ルポ - 子どもの無縁社会 (中公新書ラクレ 407)

著者 :
  • 中央公論新社
3.71
  • (10)
  • (21)
  • (16)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 188
感想 : 24
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121504074

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 新書にしてはかなり読みやすい本でした。
    日本家庭の孤立化が進むことによって子どもたちの命が危ぶまれていくという感じの内容でした。
    それにあたっての解決策の明示はありませんでしたが、虐待の現状などを知るにはちょうどよっかたのではないかと思います。

  • 今、子どもが小学校から突然いなくなったりするのね・・・と自分が知らなかったことが書かれていたので☆5つ。

  • 住民票が動かなければ、住民が移動したことにならない今の制度では、
    子どもの状況を的確に把握して児童相談所と連携するのは難しい。

    また、子どもの声を騒音と考え抗議し、その意見を容認するような社会には心底がっかりした。みんな通った道なのに。自分も社会に守られて育ってきたのに。どうしてこんなに「自分だけ良ければ」となったのでしょうか?

  • 人間関係の希薄化を、子供という視点からつづった著作 2012/08/30

    資料読み。まさに資料系の書籍といったところ。ルポというほど、対象に「迫って」はいない。客観志向ノンフィクション。「無縁社会」は宣伝用のタイトルといったところで、あまり関連がない。あくまで「子ども」問題。

    ■p.176 子育てに、ネトゲより「盛り上がれない」という母親
    面白さの追及はともかく、「安易な面白さ」のみにフォーカスされること。巷間いわれる、コミュニケーション能力とやらも、「安易な分かりやすさ」だったりしますもんね。
    頑張っただけ、報われるという<RPG的な成長規範>のつよさ。確かに、「成長の喜び」と、「必ず努力が報われる楽しさ」ってば、強烈だわ。対して、子育ては、その意味では、不完全な面白さですもんね。特に、子ども自身が、コミュニケーションの「相手」と認識できないときには、孤独な作業になってしまうはず。周りの承認があれば、すこしは違ったものになりえたはず。

    ■p.198 公園や学校での騒音に対する講義が神経質になっている風潮
    白井市の例としてあげられていたもの。公園でのサッカー禁止に違反すると「110番します」の看板。…ギャグだよね?
    なるほど、「自分とは関係ない人たちが、迷惑かけてくる」って認識に移行して言っているわけか。

    ■p.235 ある社宅のビニールプールの変遷
    1990後半-共同で一つのプールをシェア。
    2000年前半-気を使わなくてすむので一人一個。
    2000年後半-不公平な土地の不正利用というクレームで禁止。
    なにをかいわんや。。

    ■ 全般 「幼い」妊娠出産
    母親側の責任が大きくとりあげられてしまうが、妊娠は一人ではできませんよね。なんか「男ですいません」って気分になる。責任云々以前に、そのような状況になれないオイラがいうののもなんですが…。

  • 怖い。あなたの子は無縁にはなりませんか?という語。

  • 教育に関わる者として、一度は読んでおくべきだと思って読んだが、正解だった。
    まず、親自身の生活が不安定な上に子育てとなれば、当然いろいろなところで子どもが犠牲になることがある。
    児童相談所の立場からの記述もあるが、住民票の移転がなければ救いようがないというのが、今の社会のシステムの限界である。
    本書で著者が主張しているように
    一人でも多くの子を救うためには、「社会で子どもを育てる」こと。つながること。
    虐待事件を起こしてしまった親の多くは、SOSを試みている。(本書の例では)
    社会の無関心が、子どもの虐待死を生んでいる。

    国や地方自治体のシステムを変えることも必要ではあるのだが、最も大切なのは社会が一体となって子どもを育てていくことではないだろうか。

  • 衝撃の数字の数々...


    1年以上居所不明の小中学生の数:1183(平成23年度)
    (※住民票を残したまま1年以上所在不明になり、その後就学が確認されない子ども)

    児童相談所における児童虐待相談対応件数:55154(平成22年度)

    児童福祉司の数:2606(平成23年4月1日)

    「親と一緒に朝食をとる」
    小学生:46.4%
    中学生:32.0%

    「一人で食べる」
    小学生:20.1%
    中学生:41.6%


    その他、心に引っかかった言葉。

    「行旅死亡人=身元不明の死亡人になった子供たち」
    「子どもが子どもを産む現象」
    「ネットで出会い、リアルで孤立する親」
    「遊び声が騒音認定される」
    「放課後の遊び相手が見つからない」
    「他人の子どもの世話は、うっかりできない」

  • 狙ったものであろう、非常に後味の悪い読後感。
    大人の都合によって、社会から消えていく、あるいはいなかったことになっている子どもたちのルポ。
    大人の「自己責任」に子どもが巻き込まれ、「個人情報保護」に阻まれて見つけることも救うことも困難になる。変な「公平感」によって、コミュニティは崩壊して家族以下の単位になっていく。
    大人の自己責任はある程度やむを得ないと思うけれど、そこに子どもが(しかも書類にのらずに)関わってくることへの、行政や社会の想像力と対応力の欠如を感じます。
    一方で、自分の子や、将来孫がそうならないかと考えた時、絶対に大丈夫だと言い切れない縁の細さ。答えがないのに、何度も読んでしまいました。

  • 毎年、何千人もの「行方不明」の子供たちが消えている、という衝撃的なルポ。

    行政の不手際から、社会的な網から零れ落ちていく子供たち。確かにそこにいたのに、いなくなってしまい、誰も何の手立ても打てないというの現状が生々しく語られます。一方ではネグレクトのような問題がある一方で、もう一方ではもっと不快で目を背けたくなるような現実があるのでは……と思いました。こういう問題提起を通して、社会的な弱者が不当な被害を受けないようになってほしいです。

  • ここのところ、不安定な子どもの世界について様々な状況を理解していく中で、あってほしくないがきっとある…と思っていたものが、当初のいう「子どもの無縁社会」そのものでした。家族など原始的な関係にも、生活保護のような近代的な関係にも捕捉されない、こぼれ落ちる小さな命やその尊厳。

全24件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

ジャーナリスト。家族・教育問題、児童虐待、青少年のインターネット利用などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表。出版のみならず新聞連載、テレビ出演、講演会など幅広く活動する。
主な著書に『スマホ廃人』(文藝春秋社)、『ルポ 居所不明児童~消えた子どもたち』(筑
摩書房)、『ルポ 子どもの無縁社会』(中央公論新社)、『子どもとスマホ~おとなの知
らない子どもの現実』(花伝社)など。日本文藝家協会会員。
公式ホームページ https://ishikawa-yuki.com/

「2018年 『人生を豊かにするスマホとの付き合い方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

石川結貴の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×