内なる辺境 (中公文庫)

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著者 : 安部公房
  • 中央公論新社 (1975年7月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (106ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122002302

内なる辺境 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 実は安部公房の小説を読み終えたことがない。丸山健二が評価していることを知ってから何冊か開いたがダメだった。本書もエッセイだからといって全部に目を通すつもりはなかった。ただ、熊田一雄〈くまた・かずお〉氏のブログで見つけた文章を探すためだけに読んだ。私は胸倉をつかまえられた。そのままの状態で結局読み終えてしまった。
    http://sessendo.blogspot.jp/2015/04/blog-post_16.html

  • 今の時代にこそ必要な本だと思う。移動と定着、異端と正統は、社会経済のグローバル化が不可抗力的に進む世界で、日本人がもう少し真剣に考えるための手掛かりになるだろう。

  • この感想は、読解力の拙い人間が、頭を整理するために書いたものなので、「それ、ちがくね?」ってことが多分に含まれます。

     また、私の立ち位置を揺るがす本が出てきたわ。

     このお話が書かれたのは私が生まれる15年前。バブルも来てない。高度経済成長期終焉あたりに書かれたもの。オイルショックあたりか。

     という時代背景を踏まえておこう。

     多分敗戦からの復興から頑張ってアメリカに追いつこうぜ!って頑張ってる時。でも自分の国以外では結構身近に戦争が起こっている、って事実が頭の片隅から離れない時。

     そこで「内なる辺境」。

     内なる辺境とは、国家における「都市」。なぜなら国は、土地や定住を根拠に(多分…)農民意識=正統性ってものがあるから。農民に対する「都市」。

     それをユダヤ人と、それ以外の国家という構図にも当てはめることもできて、ユダヤ的なものとは、農民的なもの以外の一切であり、都市的なものであり、形式主義的なもの、ユダヤ人とは、自然とは疎遠の存在であり、人工的なものであり、存在させられた、選ばれた異端性を持つものである。


     なぜなら彼らは、国家を持たないから。


      でも。

     「反ユダヤ主義なるものの根拠が、ユダヤ人の存在そのものよりも、むしろ「本物の国民」という正統概念の要請の内部にひそむ、一種の自家中毒的症状だと考えて、まず間違いは無さそうだ。ユダヤ人の存在が、反ユダヤ主義を生んだのではなく、正統概念の輪郭をより明瞭に浮かび上がらせるための、意識的な人工照明として、ユダヤという異端概念が持ちだされてきたらしいのだ。」


     それが、分かったから、なんだってんだと。

     「日ユ同祖論」というものがある。
     日本人とユダヤ人にはどこか共通した祖先があるのではないか。という、なんとも都市伝説的な。

     それは「土地的辺境に住む日本人」と「内なる辺境に生きるユダヤ人」に見る共感ではないかと、最近読んだ本に書いてあった。

     でも日本人はユダヤ人にはなれない。ユダヤ人のような考え方や、知性を持つことはできない。

     では、どう生きたら良いのか。(まぁ、比較してる自体おかしいのかもしれないけれど、知性のあり方を示し続けているのは、ユダヤ人が多い、という点での比較)届かぬ知性のあり方にできるだけ近づこうとするか、ユダヤ人にできないことをしていくか、と。

     あまりにその本を乱暴にまとめましたが、

     ユダヤ人にないものがある。それは「農業」である、と最後にまとめていた。

     日本はそっちに走っていけばいいのかね。永遠に届かぬ知性(都市的なもの)を追い続けるよりも、農民根性結構と土着的なものに落ち着いていくか。

     よく、言ってることがわからなくなってきたぞ。

     私が最近まで読みまくっていた本の内容は、「地方を」「辺境を」「農民意識」を受け入れましょう。身の丈知りましょう。それを踏まえて、みんな仲良く手を取り合って生きて行きましょうって感じだった気がするんだよね。

     それだけだったら、すっきりする。それでいいと思う。

     でも、この本、違った。異端性を諦めていなかった。

     でもでも!日本人が既に「辺境に生きる」=異端なのかしら?むむ?それは言ってなかった気がするぞ?

     わたしは、無闇矢鱈に、「異端」の方にいたがる人間だと思われる。

     でもわたしは、農民根性丸出しの、コンプレックス甚だしい人間であると思われる。

     でも異端にいたがろうとする面が、コンプレックスを助長させる。

     もっと頭良く生きられないものか、と。

     それは≒お金をたくさん稼ぐ≒社会的地位がしっかりしてる

     に繋がる。全てじゃないけど。... 続きを読む

  • (1975.07.16読了)(1975.07.12購入)
    商品の説明
    ナチスの軍服が若者の反抗心をくすぐりファシズムがエロチシズムと結びつく。この贋の異端の流行の中で、内なる辺境による現代の異端の本質を考察する連作エッセイ。前衛作家の創造の核心を知る。 

    ☆関連図書(既読)
    「壁」安部公房著、新潮文庫、1969.05.20
    「けものたちは故郷をめざす」安部公房著、新潮文庫、1970.05.25
    「飢餓同盟」安部公房著、新潮文庫、1970.09.25
    「第四間氷期」安部公房著、新潮文庫、1970.11.10
    「反劇的人間」安部公房・キーン著、中公新書、1973.05.25
    「榎本武揚」安部公房著、中公文庫、1973.06.10
    「人間そっくり」安部公房著、ハヤカワ文庫、1974.10.15

  • ユダヤ人文化論とかなり近いものを感じる。

    どのみち、ユダヤ人問題をこのような枠で分析するときの
    限界というものがようやく理解できた。

  • 珍しく新潮じゃない安部公房の文庫本。さまざまな作品の根底にあるであろう、農村と都市つまり「正統と異端」についてのエッセイ。
    この「正統と異端」という点は複雑に入り組んでいて、なんていうか簡単にまとめることができない。
    しかし作品全体をみると、読みやすい文章かつ鋭い切り口なので非常に楽しめる。ページ数も100ページにも満たないので。
    なにかと比較されるカフカについての語っていたりもする点も楽しい。

  • 2010/1/16ジュンク堂で購入

  • 異端=ユダヤ人を主題とする連作エッセイ。まったく、なんてややこしいもんを書いてくれるか。安部さんの国家や国境へのこだわりは凄まじく、また辺境というキーワードは作品を書く上での根幹になっているのだろう。

  • ( ・∀・)アヒャ 全然わかんなかった^^ っていうのはアフォみたいですが、実際アフォでした。私にはまだ文学に対する知識と言うのがほぼ皆無なので、言っていることは部分部分わかっているつもりでも「だからどうした」が全然わかりませんでした><チョウシノッタ

  • 土地所有の問題とユダヤ人を都市になぞらえて語るのは新鮮であり、非常に有用な視点を与えられました。おもしれー!

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