ハチ公の最後の恋人 (中公文庫 よ 25-2)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (146ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122032071

感想・レビュー・書評

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  • 今の自分の考え方や感性の在り方に
    最も影響を与えた作家は
    高校時代にハマった
    村上春樹と吉本ばななです。


    特にばななさんは
    独特な切ない感性を
    かなり意識的に
    真似てましたね(笑)




    小さな宗教家の家に生まれた
    マオ。

    インド人の青年のハチ。


    刹那的に生き
    高校卒業前に死んだ
    「おかあさん」と呼ばれた
    大人びた少女。



    夜中の3時に聞こえる大学堂と呼ばれる
    ホットドック屋台の音楽。


    パジャマのまま歩く
    甘やかな真夜中の散歩。


    闇に潜む死の予感。




    ばななさんの作品に自分が共感するのは
    痛々しいほどの『切実さ』です。


    文章の隅々から沸き立つ
    その切実な想いに
    痛みを知る人であればあるほど
    強く打たれるハズ(^_^;)




    不思議な力を持ったおばあちゃんの予言
    「お前はハチの最後の恋人になるだろう」
    に導かれ
    インド人のハチと恋に落ちる
    17歳の少女マオ。



    本当に好きな人といると
    コーヒーが冷めていくことすら
    美しいと思える、

    そんな時間を
    読む者も追体験していく
    刹那な幸せ。




    別れることを前提に一緒に暮らす二人だからこそ
    平凡な生活が
    輝いてみえるのかな。


    いつまでも続きはしない「青春」というべきものを
    永遠に続けるべく奔走する二人の姿が

    本当に切なくて、潔くて、
    胸を締め付けられます。




    なかなか気づけないことだけど
    街は生きていて
    朝は毎日違う。

    単調で面白くない毎日に感じても
    街はセットや背景なんかじゃないし、
    今日の月と
    明日の月は同じじゃない。


    この作品から自分が学んだことは
    意識しなきゃ解らない
    精神の在り方や
    モノの見方でした。

    それは今も生きて
    自分を支えてくれています。




    いつか消えてしまうものへの情景と、

    過ぎ去ってしまうからこその
    刹那な輝きが詰まった、
    切なさいっぱいの小説です。

    • アセロラさん
      はじめまして。フォローさせていただきました。
      優しく前向きで、温かいレビューですね^^
      わたしも、吉本ばななは「初恋の人」とでも言うべき最初...
      はじめまして。フォローさせていただきました。
      優しく前向きで、温かいレビューですね^^
      わたしも、吉本ばななは「初恋の人」とでも言うべき最初にハマった作家さんで、今でも大好きです。スピリチュアル要素が濃いし、出て来る人達も不思議な人達ばかりですけど、みんな意外とちゃんと現実を生きてるような感じがして。
      この作品は未読なんですが、読んでみたくなりました。
      2013/01/19
    • 円軌道の外さん

      アセロラさん、
      はじめまして!

      コメント&フォローありがとうございます(^O^)


      いやぁ〜まったく
      共感同感です...

      アセロラさん、
      はじめまして!

      コメント&フォローありがとうございます(^O^)


      いやぁ〜まったく
      共感同感です♪

      ばななさんの小説は
      突拍子もない話もあるけど
      嘘臭くなくて

      リアルに胸に迫ってくる切実さを
      いつもすごく感じるんです。


      あとみんなが見過ごしがちな
      儚きものへの眼差しが
      あたたかいし
      真摯ですよね。


      今年の読書目標は
      『昔ハマった作家をもう一度掘り起こしてみよう』
      なんで(笑)

      村上春樹と共に
      ばななさんや山田詠美さんを
      また読んでみようと思ってます(^_^)v


      これからよろしくお願いします!



      2013/01/19
  • 私の1番の本。

    何かが噛み合ったときに読むと大号泣する。そんなこともなくさらーっと読める時もある。

    名作。
    言葉が過不足なくて、美しい。
    名言がたくさん。

    ハチ公との荒削りなとろける日々。
    マオちゃんの絵を描くときの心の動きと形、色彩。
    これがとってもわくわく、きらきらしてる。
    世界は輝いてみえる。

    おっきな話で、人生をゆったりのびのびと生きる勇気が湧いたよ。

  • 食べたいものを食べて、
    眠りたいだけ眠って、
    ふたりの時間をたっぷり味わって、
    特別幸せって顔で毎日過ごしたい。

  • 宝物の一冊。
    大好きな人を思う心にとても共感。
    マオちゃんの目線とか。。
    周りの人との関係、環境、、それをどう捉えてるか。
    いい言葉がたくさん。。
    心が震えました。
    泣ける。。。
    自分の琴線に触れまくった。
    私も似たようなこと考えるなと思いました。
    あと、もっと自分の気持ちに真摯に向き合いたいと思いました。

    最後の描写は、私も新宿の大通りで似たような事を思った事があり、状況がかさなりました。
    お母さんとあーなったことも。変わるんだ…、、という気持ちも。。。
    私の中で、ハチは私の親友に似てます。私は親友と出会えた時に初めて心許せる人が出来たと思いました。世界が鮮やかになった。時間が美しくなった。楽しくなった。生きるのって悪くないなって思えた。真の友達ってこんなにこんなに良いんだって思いました。

    色んな事がすごい。
    この本に出会えてよかった。。

  • 終わりがみえてる恋だからこそみえるものがあるんだね。タイミングが合わないからこそ気が合うんだね。2人の恋は違う形で続いていくんだね。なんだかちょっぴり切なくなったけど読んでよかった。

  • 切ないけど、悲しくない。ピュアでウブだけど、きれいごと過ぎない。読後は静かながらポジティブな気持ちに満たされました。その人がただその人であるだけで愛しいと思える。ほんとに恋って魔法だと思う。

  • 何度も読み返したくなる物語です。
    どうしてこんなにこの作品が好きなのか、自分でも説明できない。
    ぎゅっと心をつかまれてしまいました。
    ふとした時に思い出すあったかい言葉たちが埋め込まれてます。

  • ラストの2文がすべて。好き。

  • .

  • 何年かぶりに再読
    ほんとにほんとーに大好きな本
    どっかに行っちゃった初版の単行本サイズをコレクションとして探してる!!

著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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