そして誰もいなくなる 改版 (中公文庫 い 74-7)

著者 :
  • 中央公論新社
3.51
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本棚登録 : 2130
感想 : 222
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  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122052611

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと無理がある部分があるのだけど、相変わらず読みやすいのはこの作家のすごいところ。時代を感じさせるセリフがなければ尚良かった。

  • 作者あとがきにあるように、クリスティの『そして誰もいなくなった』をモチーフにしたオマージュ作品だが、閉じられら空間での「連続殺人」ではないし、タイトルどおりに「そして誰もいなくなる」わけでもない。
    第Ⅵ章の最後まで読むと、意外な犯人の指摘があるのだが、それまでに「いかにも犯人」という人物がクローズアップされてきており、ミステリーの常としてその人物が犯人ではありえないので、この展開はある意味予想しやすい。また、この犯人と指摘された人物がある事件を実施困難なことや、それから推測される事柄もわかりやすいと言える。第一の事件の前に、江島が目撃した演劇部の部室に出入りする人物に関する真相も最初に予想したとおりだった。意表を突いているようでそうでもなく、ミステリーを読みなれている人であれば、読み進めていくと事件の有様が次々と予想できるのではないだろうか。
    しかしながら、第Ⅸ章以降の展開は予想していなかった。第Ⅷ章で物語はほぼ完結したかと思わせておいて、事件の真犯人の見解に関して、二重に捻っている。
    作者あとがきにある「『そしてー』の犯人や仕掛けを知ってはじめて分かる仕掛け」というのは、最後の手紙の部分なのだろう。それにしても、この手紙を書いた人物が取ったある行動は危険すぎる。
    真相にそれほどの意外性はないが、いくつかのアイデアが盛り込まれているし、堅実な内容のミステリー。

  • いろいろと構成的に見事。クリスティの原作も決定的ネタバレを回避して使ってる。
    え?え?え?という間に読めてしまう。

  • 名門女子校の演劇部の面々が、上演しようとしたアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」での役柄と殺害方法になぞらえて次々と殺されていき、高三の小雪部長と顧問の典子、刑事らが等身大に立ち向かう。実行犯の共犯者は反則的に感じてしまったけれど真犯人や締め方で納得した。読み易く滑らかでさくさくと進んだ。

  • こんなに二転三転するとわ!
    あり得ないストーリーながら面白かった!
    30/7/14

  • 本家を読んだ直後だったから楽しめたけど、そういうエンディングかーという感じではある。

  • 本格と呼ばれるミステリは久しぶりなのでわくわくしたが、さすがに設定に無理を感じ、時代の古さが際立った今ひとつな読後感だった。
    中盤までクリスティの名作になぞらえた事件が淡々と進行し、意外な方向に転がって行く面白さはあるが、何でも繋がってしまう終盤はちょっと興醒め。終着点はそこなのか…と残念。

  • クローズドサークルが好きであればハマる。原作好きであればさらに。

  • アガサクリスティーのそして誰もいなくなったになぞらえて作られた作品。スピード感があって一気読みできた。1%のオマージュはあの人の罪のくだりかなと思うけど、犯人自体はあっけなく、犯した罪について人が人を裁くことへの人間心理が実は真のテーマだということが、作者らしい。

  • アガサ・クリスティー「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品ということで、以前原作も読んでいるため、とても読みやすく面白くて、一気に引き込まれて最後まで読み通した。
    視点がコロコロ変わるが、ミスリードを誘うための伏線に無駄がなく、展開にもスピードがあるので飽きさせない。次から次へと畳み掛けるような、どんでん返し(二転三転)のオンパレードで、久々にサラッとだが読み応えのあるミステリを読んだな、という気分。

    終盤の川で溺れている人を〜云々の例え話は、つまりは『未必の故意』ということよね。原作のヴェラ・クレイソンの裁かれざる罪と同じ手のものだろう。直接的には、一切自分の手を汚さないところが何ともコワイ。
    読了感は、ある意味すっきりと。夏の終わりの風に吹かれて、カランと乾いた音を鳴らす風鈴。どこまでも突き抜けるような青い空。そんな情景が目の前に浮かんでくるような、何とも言えない終わり方だった。

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