書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫 ほ 12-10)

著者 :
  • 中央公論新社
3.71
  • (48)
  • (84)
  • (49)
  • (13)
  • (11)
本棚登録 : 995
感想 : 88
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122049918

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 作者が「小説を執筆するにあたって」を第三者に説明する、というよりは作者の覚書のようなリズムだったせいか?言葉の言い回しがしっくり来なかったせいか?所々なるほどねとは思えたけれど、全体的に難しかった。作者の作品を読んだ上でこの本を読んだ方が理解が追いついたかもしれない。
    文章書いてご飯食べたい人が読むには参考になるかも。

  • ためにはなったし、興味深かったけど、難しかったなあ。

  • ありきたりのテクニックやストーリ展開しか書かれていないハウツー本にはない、本当に自分が書きたい小説を書くために必要なことをたくさん教えてくれる本だと思った。「小説をめぐって」三部作の助走としてもよし。

  • 小説を書いていて行き詰まった事がある人が読むと「分かる」と思う。そして無駄に考えなくて良いのだと、安心させられる。空回りしてる人には良い本だと思う。小説を書かない人や書いても行き詰まらない人から見れば大したものではないのかもしれない。
    個人的にはとても参考になった本。

  • 2015 9 9
    22冊

  • 20150628

    うーん、この人はワザと物事を難しく書いているというか、何度も同じ事を書いていて、非常に読んでいて楽しくない。
    小説の中にあるエンターテイメント性を1mmも感じる事が出来ない。

    正直、この作家の著書は読んだ事はないし、読んでみようとも思えなくなった。

    いくら屁理屈言ってみても、作家としてベストセラーとか出していないと、読んでるコッチが当然出来ない。

    あくまで価値観の違いだと思うが、サラリーマン時代に仕事一生懸命にやってないなんて、自分とは真逆の性分なのだろう。

    村上春樹とかに陶酔してそうな作家だという印象。

  • 【引用】

    「小説を何十年も書き続けるためには、書きながら自分をレベルアップさせていくという心づもりがないと耐えられない。自分がレベルアップすれば考えが前に進み、新しい疑問がわいてくる。そして、それが次の小説を書くための力になる」

