考える人: 口伝西洋哲学史 (中公文庫 い 83-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122031647

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  • 過去の哲学者たちの議論を自由に読みなおし、哲学の精神そのものを賦活しようとする試みがなされている本です。

    まずとりあげられるのはヘーゲルです。著者は唯物論者や分析哲学者たちのヘーゲル批判をしりぞけて、ヘーゲル哲学の核心にある「絶対精神の自己認識」を、「ある考えが「わかる」のは、ちっぽけなこの私の能力などでは断じてない。「わかる」とは、考えについての考え自身の気付きである」とまとめています。

    さらに著者は、ソクラテス、プラトン、アリストテレスといった古代の哲学者たちの精神に立ち返り、現代にいたるまでの哲学史のなかから何人かの哲学者たちをピックアップして、哲学研究の厚い雲におおわれている彼らの思想の根本にあるはずの、哲学の精神そのものをとり返そうと努めています。

    アウグスティヌスとトマス、デカルト、カント、ニーチェなどを経て現代にまで、本書でとりあげられている哲学者たちは幅広いのですが、基本的には著者の考えにそった解釈がなされているので、めざすところはおなじだといってよいでしょう。これまで著者の本に触れたことのある読者は、著者が過去の偉大な哲学者たちとわたりあうすがたを本書の議論のうちに見ることができるのではないかと思います。

著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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