになることもある。
    ・あまりにも難しい場合は、著者が悪いか、自分がその本を読むための基礎力不十分。
     - 基礎知識を得るには入門書3冊程度に目を通してみる。
     - 著者と自分の理解のフレームワーク(時代的背景や固定観念、著者の属する集団における常識、思考パターン etc.)が違うと、理解は難しくなる。すり合わせが必要。
     - 速読はできない。基礎知識がない分野の本を速読しても内容を理解できない。読書スピードを上げるには、その分野の知識習得が必要で、それは最初のうちに遅読することで身に着けるしかない。
    ・アウトプット前提の情報収集が目的の場合、無理に本を全部読み通そうとしない。時間と目的を決めて読む。
    ・「ブリコラージュ」できないことをできるようになるために、新たな知識を身に着けようとするのではなく、まずは自分の知識、スキルで対応できないかを考える。
     (・・・> 青い鳥症候群を思い出した(笑))

    全体を通して、アウトプット(特に研究)や、何かを成すために読書をするのであって、知識習得そのものを目的化しないようにというメッセージが強かった。
    それが極論すると、本の著者の主張のすべてを受け取る(本を読み切る)必要はなく、自分の目的を達するのに必要な知識を探してピックアップしましょう、ということになる。

  • 然程「理科系の~」という感じはしなかったが、すごく参考になった。

    「耳学問(人から新しく聞いた話を自分の知識とする方法)は本を読む前の「心の敷居」を低くするために役立つ。」とあり、テレビなどの解説も役に立つ。「マンガでわかる~」とかも、そうだろう。積極的に活用したい。

    また、「「読む」という作業は、ひとり読書にとどまらず、相手の気持を「読む」、あたりの気配を「読む」、将棋の手を「読む」ことにも通じている。つまり、目に見えないものをどれだけイメージできるかという勝負なのである。したがって、読書力の減退はその訓練の場がなくなっていることを意味するので、活字離れの次元を超えた大きな問題。」というのは、印象に残った。
    「読む」というのは単に字面を追うことではない。見えないものを見ようとする、云わば想像である。これがベースとしてないと、人間関係もうまくいかない。
    なんとも身につまされる話である。。

    あと、「知的消費」と「知的生産」の話。これもすごい。
    「知的生産とはレポート、企画書、論文、書籍などの文章に知価の高い内容を集積することをいう。それに対して知的消費とは、本を濫読する、将棋を指す、教養ある会話をするなど、知的な活動ではるが直接生産に結びつかない活動を言う。インターネットのサーフィンなどは、現代の知的消費の最たるものであろう。
    このように知的生産と知的消費を自覚することを最初に行っていただきたい。
    知的生産を目標にすると、最終成果が得られなければすべてが水泡に帰する。したがって、知的生産にならない勉強をしている時間が(楽しくもなく知的消費ですらないから)もっともムダで危険だ。」
    実務で使わない資格試験やアウトプットに結びつかない読書も、(知的消費にすらならない癖に、何某かやった気になる)もっともムダで危険なものであろう。

    あと戒めとして、以下は覚えておきたい。
    「メモを取るのが好きな人が陥りやすい失敗に、ノートという途中の過程ではよく書けているのに、肝心のアウトプットの出来がよくないということがある。書いたノート自体が美しい作品になってしまうと、かえって頭に残らない。」

    以上、キレッキレの言説であり、参考になる箇所多し。
    知的生産と知的消費の区別、付けてみよう。

  • 理系の人だけではなく、文系の人でも参考になります。
    具体的な指針が書かれているので実践しやすいです。

    以下私が参考になった箇所です。
    ・本は常に手に届くところにおいておく
    ・本は読破する必要はない。途中であきらめてもよい
    ・読んでも意味がわからないのは著者が悪いと思え
    ・新聞は10分だけ読めばいい
    ・本は溜め込まなくてもすぐに再入手できる

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00260655

  • もともと理系的な思考をする私にはすっと腹に落ちる部分が多くありました。
    新しい発見こそそうはないものの、これで正しかったんだなと思わせてくれました。

  • アウトプットを意識した読み方は、参考になった。

  • 初めて読んだ著者だ。本屋さんで目があってね。読書術はけっこう好きなジャンルで、けっこう読むけれど、本書も面白かった。理系というのが、新しい切り口かな。本棚からあふれる本の山をかかえ、理系の妻から容赦なく捨てろプレッシャーを浴びる毎日。まぁ、いろいろな考え方があるよな、と思いながらしみじみ楽しく読んだ。まぁ、整理するという発想も大切だね。

  • あんまり

  •  鎌田浩毅さんの「理科系の読書術」を読みました。
     鎌田先生は地質学を専門にする学者さんなのに、文系理系とわずとてもたくさんの本を読んでいらっしゃる。以前鎌田先生が書いた「座右の古典」も楽しく読ませていただきました。
     今回は鎌田先生の読書術です。理科系と書いてありますが、関係なく文系でも通用する内容だと思います。
     個人的におもしろかった点を書きます。

    ・本はとにかくおもしろいと思うものから、順番に読んだ方がよい。たとえみんなが薦める本であっても、自分にとってまったくおもしろくなければ身につかない。
    ・自分に合わない本は、すぐに読むのをやめよう。そして、自分に合ったわかりやすい本に出会うまで、本はどんどん取り替えてよい。
    ・本は最後まで読まなくてよい。まず習得しなければならない技術は、手に取った本をいかに読まずに内容を吸収するのか、である。

     鎌田先生の読書に関する本は今後も買い続けていきたいです。

    ブログでも紹介してます。
    http://blog.livedoor.jp/masaathlon/archives/35165733.html

  • 本書の構成は、目次を見ての通り、二部構成になっています。第1部は、文字通り、読書が苦手な方のための読書術で、第2部のほうは、どちらかというと読書に限った話ではなく、知的生産の技術に関する内容です。
    http://naokis.doorblog.jp/archives/reading_for_beginners.html【書評】『理科系の読書術』(1)読書が苦手な人向け : なおきのブログ
    http://naokis.doorblog.jp/archives/intellectual_productivity.html【書評】『理科系の読書術』(2)知的生産 : なおきのブログ

    <目次>
    はじめに
    第?部 苦手な人のための読書術
     第1章 本と苦労なく向き合う方法
     第2章 難解な本の読み方
     第3章 多読、速読、遅読の技術
    第?部 仕事を効率よく進めるための読書術
     第4章 アウトプット優先の読書術
     第5章 本の集め方、整理の仕方
     第6章 読書メモの取り方
    補章 読まずに済ませる読書術


    2018.04.27 新書巡回
    2018.05.05 読書開始
    2018.05.06 読了
    2018.05.16 品川読書会で紹介する。

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著者プロフィール

鎌田 浩毅(かまた・ひろき)
1955年東京生まれ。筑波大学附属駒場中・高等学校卒業。東京大学理学部地学科卒業。通産省、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を経て、現在京都大学レジリエンス実践ユニット特任教授・同名誉教授。専門は火山学、地球科学、科学教育。「京大人気No.1教授」の「科学の伝道師」。著書は『新版 一生モノの勉強法』『座右の古典』(ちくま文庫)、『やりなおし高校地学』(ちくま新書)、『地学のツボ』(ちくまプリマー新書)など。

「2021年 『100年無敵の勉強法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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