    「音楽であれ小説であれ、表現というものはたえず何か逸脱するものをはらんでいないとやがて滅んでいく。表現とは本質的にそういうものだ」

    「とにかく音楽でなくても映画でも絵画でも、小説以外の表現形式について考え続けることは確実に小説を考えることにつながってくる」

    「登場人物の心理が変化することが小説内のでの正確な意味での「時間」であり、それはストーリーに優る」

    「小説家は、すでにある形容詞でものを見てはいけないのだ」

    「「会話」を書くことは、会話がなされる空間を描くことなのだ」

    「文学が「現実からの逃避」と言われがちなのは、ストーリーが最初にあったリアルな気持ちを忘れさせる機能を持っているからだ」

    「すべての面白い本が、一気に読んだり寝食を忘れて読み耽ったりするわけではなく、「面白さ」ということ自体にいろいろなあり方があるのだ」

    「車窓から景色を眺めるのを楽しんでいる間は「目的地に行く」ということをしばらく忘れている」

    「絵を描いたり何かを造ったりする人たちはもともと手作業をすることそれ自体が好きな人たちで、」

    「制作するという行為は、事前にきっちりと完成品が頭の中にあってひたすらそれを目指して作業を続けるわけではなく」

    「制作のプロセス自体に楽しみや喜びを見つけることができなければ作品を完成させることができない。だから“作品の完成”とは制作のプロセス自体のことなのだ」

    「小説もまた、確立した技術論、方法論、スタイルを踏襲したら、もうそれは小説ではない」

    「小説家となって小説を書き続けるとしたら100枚や200枚の原稿くらいいくらでも書けると思えなければダメなのです」

    「小説の次の行に書くべきことは、事前に用意されたものではなく小説の“運動”によって決まる」

    「どこかで読んだようなきわめてステレオタイプな小説が出来上がってしまうわけだが、書いてる本人はそうではないと小説ではないと思っている」

  • 小説家志望者だけじゃなくて、漫画家志望者も、あるいは編集者もみんな読むといいと思った。

    P21 …「まったくわからない」芸術に出くわすと、人はその制作者に向かって、よく「その意図を説明せよ」と言うけれど、それはとても無意味なことだ。日常の言葉で説明できてしまえるような芸術(小説)は、もはや芸術(小説)ではない。日常の言葉で説明できないからこそ、芸術(小説)はその形をとっているのだ。日常と芸術の関係を端的に言えば、日常が芸術(小説)を説明するのではなく、芸術(小説)が日常を照らす。

    P23 …「面白い小説」のほめ言葉として、よく「一気に読んだ」というのがあるけれど、だからそれはほめ言葉ではない。そういう小説は、すでにある面白さ、すでに読者が知っている面白さに則って書かれているわけで、これは私の考える小説の面白さではない。
     それに、そもそもの話、「一気に読める」ということは、早くその小説の世界から出てしまうということで、本当に面白い小説なら、そんなに早くその世界から出たいとは思わないはずではないか。

    P25 …そもそもの話、べつに私が書かなくても、すでに小説はあるわけで、その上で、いったい私は何を書けばいいのかという疑問もわいてくる(こういう疑問というか〝ためらい〟はとても大事で、そこをその人なりにクリアしないと、小説を書き続けていくことはできないと思う)。

    P36 よく「次の作品のためにネタを残しておく」という変なことを言う人がいるけれど、いま書いているものが〝第一作〟にならなかったら、二作目はない。残しておけるようなネタは、たいしたネタではない。つまり、書くに値しない。それが正しく書くに値するネタだったら、いま書いている作品にそれも入れてほしい。

    P154 …人がストーリーの展開を面白いと感じられる理由は、展開が予想の範囲だからだ。その枠をこえた本当の予測不可能な展開だと、感想以前の「???」しか出てこず、面白いどころか「意外だ」と感心することすらできなくなる。

    P184 自分の書いたものをせっかく書いたんだからという気持ちでかわいがっていてはダメなのです。小説家となって小説を書き続けるのだとしたら、100枚や200枚の原稿ぐらいいくらでも書けると思えなければダメなのです。

    P226 本は売れるに越したことはないけれど、売れるために書くわけではない。

  • 2014.7.17読了

    本編を読み終えてから延々と続くあとがきに時間がかかった挙句、途中で投げ出した。普遍性を求めて読んでいるのに、ひどく個人的な執筆のプロセスを書かれても、ファンでなければ興味を持てない。
    本編は二度読み返したが、示唆に富んでいると思った。少なくとも表現者であろうとすることに全てをかけている著者の潔さを認めることができた。
    凡百の小説の書き方についてのハウツー本が逆立ちしたって敵わない迫力がある。

    だからといって、著者の作品自体に、共感出来るかといわれたら、全くできないのではあるけれども。

  • 書きあぐねているわけでもなく、そもそも小説を書く予定もないが、面白く読めた。小説入門、というより、小説論。

全88件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

1956年、山梨県に生まれる。小説家。早稲田大学政経学部卒業。1990年『プレーンソング』でデビュー。1993年『草の上の朝食』で野間文芸新人賞、1995年『この人の閾(いき)』で芥川賞、1997年『季節の記憶』で平林たい子文学賞、谷崎潤一郎賞、2018年『ハレルヤ』所収の「こことよそ」で川端康成文学賞を受賞。主な著書に、『生きる歓び』『カンバセイション・ピース』『書きあぐねている人のための小説入門』『小説の自由』『小説の誕生』ほか。

「2022年 『DEATHか裸(ら)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

保坂和志の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×