街間格差-オリンピック後に輝く街、くすむ街 (中公新書ラクレ 643)
- 中央公論新社 (2019年1月9日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121506436
作品紹介・あらすじ
再開発や新駅設置、湾岸部のインフラ整備など変化の激しい東京23区。「五輪がターニングポイント」と言われるも、その時を待たず「どの街に住むか」で住民が得るメリット・デメリットが大きくなり始めた。今回、街や不動産の趨勢をテーマにしたヒット本を多く手がけた牧野氏が、五輪後に起こる変化を大予想。輝く街とくすむ街を浮かびあがらせる。いわく「働き方改革」に象徴されるライフスタイル激変と続発する相続問題に伴い、住まい探しの絶対的価値基準「沿線ブランド」「駅まで○分」が崩壊。特定の街の「拠点化」が進む先に「街間格差」が表出するという。それが明確化するのが五輪前後で、その動きは既に「住みたい街ランキング」へ現れ始めたと指摘する。ブランド住宅街、湾岸タワマン街、団地、観光地……。
東京で生きるなら、やってくる「街間格差」に備えよ!
感想・レビュー・書評
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東京近郊の”街”をテーマとした本を同時期に続けて読んでみました。一つはこの本、もう一つは「東京郊外の生存競争が始まった!」(三浦展著)です。同じテーマでありながらも好対照な内容になっています。「東京郊外~」は社会デザイン研究者である著者による衰退する街の再生策を語る一冊で、著者の”熱量”を感じることができる内容になっています。対して本作は不動産事業プロデューサーである著者ならではの視点でこれからの東京23区の趨勢、いわば”アガる街”はどこかを考察する内容になっています。ただ最終章では「時に別の自治体から、もしくは近くの「街」から人を奪うようなやり方も生じるのかもしれません。」と述べており、この点についての考え方は「東京郊外~」に通じるものがあると感じます。
住まいさがしの材料として読む場合であれば「東京郊外~」は街の”探し方”を考える、本作は今後”買い”の街を探すこととしてすみ分けるものといえるでしょう。ただ、そのどちらにも働き方改革に代表されるような施策を通じて生じるライフスタイルの変化も踏まえる必要がある、という考えはいずれの作品にも共通しているスタンスです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「○○線沿線」「駅から徒歩何分」という価値観が崩壊し、これからの住まい選びは「街」選びの観点が重要となる
第4章では、東京23区それぞれについてこれから「輝く街」「くすむ街」を不動産屋の視点で紹介
《「2019年の今、都内で家を買うべきか」と問いかけられれば「個別の事情がある人を除き、あわてて住宅を買う必要はない」ということになる》
《これからの住まい選びでは、この「住まい=資産」という考え方と早く決別したほうが良い……投資の世界はどの分野でもそうなのですが、結局、湯水のごとくお金を使える大きな組織が圧倒的に強い……中途半端に手を出せば巨大なリスクを背負わされる》
《住まいの選択肢が増加するこれからは、家の値段の上下に一喜一憂するような視点を捨て、あくまで自分が住みたい、生活の根を下ろしたいと思える「街」をじっくりと、背伸びをしない範囲で選ぶべき》
東京に住むなら、この先やってくる「街間格差」に備えよ!──内容紹介より -
一般論:街の環境、居住者、歴史は刻々と変化する。したがって街の価値は変化する。
個別論:23区ごとに分析、これから輝く街、衰退する街を予想。
読了35分 -
■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
【書籍】
https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1001140213
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住むのに良い街と資産性のある街は違う、と言いつつ住みたい街は結局資産性のあるエリアな気がするなと思った。23区それぞれの住むならこの街!という章がなかなか面白かった。埋め立て地はイマイチ、交通利便性が良くないところはイマイチなど、大体は自分が思っているような方向性だったが学校に関しての見解は考えた事なかった。
コロナの前に書かれているけれど、コロナでこの本の内容が加速しているイメージ。 -
365.3||Ma
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テクノロジーの進化や社会構造の変化に伴うライフスタイルの大きな変化により、これまでの住まいの選択基準・価値基準にパラダイムシフトが起き、
自分の確立したライフスタイルにマッチした街を選ぶことが豊かな人生にとって重要となることを説いた1冊。 -
著者の独断的な見方のようにも思えるが
東京都区部の街について
網羅的な知見を持っていて
それらを比較していてすごい。
おもしろく読みました。