圓生の録音室 (中公文庫 き 27-1)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122034822

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  •  何とも味わいある一冊。これまでの圓生の印象が一変。
    芸に厳しく弟子には冷徹な態度をとる天才型の姿から、時に「てへへ」と愛想笑いが出る古き良き芸人の姿へ。
    スタジオ録音で「全集」を作成するという限定された条件がかえって普段にない会話や人間味溢れる欲や苦悩を生み出す。

     セリフの一字一句やお囃子までも吟味し、言葉の細かな入替や再構成など、そこには緻密な構成力、豊富な知識、地道な努力がある。一方で、時に出る絶妙なアドリブに本人自身がニンマリ、お囃子に自分の唄を入れようとしたり、無邪気な圓生が出現。
     そんな圓生の人情噺聴きたくなった。
    京須さん独り語りの部分と赤川次郎と柳家喬太郎の解説も味わいあり。

  • 目次:
    第一章 録音室への道
    花びらの道/青年の目/駆け引き/圓生の名/出口さんの拳/昼の茶碗酒/いささかの勇気/闇のなかの名人芸/歌手志望/最後のためらい/手の内/キリスト御免
    第二章 録音室の日々
    静かなはじまり/松はゆがみて/録音作業報告/編集のいましめ/江戸のことば/Xくんの失敗/『圓生百席』/対 談/エクレア怖い/圓生ばやし/記者会見のハプニング/『鰻の幇間』と『芝浜』/短かった『百川』/スタジオの「夏」と「冬」/『真田小僧』のサゲ/ふと困らせる/完全無傷『夏の医者』/二人の圓生
    第三章 録音室のそと
    炎症の二十世紀/『淀五郎』と王選手の記録/月詣りのひと/圓生の激怒/点 描
    第四章 録音室との別れ
    録音の終わり/ホットミルク/たらちね/江戸の夢/最後のネタおろし/スタジオとの別れ/食べあわせ/長かった『刀屋』/長生きのおかげ/訃 報/虚空の別れ
    三遊亭圓生人情噺集成・圓生百席 収録日順演目一覧
    あとがき/文庫のためのあとがき/解 説 赤川次郎

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著者プロフィール

1942年東京・神田生まれ。慶應義塾大学卒業。ソニー・ミュージックプロデューサーとして、レコード、CDの録音制作を行う。六代目三遊亭圓生の『圓生百席』をはじめ、古今亭志ん朝、柳家小三治など、録音の総制作タイトルは250以上。古今亭志ん朝が唯一その高座の録音を許した。TBSテレビ「落語研究会」の解説を担当。

「2017年 『落語ことば・事柄辞典』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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