TUGUMI(つぐみ) (中公文庫 よ 25-1)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122018839

感想・レビュー・書評

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  • この本は読む前にも素敵な本だと何となく分かっていました。物語は少し暗くと切なくも感じましたけれど僕はその事あまり気にしないので楽しめました。

  • こんなに有名な作家さんなのに実は初読みでした。
    なんで今まで読まなかったんだろうなぁー。

    何だかすごく懐かしい小説。
    夏のおばあちゃんちを思いだす。(これは完全に山本屋とそのまわりに引っ張られている)
    そして、子供の頃の、あの独特の感情の揺れを思いだす。

    子供の時の、些細なことでわぁ!と純粋に喜んだり、もっと些細なことでこの世の終わりのように落ち込んだり。
    どうしようもない行き場のない怒りとか。
    それこそ小学生〜中学生のころの。

    何でなんだろうなぁ、小説の登場人物はもちろんその頃の話もあるけれど女子大生にもなっているのに。
    そして何でなんだろうなぁ、その時代の感情忘れちゃうの。
    個人的にはその当時の感情なんて別に大事にしておきたい感情ってわけではないけど、たまに自分の片隅に残っているそれを表に出して磨いて懐かしむのは心がふんわりするなぁって思う。

    つぐみはまだその世界で生きているんだろう。
    それが死期と関係しているのが辛いな。

    じんわり系小説でした。




    @手持ち本

  • ー鮮烈でたいせつな私たちの星。

    〈あらすじ〉
    いつ死ぬか分からないと子供の頃から言われ続けていたつぐみは、生意気で口も悪くて性格まで悪い強烈なやつだった。いとこであり、友人である私にとって、つぐみは最悪の存在でもあり、唯一無二の存在でもあった。子供のころから一緒に過ごしたつぐみとのいつもとは少し違う夏がはじまる。

    〈感想〉
    一文一文丁寧に読みたい一冊でした。
    切ない存在であるつぐみは強烈で、それでいてみんなの心に希望として輝いていて、海のそばの風景がまたとても綺麗で、すべてが刹那的で、不思議な気持ちで満たされていきました。
    ものすごく久しぶりの吉本ばななさんで、こんなに素敵だったんだなと改めて感じました。

    ーまるで刻々と姿を変える夕方の空のように、いろいろな種類の別れに満ちたこの世の中を、ひとつも忘れたくないと思った。

    この文章に心がとらわれてしまいました。
    本当に出会うべき時に出会う本と会えますね。
    大切に読みたくて、読み終わりたくない気持ちが強く残る本でした。

  • キッチンでも感銘を受けたが、吉本ばななの文章は、本当になんでこんなに綺麗なのか。透き通った優しさがある。切ないが、清らかな気持ちになる。
    が、本人は優しさを描くつもりもなければ人生に否定的であるというのは驚きだった。

    TSUGUMIは、私の好きな儚くて余韻だけが残るような夏がぎゅっと詰まってて、ストーリーに関係なく、夏と過ぎていく時間の描写だけで涙腺が緩んだ。

    熱を発するように美しいつぐみ。自分の死を感じた者だけがもつ孤独、儚さ、強かさ、生命力…そんなものを感じさせる圧倒的な登場人物だった。

    そこに通ずるものをもつ恭一。つぐみの炎が赤なら、恭一は青だろうか。火力的には逆だろうか。
    そして、受容度の高い陽子、どちらかというと普通でありながら唯一正しくつぐみを理解するまりあ、そして、その両親。
    全ての主要な登場人物が好きになった。

    私もこんな生き方を、付き合い方を、していたい。
    こんな夏に、できるかな。

  • 薬が効かないと申告された日に泊まったホテルで旅人のために置かれていた本。

    運命だ。

    淡々と生きる。

    終わるのが惜しくてまだ読みすすめられずにいる。

  • 大学生の頃に読もうとして、結局ほとんど読まなかった本ですが、買いなおして読みました。
    読書の経験値が少なかった私の大学生当時は、自己分析すると、書かれていない部分を想像で補う能力がなく、まりあ視点でのみ語られる小説の形式に不馴れだったため、作品の世界に入っていけず、最初の方で止まったのだと思います。
    当時の私には、「まりあが海辺の町に帰省してからが面白くなるよ!」と言いたいです。

  • 読むのに少々時間がかかりました…

    つぐみの真っ直ぐ生きる力強さを感じました!

  • また大切な一冊ができた。
    夏に読みたい一冊だ。
    懐かしい気持ちになれる。
    なんだろうなこの気持ち。
    じんわり目頭が熱くなるし胸はぎゅっと苦しい反面
    なんだか温かい気持ちになる。
    この余韻にしばらく浸っていたい。

  • キッチンを読んだとき、
    悲しみの中にも、キラキラした美しさがあるなぁと思いました。

    TSUGUMIを読んで、
    吉本ばななさんの本は、田舎の静かな夜にみる星空のようだな、と感じました。
    そして私は、まぶしい朝も大好きだけど、
    暗闇にキラキラした星をみつける夜も好きだなぁと気付きました。

    悲しいことの正体は複雑で、
    そのときの感情は確かに「悲しい」のだけれど、
    育んだ愛とか心を通わせあったこととか、これから生きることを支えてくれるものも含まれてる

    つぐみの乱暴さは、度が過ぎることもあるけれど、
    正直でまっすぐで、愛らしかった。

  • 文章だけでこんな鮮やかな情景が思い浮かぶの
    すごい。。。本当に海の近くにいる気分!
    いい思い出ばかりとは言えないのに、
    なんかすごくうらやましいと思えちゃうのが、
    ばななさんの文章力とキャラクターの描き方のすごさ!
    また何年かしたらもう一回読むだろうな〜〜

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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