- Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121505286
感想・レビュー・書評
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「口を開けば批判ばかり」、「悪いニュースが大好物」、「過剰すぎる好奇心」といった特徴を持つ「他人の不幸を願う人」とは、具体的にどういう人を言うのか、なぜこういう人は増えているのか、自分がこういう人にならないためにどういう風に物事を考えればよいか、といったことについて述べた本。
とにかく、読むと暗い気持ちになる本。「17世紀のフランスの名門貴族」である「ラ・ロシェフコー」という人のことばが何度も引用されるが、その中でも「親友が逆境に陥ったとき、我々はきまって、不愉快でないなにかをそこに見出す」(p.64)という言葉が最も印象に残った。(ドイツの詩人、シラーの「友情は喜びを二倍にし、悲しみを半分にする」(p.68)ということばとあまりにも対照的。)人間が本来的に持つ羨望に由来する、人間の「イヤらしい」部分をこれでもかというくらいに突き付けられる本。
こういう攻撃的な羨望にまみれた人の特徴がいくつか挙げられているが、その「見分け方」の1つとして「何かの計画を話してみるといい。すぐさま、それを実現するにはどれほど多くの困難が伴うかを延々と話すだろう」(p.88)とあり、しかも「かなり強い『感染力』がある」(同)ということらしく、この辺は納得できてしまう。本当にイヤだなあ、と思いながら、おれはどの程度なんだ、と自問自答してみることになり、「さすがにここまでではないから、良かった~、世の中こんな酷い人いるんだ~、やだやだ」と思って安心してしまう時点で、既に自分よりも酷い人を見て安心する心理、というのが働いていると思うと、やっぱり嫌気がさしてしまう。おれも社会人になってから特にネガティブ思考で愚痴も多くて、周りの人を不快にさせたことも多い気がする。最近になって、ある種の諦めというか、年下の人であってもすごい有能で、この人おれよりも周囲に必要とされている人なんだなと多々思っても、おれはおれだし仕方ないか、とか、それ以外の部分で勝っているところもあるから大丈夫、とか自分で慰めて防衛規制できているように思う。それでもやっぱりネガティブ思考で人を羨むという気持ちは押さえられない時もあって、じゃあどうすればいいんだという「処方箋」を読んでみるが、そんなに説得力があるものでもなく、とにかく羨望がいかに厄介なものであるかということだけが強調されている。せいぜい、色んな事例に出てくるイヤな人を反面教師にすることくらいが本当の処方箋じゃないのか、と思えてくる。とにかく、「フレネミー」(「表面上はいかにも友達のようにふるまいながら、裏では敵のように行動する人」(p.182))にはならないようにしよう。(15/10/01)詳細をみるコメント0件をすべて表示